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【ご依頼#2】一次創作台本の感想【染華さま】
🌟ご挨拶🌟
こんにちは、すみれの感想屋さんです。
お2人目は染華さまです〜!!ご依頼ありがとうございます〜!!😭
この度、LiCに提供した台本の感想をご依頼してくれました。つくづくLiC関係の皆さまに生かされているとしみじみ感じ入ってしまいますね…。
今回は台本のみの感想なので、声劇は拝聴していないのですが、せっかく台本を読んだのでどこかで聞こうと思います。
🌟ご依頼内容🌟
【依頼者】
染華さま(@Someka_sub)
【作品公開場所】YouTube声劇内リンク(https://youtu.be/xNnI4SouDPU?si=jg7QrLtM0Vbgba95)
【作品ジャンル】一次創作/台本
【感想要望】希望なし/感じたことを感じたままに書いてほしい
🌟感想🌟
タイトル、ねこのまち。
ひらがなだけのタイトルで優しく丸っこい、柔らかな印象を与えてくれます。『町』でも『街』でもないところに、都会ぽさを感じないというか、田舎の素朴なイメージが浮かんできます。長崎の島という場所指定はあるのですが、なんとなくタイトルだけでもふんわりしたイメージは共有できそうなところが良いですね。私は坂の多い小さな港町を連想しました。坂の上から海が見えるような、そんな小さな町です。
看板やパンフレットなどで見る『地域のまちづくり』などの『まち』は、ひらがなを使うことで親密性と地域に根差した活動をしていこうというアピールでひらがながよく使われるそうです。やはりひらがなって汎用性が高くなり解釈の幅が広がるのだろうなと思います。文字って不思議ですね。
登場人物は健太、郁弥、愛佳の3人。
3人の朝の日常の一瞬のやり取りを切り取った短いお話の台本です。小6の頃、受験、あと半年は…というワードから中学校3年生の夏の終わりから秋にかけて、という感じでしょうか、残暑ですしね。進路などの話も出てくるので、高校3年生の可能性もありますね。
実のところを言うと、読み終わるまで私は健太が人間か疑っていました。
猫が自分を人間だと思って郁弥や愛佳と喋ってる系、姿が見えない文字の特性を活かした叙述トリックかと思った。だってなんか怪しいから…猫も人間なんだって言ってるし、ねこのまちだし、猫が主体の物語かなって深読みしていました。
全然そんなことはなかった。
人間っていうことで、良いんですよね??
\( ˆoˆ )/
登場人物3人とも台本のセリフしかないけどその中で個性出ててキャラ立ってて凄い!
キャラ立ての才能あるᕦ(ò_óˇ)ᕤ
1人目、主人公(語り部)、健太。
最初に読んで感じることは、短めの語り口で紡がれる健太くんの自分の住んでいる場所への愛着や離れがたい哀愁のようなものまで感じます。猫ちゃん達は大好きだし、猫ちゃん達と一緒にいたいけど、猫ちゃんを理由にここに残るっていうのはなんとなく自分勝手とわかっていて、猫ちゃん達にも失礼だな、みたいな感じです。中学生だとしたらなんて精神が豊かで賢い子だ…、高校生かもしれないけど。
ちゃんと猫ちゃん達の他にも大事な友達がいて、友達が少し髪型を変えても一目見ただけでわかる友達思いな健太くんの性格がよくわかる一幕も良い〜と思いました。これがあるだけで健太くんの性格の解像度がグッと上がって人間性に深みが足される。
猫依存って訳でもないのが良い。猫も人間なんだっていうのは多分健太くんの感覚のことで、猫も人間も平等に同じ目線で愛せる優しさから出た言葉だったんだな〜、誰だよ叙述トリックとか言ったの〜!ごめん。
ただやっぱり猫ちゃん達の社会と馴染みすぎているというか、人の付き合いも猫との付き合いも…って言ってるから、かなりこう…猫にも重きを置いている…。
そこで先程の感想を思い出す。人間だと思ってる猫の話じゃなくて、猫だと思ってる人間の話ならどうか。猫になりたい人間だから、ねこのまち、ってことじゃなかろうか。でも自分は猫じゃないから…人間だから…と渋々人間をやってる人間…??
