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世紀末ファミレス物語

とっぷり日が暮れて気の抜けた
季節の泡が空に浮かんでら

すると外環道路沿いのファミレスの側に
一面に植わっている
枯れた桜の木々がよ
妙に黒々と尖り切った枝を
生々しい夕焼けに差し込んでやんの

刺々しい刺々しい

夏の間は空さんに媚びうって
密集するかのように繁っていた葉は
もうねぇ

空を撫でることも人間様を
日陰に置くこともせず

ああ、なんと尖り切った
枯れ葉を落とした
天然の注射針

尖って候う
尖って候う
冬が来ることへの抵抗感満載

ファミレスの灯り煌々と
木々の半分を段々照らしてく

おれはラッキーセブン吸いながら
妙に世紀末めいた外環道路沿いを
煙の泡を吹きながら
歩いてる
ぽなぽなぽなぽな

桜の木々よ冬を恨むな世紀末を恨むな

ファミレス近くに住む人々の斜陽を突き刺すな
刺々しい枝を…

世紀末的光景に圧倒され
車の流れを見ている

いずれ
イルミネーションで飾られるんだから
文句をば言うな
木々よ

世紀末的ため息つきながら