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触れてほしい

触れてほしい
触れないでほしい

詩で触れないでほしい
柔い水鳥の白羽根
逆撫でる腕のように

詩で触れてほしい
にわかに身を翻し
どこかに行ってしまう
詩ではなく
確実に身体のどこかに
そっと触れているような
あたたかみのある赤子のような詩

分かって欲しい
詩で
わたしのことを

読むことでこの人となりを
足らない言葉
少ない語彙
認めて欲しい
片言の言葉で詩を書くことを
片言で出来上がった塔は脆く
崩れやすい

鉄や釘ではなく
意味のない羽毛で出来ているからだ

バースデーケーキの蝋燭を
吹き消す程の息があれば
崩れ落ちてしまう
柔い自我

些細な笑い声ですら
靡いてしまう詩の塔

でも触れてほしいその手で
その価値観で

触れてほしい
いや触れないで欲しい
ただ見ていて欲しい
鳥のいそうな場所まで赴き
羽を言葉を探す
単調な日々を

誰かのこころに触れ
にわかに舞い上がる水鳥の
破片を
天まで届けという願いを

見つめてほしい
見つめてほしい