猫として猫と話して、人間として友達と話す。
多分そういう生き方をしたいんだろうなぁ健太くん。
受験とか進学とか就職とかマジ面倒よね、わかる。
私も社会人嫌々やってるもん。猫になりたいね、私は犬になりたい(犬派)。
『じゃあねみんな、行ってきます』
猫だか人間だか形が定まっていなかった健太くんがここで人間として人間社会に向かうため猫ちゃんとお別れする。朝の一幕なのに、なんだか人生の岐路を見ているようでした。
やっぱり君は人間だよね、人間社会で生きるしかないよねと。
にゃあにゃあとは聞こえないけど健太くんの後ろ姿へ向かってエールを送る猫ちゃん達が見えます。
『このまちには、猫が住んでいる。
残暑の見舞うこのまちに、俺たちは住んでいる』
わざわざ『猫』と『俺たち』を分けたところになんか意図を感じるんですけど…。
猫ちゃんを先に持ってくる辺りが『ねこのまち』なんだろうなあって思います。
印象付けているんですよね、ねこと俺たちは別生物ってことを…多分…。
あと猫ちゃん達っていう狭くて小さいミクロ視点にフォーカスを当ててからグッと場面が引いて視野が広くなって、俺たちと住んでるまちそのものへマクロに広がるアングルを連想させていくのが好きです。
世界の広がり、ひいては健太くんの心の中の変化みたいなものが感じられます。
単純にこうやって一部を重ねて2回言う強調表現、私が大好きなだけです。好みだなあ。
最後の一文、良いですよね。
残暑の見舞うこのまちに、俺たちは住んでいる。
残暑ってことはこのあと厳しい冬がやってくるのですよ。なんかこう、不穏な終わりにも見えないこともない。
でも舞台の時間は朝だからすごく爽やか。
これが夕方だったら不穏な空気が漂ったかもしれない。
結局は仲良し3人組が猫ちゃんたちに見守られつつ談笑しながら坂を登って学校へ行き、暑いな〜ってアイス食べて帰る映像が浮かぶんです。すごい。イメージの誘導力がすごい。しっかり固定される。
それくらい、この短さの中で3人の個性と仲の良さと思考の成熟さと場面イメージを明瞭にしてくる技術が素晴らしいなと思いました。
ちょっと重い話にしようと思えばすぐに出来そうなところをここで止めてるから爽やかで喉越しの良いお話になってる気がします。
甘い炭酸のような口の中がしゅわしゅわ、ちょっと甘い、夏の終わりに飲むとなんか寂しい、そんな飲み口に感じました。おいしい。
2人目、健太の男友達、郁弥。
ふみやって可愛い名前だなあ。ふみや。ふみふみ。
妬けるわぁ、って良いよね。軽い嫉妬を言葉に出せるのは2人が良い関係性という証明ですよ。郁弥くん、きっとカラッとした性格のあんま細かいこと気にしないけど、かといって鈍いわけでもなく明るい性格なんだろうなってことがひとつのセリフでバチバチわかる。
猫にヤキモチを焼いている郁弥くんのこともう大好きですよ。健太くんと猫ちゃんの仲良し度に嫉妬してる、猫ちゃんのほうが大事そうな健太くんにちょっと拗ねてる。
わんぱく元気キャラか?と思いきや『おしゃれの機微が』って言ってる!!機微ってなかなか…学生が言いませんよね…??
君…実は賢い子だろう、そうだろう、言葉の端々に上品さが滲み出てるよ。しかも『今は違えから!』ということは今はおしゃれの機微を知ったということですか!?多分愛佳ちゃんのために!?
でも愛佳ちゃんの髪型変わったの『うわ〜不覚…』って言ってるから気付きたかったんですよね?
