アケコン東方のすゝめ 前編
こんにちは、SMYK社長です。東方原作をアケコンでプレイし続けた結果、自宅でアーケード筐体にPCを組み込んで、東方原作プレイやゲーム配信を行うような鬼人になってしまいました。
今回はそんな社長が、アケコン東方に興味のある方に向けて必要な知識をシェアし、キーボード・パッドが主流の東方原作界隈に下剋上を果たすべく、レバースティック(お祓い棒 )という新たな可能性の一石を投じたいと思います。
というわけで、古今東西5000円~4万円までのバラエティ豊かな人気アケコン9種を購入してきました!それぞれの性能を詳細にレビューし、東方に一番向いているアケコンを決定します。そして、より東方のプレイに最適化するため、弾幕STG向きのセイミツレバーへの交換方法を解説します。
前半は読み物要素が強いので、理屈はめんどくせえ!とにかくオススメのアケコンを教えてくれ!という方は、前編はボムで早回して後編「完全保存版 東方オススメアケコンレビュー」へどうぞ。
1.なぜアケコン東方なのか?
東方界隈にアケコン使いが少ないから
実は東方と非常に相性が良いから
ゲーマーっぽくてカッコ良いから
他のアーケード弾幕STGも上手くなるから
今回この記事を書こうと思ったのは、東方原作界隈にアケコンユーザーがあまりにも少なかったからです。そしてアケコンが他のデバイスに引けを取らない、可能性を秘めたデバイスである事も大きな理由です。
入力デバイスの主流はキーボードかパッド
私の知る限りでは、東方原作プレイヤーのほとんどがキーボードかパッドを入力デバイスとして使用しているようです。東方原作がPCというプラットフォームで展開されている以上、キーボードやパッドが主流となるのは至極当然です。スコアタ上位ランカーやLNNプレイヤーなど、上手い人たちも例外なく使用しているので、「東方原作はキーボードかパッドでやるもの」というイメージが強く根付いています。
アケコンは下剋上を果たせるのか?
とは言え、元を辿れば弾幕STGのルーツはアーケードゲームです。ゲームセンターで長い歴史をかけて勝ち抜いてきたレバースティックが、弾避けにおいて十字キーや3Dスティック、キーボードに引けを取るとは思えません。東方が弾幕STGである以上、アケコンにだって分があるはず、現に私も全作品全機体のLNCと全作品LNBをアケコンで達成しています。
またアケコンは導入コストがキーボードやパッドに比べて高い上に、家庭用弾幕STGの普及も乏しかった為、流通してる商品は格闘ゲームに最適化されたアケコンばかりです。東方で使用するには、弾幕STGに適したレバーへの交換が必須など導入のハードルが高いのも、アケコンプレイヤーが増えなかった要因ではないでしょうか?
2.入力デバイスごとのメリット・デメリット
まず始めに断っておくと、入力デバイスごとに傾向の差はありますが、それがプレイの上手さに直結するわけではありません。いかなるデバイスも最終的にはプレイヤーの脳と完全リンクして手となり足となるので、結局のところプレイの上手さはプレイヤーの技術に依存します。上手いプレイヤーは自分のデバイスの利点を活かしつつも、弱点をカバーするような熟練度を持っているのです。
パッドは柔軟性とハードルの低さ
パッドはほとんどの方が使い慣れているので、直観的な操作が容易でハードルが低いのがメリットです。柔軟な操作はしやすいですが、移動制御を全て親指で行うので精度を出すには熟練が必要です。というのも、8方向の入力を全て親指の筋肉と腱が担うので、素早い精密入力には筋力と柔軟性が求められるからです。ただし使い慣れたコントローラーなら、既に熟練している状態なのでその限りではありません。ハードルの低さと、慣れ親しんだデバイスゆえの上達の速さが人気のデバイスです。
キーボードは精度
キーボードは精度の高い入力がしやすいのがメリットです。十字キーのように押し込むのではなく、弾く入力スタイルによって精密な避け入力が可能な上、独立したキースイッチによる正確な8方向入力が行えるのです。しかし、柔軟な移動入力が直観的でない点と、低速高速の機敏な切り替えを連打性能の低い左手薬指、小指(Shiftキー)が担当するのでそれなりの熟練度を要します。ただし東方は精度ゲーであると言っても過言ではないので、熟練したキーボードシューターはとてつもないパフォーマンスを発揮します。
