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ビルドアップとは?

みなさんのビルドアップの定義とはなんですか?

後方からボールを前進させること
ゾーン1から2へ行くこと
パスとドリブルをもちいて前に進む
ハーフラインを超える…

いろんな定義があると思いますが
今日は私のビルドアップの定義を説明しようと思います。

結論

結論から言うと
「相手のディフェンスライン前後で相手に怖さを与える状況を作ること」
です。
※表現の仕方はチームの言語によって違います。現在実際に使用してるのはこの表現ではありません。

私は「どんなことをするか」ではなく
「どんな状況を作るか」で定義をしています。

それはなぜなのか?
を含めてここに至る過程を説明していきます。

なぜ「相手のディフェンスライン前後」なのか?

これはサッカーというゲームの構造からここを境目としました。

「ミッドフィルダーライン」を攻略するのと「ディフェンスライン」を攻略するのは明確に違います。何が違いますか?

…そう、ルールが違うのです。
「オフサイド」ルールです。

「フォアードライン」と「ミッドフィルダーライン」を突破するのも見た目は違いますがルールは同じです。
ですが「ディフェンスライン」だけは確実にルールが異なります。相手のディフェンスライン背後で待ち受けてボールを受けることはできません。だから取るべき行動が異なってきます。

だから定義もここで分けています。

なぜ「怖さを与える状況」なのか?

ここに関しては私の主観的な考えです。

日本人はやはり「要素還元」的に物事を考えてしまう傾向にあるってよく言いますよね。
だから「まず前に入ろう」「入ったらそこから崩そう」と考えてしまいがちですよね。

けと実際のサッカーは、45分間途切れることはありません。だから頭も一つ一つ区切ってこれの次はこれをして…と考えてては遅いのです。

ビルドアップも同じく、前に入れる作業と前に入ってからどう攻略するかを同時進行でやらないと上手くいきません。

話が逸れるかもしれませんが
日本人がゴール前の崩しを苦手としているとよく言われるのはここが原因だと思ってます。
ビルドアップで局面をどう剥がすか?
その局面を剥がした後に次の局面はどう剥がすか?…
とゴールへのルートを今ある局面からの積み上げ式で考えてしまうから、最後のゴール前で手詰まりになってしまってるのでは?
と考えてます。
ボール周辺に数的優位!
とはよく言われますが、ボール周辺に数的優位を作るということは「ボールから離れた場所は数的不利」になるわけです。相手が退場してない限り。
なんのために数的優位を作るのか?を考えないと、その先の未来で数的不利が待ち受けてるわけです。

話は戻り、未来にどういう状況を作りたいか?
という意味で
「怖さを与える状況を作る」という言葉を使ってます。
これは完全にイメージ作りのためなので抽象的な表現にしてます。

「ボールは入った!」
「けど良い状況作れなかった…」
「じゃあ今度は入れた後にどう崩すかの練習をしよう!」
ではないと思ってます。

「怖さを与える状況を作れない状態でボールを入れたのがそもそものミス」
と考えるべきだし
その原因がどこにあるのか?
を分析していかないといけません。

縦パスが何本で…という分析もありますが
もっと質的な分析が必要であると。
ここは数字で表せない部分もあると思います。

なぜ「どんなことをするか?」
ではなく「どんな状況を作るか?」なのか?

それはサッカーというスポーツが自由度の高いスポーツだからです。

どっちに走っても良いし
繋いでも良いし
蹴っても良いし
ドリブルも良いんです。
ルールの範囲内であれば。

だったらビルドアップだって蹴っても良いし繋いでも良いし、ドリブルだって良いじゃないですか!

なのに「少ないタッチで」「地上戦で」とか
じゃあ相手が寝てても少ないタッチでやるんですか?
相手が身長かなり小さくて足が遅くても地上戦でやるんですか?

サッカーの目的は
「自分たちのやりたいことをやる」
ではなく
「勝つ」ことですよね。

負けても良いやーって言って
パスを繋いで気持ちいー。
って言うのをするのが好きでみんなサッカーしてますか?

もちろん「勝つことが全て」だとは思いません。
けど
「勝つ」ということがなくなったらそれはもはや「サッカー」ではないですよね。

だったら勝つために
「ルールの範囲内で」だったら
「なんでもして良い」わけじゃないですか?

だから「どんなことをするか」は決められません。

ただ、チームでやる以上「なんでもあり!」と言ってたらやれることもやれません。
チームとして「今何が目的か?」は揃えないとみんなで一つのボールをどうゴールに近づけるか、手段を選ぶことはできません。

だから
みんなが目指すべき「状況」を定義するんです。

そこから先…

そしてじゃあ「よりどんな傾向でその状況を作った方がこのチームはより良さが出やすいか?」と言うことを考えて"戦略"などを決めて行くのですね。
身長が小さくて、けどテクニカルな選手が多くて…どうやったらゴールを取りやすいか?ということから逆算して。
手段をある程度の方向づけしていくのです。

ただ目的は変わりません。
「相手のディフェンスライン前後で相手に怖さを与える状況を作る」ためにです。

あの時のバルサも
「メッシが気持ちよくプレーしよう」
ではなく
「メッシが相手ディフェンスラインの前でいい状態になる」ことこそが「相手が1番怖い」状況だったし「ゴールを奪いやすい」状況だったからこそペドロは裏に走るし、シャビとイニエスタはもう一つ下のラインで相手を引きつけてただろうし。

そして「こんなプレーをしよう」というより
環境設定をして問題解決をするっていうトレーニングになるわけですよね(詳しくはフットボリスタ今月号を)。

ただ勘違いしてはいけないのはもちろん
「こういう立ち位置を頭に入れておいて」とか
いわゆる"プレー原則"による基本ルール設定はやります。シャドートレーニングもやるしドリルトレーニングもします。
「相手ディフェンスライン前後で相手に怖さを与える状況を作る」と言う目的のために必要なのであれば。

余談ですが

今日の話しはなにもビルドアップに限った話ではありません。
守備の「ハイプレス」と「ミドルプレス」も
"構造"が違います。
それは適応されるルールが違うから。
「ハイプレス」はコンパクトにできませんよね?
「ミドルプレス」はコンパクトにできますよね?

「俺はこんなプレースタイルがいい!」の前に、
そういう「サッカー」というスポーツの構造から物事を考えていくことを始めることこそが求められてることだと思います。
その先に「A」「B」「C」という方法論が現れてきた際にはプレースタイルを決めてもいいんじゃないかなと。

私はそう思います。

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