多分照れて顔ちゃんと見てないからじゃない?(知らんけど)
おしゃれは学んだけど(おそらく)好きな人をダイレクトに褒めるまでにはいかない…っていう…。
思春期の男子!ってかんじ!良!
『猫が大事なのもわかるけど、それ以上に学校も大事だからなー!』
良い子だ。セリフに良い子が詰まっている。
真面目で優しくて明るくてちょっとおどけることもできる、最高の男友達じゃないですか?
健太くんの猫好きも尊重しつつ、学校もあるぞ!とまだ猫ちゃんと一緒にいる健太くんを置いて行こうとはしない。
『それ以上に』っていうのがまたグッとくる。
『あいつ放っといたら(猫といるほうが楽しくて)学校来なくなりそう…』ていう心配がちょっぴり隠れてて、学校にも楽しいことあるし、そもそも学生なんだから勉強が本分じゃん!とちらりと覗く真面目さ。
『俺も猫たちとここにいて学校サボろっかな』にはならないところが良いですね、人間と猫の境界線の役割というか、お前はこっち、とちょっとふわふわしてる健太くんの腕を引っ張って行く(引っ張ってはないけど)感じが。
健太くんがそれで『うーん!!』てはっきり返すのも、それを印象付けてるのかもしれない。
郁弥くん、苦労するかもしれないけど健太くんをよろしくな。
3人目、健太の女友達、愛佳。
紅一点の女の子。
男友達2人でも成立しそうなところに愛佳ちゃんが入ることでピシッと締まる感じがしますね。彼女がいるから話のテンポと場面転換が容易に展開されている。
『健太はまた猫にご乱心?』
登場一言目。ご乱心?である。
健太くん、傍から見てるとご乱心してるのか…てちょっと笑ってしまうやつ。
ご乱心→心のありようが平静でなくなること。または発狂すること。
のどかに猫ちゃんとごろごろ♡してる風景が一気に様子のおかしいことになってしまった。猫とご乱心してる健太くん、おもろ。
髪型変わったこと、健太くんに指摘されたことはスルーで、郁弥くんに指摘されなかったことに反応して『サイテー…』と言ってるってことは、どちらかというと郁弥くんに気付いてほしかった感じかな?そうでもないか?健太は気付いたのにアンタって奴は…みたいな?
郁弥→←愛佳の両片想いか??
その空気を感じてるから健太くんは猫ちゃんにご乱心してたりするのかな??だとしたらちょっと切ないのでその説は無しにしましょう。無し無し。
『そんなんじゃ女の子にモテないよ〜?』
自分の好きな人がダサい人であってほしくないというやつですか?わからん。恋心の描写は明確になく、なんとなく感じるだけですけど…私に恋心の繊細さが実装されてないので変な勘繰りをしてるだけかもしれません。
1回会話がフェードアウトしてから健太くんを人間の世界にまた引き戻すのが愛佳ちゃんの『おーい、いくよ〜!』なんだよね。灯台の灯火のようだ。ピカッて光ってこっちが君の方向だよと呼び掛けてくれる声。良い友達だ…。
可愛らしいけど澄んだよく通るお声の持ち主とみた。
ずっと男子2人と友達やれる良い子だと思います。
末永く3人で仲良くやっててくれ。
🌟まとめ🌟
また馬鹿の量書いちゃった…。元の台本より文字多いんじゃないですか?そんなことある?
長すぎて引かれるかもしれない、どうしよう。
引かないでくださいm(._.)m
それでも!
きゅっと小さくまとめられた中に拾えば拾うだけ情報が詰まっててずっと書ける〜!て思いました!天晴れ〜!🪭
演者さんが解釈してどう演じるかで変わってくるかもしれませんが、ひとまずこれが私の解釈含んだ感想になります!
掘れば掘るだけ味があって、3人のことを短いやり取りの中で明瞭に表してくれていると思います!
無駄なセリフなし!天才!
ありがとうございました!
良き読み物をごちそうさまでした!
是非また書いてくださいね!!
すみれ