アケコンは合理性
アケコン最大のメリットは、合理性にあります。そもそもパッドの十字キーはゲーム全般の「移動」を目的に作られているので、微小な入力には最適化されていません。逆にキーボードのキーは連続で「文字を打つ」ために作られているので、柔軟な移動には最適化されていないのです。
しかしアケコンはどうでしょうか?弾幕STGに向いているとされる「セイミツレバー」は、その名の通り精密な入力を要するゲームのために開発されているので、レバー自体が持つ柔軟性とキーボードのようなスイッチングの精密性を合わせ持った、合理性の高いデバイスなのです。
また支点を安定させた上で大きな力で制御するのも精度が出しやすい大きな理由です。例えるならペットボトルの水を1滴だけこぼすには、手の力だけで傾けるよりも、より大きな腕の力で傾ける方が容易なのと同じ原理です。連打性能の高い運指でボタンを制御するので低速高速の切り替えやボムの反応速度にも定評があります。
デメリットは、前述の通り導入ハードルの高さと、レバー操作に熟練が必要な事です。レバーを制御するのは手全体のグリップと腕の筋肉ですが、8方向それぞれに別々の筋肉が使われます。そのため入力方向によってムラや癖が生じやすいのです。
3.アケコン操作方法
アケコンのレバーは、ゲームセンターで弾幕STGをプレイした経験がある人にとってはお馴染みですが、アケコンの操作に慣れていない方にとって最初は扱いづらいかもしれません。ボタン配置を最適化し、持ち方・動かし方を知る事で、望むままに扱えるようになりましょう。
オススメボタン配置
人差し指:ショット+低速 [Z+Shift]
中指:ボム [X]
薬指:ショット[Z]
親指:低速 [Shift]
小指:スキップ[Ctrl]
東方のオススメボタン配置と対応させる指は画像の通りです。基本的にショットは高速で撃ちっぱなしなので薬指は押したままです。低速に切り替えたい時のみ人差し指を押します。使いどころは限定的ですが、ショットを止めて低速移動をしたい時だけ親指を使用します。これはほとんどのアーケードシューティングとほぼ同じボタン配置なので、この配置で慣れておくと、東方以外の弾幕STGにも適応できます。
なぜこの配置なのか?まず薬指は最も動かしにくい指なので、常に押したままで良いショットボタンに割り当てられています。人差し指と中指は連打性能の高い指なので、頻繁に押したり離したりする低速ボタンと、瞬時に押したいボムボタンに割り当てる事で、いずれも理に適ったボタン配置になっています。この配置は東方のように低速高速を素早く切り替えるような、瞬発力のある弾避けに高いアドバンテージを発揮できます。低速+ショットにした理由はアーケードの弾幕STGと同じにするためです。
またキーアサインには無料でも使えるJoy to Keyを使うと便利です。ゲーム内のキーコンフィグでは、1ボタンに2キー以上の割り当ては出来ないのでアケコン使いの必須アプリとなっています。
レバーの持ち方と動かし方
レバーの持ち方には大きく分けて「ワイン持ち」と「かぶせ持ち」の2つがあります。ワイン持ちはレバーの軸を挟み込むようにして握り、軸を安定させて操作する持ち方です。かぶせ持ちはレバーボールを上から軽く握って全ての指で安定させて操作する持ち方です。どちらが良いかは、手の大きさや形状、軸の長さや太さによって変わるので、やりやすい方で良いでしょう。その他にもボール自体を全ての指でつまんで操作する「つまみ持ち」や左右の手をクロスして操作する「クロスファイア」左手のみでレバーとボタンを操作し右の手の平を画面にかざす「釈迦」等があります。
レバー操作において通常移動は「倒す」、精密移動は「弾く」のが基本です。私の場合は「ワイン持ち」なので、[左],[左上],[上],[右上]移動は親指+(薬指の背)を使い、[右],[右下],[下],[左下]移動は人差し指+中指を使っています。
上記の操作方法で弾避けした手元付き動画です。熟練度にもよりますが、8方向全てに十分な精度が得られています。
4.レバーの基礎知識
