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ハカセ

大学院入試に、合格した。

併願校もなく、就活という選択肢が頭の片隅にもなかった僕は、不合格だった場合お先真っ暗コースに突入する可能性があったので、発表された合格者番号に自分の受験番号があった時は心の底から安堵した。


僕の進学する先は、5年一貫性博士課程というコースになっている。

大学院というところは、前期課程(修士課程)と呼ばれる2年間と、後期課程(博士課程)と呼ばれる3年間で成り立っている。

2年で卒業すれば、最終的な学位は修士。
もう3年頑張って無事に卒業できれば、博士という学位を得る。


5年一貫性というのは、「もう最初から5年通うつもりですよ」という意味だ。

つまり、確定で学生をあと5年続けることになる。

自分でも、ちょっと引いている。


それでもなぜ僕が博士を目指そうと思ったのかはいくつか理由があって、今日は合格祝いにその理由をちょっと語っちゃおうかなんて調子をこいてみたい。


まず1つ目は、研究が楽しそうだったから。

僕は心理学科に所属しているのだが、そもそも心理学科を選んだ理由は「公認心理師」という人の心のケアに関わる仕事に就きたかったからだ。

公認心理師を目指すには前期課程(修士)を終える必要があるので、そもそも大学院には通うつもりだった。

しかし2年生の後半ぐらいから、認知心理学という今専門としている分野に惹かれ始めてしまって、「研究って面白そうだなぁ」なんてぼんやり考え始め、だんだんと進路変更を頭に入れるようになった。

両親に相談したら「好きなようにしたらいい」とありがたい言葉をいただいたので、文字通り好きにさせてもらった。

その結果として、本来なら2年間のはずだった大学院に通う期間が、5年に伸びたのには両親もびっくりだろう。

というわけで、大学在学中に面白そうなことに出会ってしまい、進路変更したというのがまず1つ目の理由だ。


そして2つ目の理由は、何か1つ突き抜けてみたかったから。

大学を4年で卒業した後、そのまま就職。
多くの大学生は、基本的にこのルートを辿る。

僕も就活するとなると、全国の大学生たちと「よーいどん」で一斉に競争を始めることになる。

それだと、敵が多すぎる。

他の大学生を敵と呼ぶのが相応しいかはわからないが、同じ企業の限られた席を同時に狙うという意味では敵と呼んでいいだろう。

大学4年間を過ごした僕は、その敵の上をいく自信は全く無かった。

人の目を惹くような容姿もなければ、これといった華々しい経歴もない。
飲み会では酒が全く飲めないし、かといってそれを払拭するほどのコミュニケーション能力もない。

そこそこ器用で、世渡りもそんなに下手じゃないという点を除けば、自分にアピールポイントがあるとは思えなかった。


だったら自分の好きなことをもう5年続けて、敵がほとんどいないくらいのところまで突き抜けてみよう。

その結果とんでもない成果を残して新しい道を開拓しているかもしれないし、誰に脅かされることもない自分だけの好きなところを見つけてるかもしれない。

それが、2つ目の理由。


読み返してみても、見事に調子に乗っている。
合格に浮かれるのも。ほどほどにしたほうが良いと思う。

何はともあれ、その先に進んで何もしないなんてことがあれば上に書いたことなんてただの詭弁。
口よりも手を動かすしかない。

だからまずは、引越し先の物件を探すのみである。

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