《3》婚活アプリで出会って3ヶ月で婚約→入籍した話〜初デート編〜
◎2021年12月 初デート
さて、婚活を始めてから
最初のデートをすることになった私。
相手はわたし好みの
『知的でクールな黒髪メガネ』ではない。
今回は、あくまでも、
デート練習のためのデートだ。
そう思ってはみるものの
どうにも緊張してお腹が痛い。
逃げたい!!!という気持ちのまま、
待ち合わせ場所に到着したけれど・・・
緊張している場合ではなくなった。
彼の姿が見つからない。
え!まさかドタキャンじゃないよね!?
メッセージを送り合いながら、
なんとか彼を見つけた。
なぜか、太い柱の向こう側に立っていた。
なんでそんなところにいるんだ・・・
もっと分かりやすい場所にいて〜!!!!
わたしは笑顔で明るく声をかけた。
しかし、彼は苦笑いするだけで、
視線を合わせぬまま一人で歩き始めた。
え〜〜〜〜〜?
どゆこと?
その苦笑、なに?
なんで急に歩き出した???
第一印象は「変なひと」だった。
あぁ、もう逃げたい。
理由をつけて帰ろうかと思った。
だが、彼の服装を見て、
あることに気付いて踏みとどまった。
この人、ポケットに
文庫本を突っ込んでいる・・・?
・・・これを読んでいる、そこのあなた。
「えっ、だから何?」って思ったでしょ。
これがどれほどの衝撃だったか、
皆さんには想像もつかないであろう。
それは誰にも明かしたことがない
わたしの秘密の性癖であった。
あれは、まだ高校生のとき。
スラッとした20代の男性が
尻ポケットに文庫本を入れているのを見た。
文庫本という知的なアイテムと
尻ポケットに本がはいる細身の体型
大人になったら、
こういう男性とお近づきになりたい。
そう思った10代のわたしは
未来に想いを馳せた。
でも通常、書籍というのは
バッグに入れて持ち歩くものだ。(それはそう)
わざわざポケットに詰めるような
稀有な男性にはなかなか出会えないので
わたしはいつのまにか
探すことを諦めていたのだった。
まるで「月刊ムー」のようなタイトルが
ビビビッと頭を駆け抜けた。
ま、せっかくのファーストデートだし♡
わたしは急にご機嫌になり、
彼との時間を楽しむことにした。
🦩🦩🦩
私たちはランチを食べながら
「ご趣味は?」的なトークをした。
わたしはインドア。
彼はアウトドア。
びっくりするぐらい
趣味も、休日の過ごし方も
全く合わなかった。
おまけに、視線も全く合わなかった。
変なひとだな、とは思ったけど、
人見知りなわたしには好都合だった。
わたしは準備していた質問を
彼にたくさん問いかけて、
過去の恋愛も掘り下げまくった。
ランチを食べ終わった後も
「行きたいカフェがあるんです」と誘い、
コーヒーを飲みながらさらにお喋りをした。
婚活はマッチングだ。
決定的に合わない相手ならば、
どんどん次に行かねばならない。
その判断材料として、
1度デートした相手とは
時間が許すかぎり会話をしたかった。
彼とのデートは、
それなりに楽しく終わった。
解散した後、お礼のメッセージを送った。
すると、速攻で返信があり、
次回のデート案が送られてきた。
幻の「文庫本ポケット男」が実在した上に、
2回目のデートに誘われるという難題もクリアできてしまった。
わたしは少し、自信を持てるようになった。
その後も、彼とはなぜか予定が合いやすく、
すぐに2回、3回とデートを重ねた。