市販のアケコンのほとんどが、格闘ゲームに最適化された「三和レバー」かそれと同等のレバーを搭載した商品として流通しているので、東方で使用するためにはレバーを弾幕STG向きの「セイミツレバー」に交換する必要があります。もちろん三和レバーも良い商品なのですが、こと弾幕STGにおいてはセイミツレバーが高いアドバンテージを誇ります。セイミツレバーに交換して初めて、一人前の東方用アケコンと言えるのです。
三和レバー
三和レバーは格闘ゲーム向きのレバーです。軸が直接スイッチを押す仕組みなので、レバーがとても軽く、カチカチという入力感が無いので素早いコマンド入力が得意です。その分だけやや安定性に欠け、斜め入力時に誤入力が入ってしまう事があります。市販のアケコンのほとんどに、この三和レバーか同等の自社製レバーが搭載されています。
セイミツレバー
セイミツレバーは弾幕STG向きのレバーです。軸とスイッチの間に板バネが挟んであるので、レバーが軽すぎず、反発力があり、カチカチという入力感がしっかりあるので正確かつ精密な入力が得意です。
アケコンを東方に最適化するためには、基本的に搭載されてるレバーからセイミツレバーに交換する必要があるのですが、アケコンによっては干渉が起こり交換不可な場合もあります。後のアケコンレビューでは、アケコンごとにセイミツレバーへの交換の可否と、どのタイプのセイミツレバーが適しているかをまとめています。
セイミツレバーのバリエーションと比較
レバーには様々なバリエーションがありますが、今回主に登場するのは上記のセイミツレバー4種です。参考までに三和レバーとの比較もしています。一般的な弾幕STGにおいては、LS-32-01がセイミツレバーの中で最も操作性に定評があります。
またLS-xxの数字が増えるごとにレバーは柔らかく、入力感は強くなっていきます。レバーが柔らかい方が操作しやすいのでは?と疑問に思うかもしれませんが、この評価は本当に微妙な差なので実質セイミツレバー同士はそこまで大差はありません。特に入力精度が熟練していない初心者~中級者の方は、LS-32-01を使った方が機体制御はしやすく、精度が向上しやすいはずです。初心者のうちは、足の速い魔理沙より、足の遅い霊夢の方が操作しやすいのと同じ理屈です。
と言うわけで、東方を快適にプレイするためには、基本的にLS-32-01への交換を推奨しています。ただし、レバーごとに基板サイズやレバー軸の全長が若干異なるので、アケコンによっては干渉し交換できない場合があります。そのためLS-40-01およびLS-58-01は、LS-32-01の代替案と考えて下さい。
また、接続形式には「5pin端子型」と「ファストン端子型」の2種類があり、LS-xx-01の末尾の-01があるか無いかで分類されています。今回紹介するアケコンの中に、ファストン端子型レバー搭載のアケコンがいくつかありますが、別売りの「Basicest JST XH 5pinケーブル」を使用すれば5pin端子型に変換できるので、基本的に交換用レバーは5pin端子型の方が出番は多いです。
レバーの性能がプレイ感に与える影響
レバーの性能(入力感、レバーの硬さ)が東方のプレイ感にどのように影響しているのかを具体的にまとめました。
・入力感は低速精度に影響
・レバーの硬さ(反発力)は高速精度と柔軟性に影響
「レバーの入力感」は低速精度に影響します。入力感が強い程、スイッチングに大きな力が必要なので、細かい動作が容易になります。
「レバーの硬さ」は高速精度と柔軟性に影響します。レバーが硬いと反発力があり、力を緩めた瞬間レバーがニュートラルに戻るので、意図した座標で止まってすぐ移動方向を変えやすくなります。逆にレバーが柔らかいと、レバーを回転させやすいので、弾の間を縫って果敢に前進したり、弾に回り込んで回避するような柔軟な動きが容易になるのです。
ボタンの基礎知識
捕捉程度ですが、アケコンのボタンについても知見を広げておきましょう。
ボタンにも「三和ボタン」と「セイミツボタン」があり、ほとんどのアケコンにはレバー同様「三和ボタン」か同等の自社製ボタンが搭載されています。しかし、ボタンの場合は性能に大差は無く、三和ボタンの方がストロークが0.16mm短いので反応速度に定評があります。なので、よほど粗悪なペコペコ鳴るボタンでない限り、ボタン交換は必要ありません。
さて、いよいよ後編は「完全保存版 東方オススメアケコンレビュー」。数多のアケコンの中から、栄えあるベストオブ東方アケコンを決定します!