共同生活
病は突然家にやって来てこう言う
わたしと暮らすという
わたしは玄関を閉めて
追い出そうとしたが
病は押し売りのように
造作もなく上がり込み
せっせと荷物を出して
暮らす準備をしている
バッグの中から苦しみを取り出し
準備はいいか?と笑う
痛みや恥、貧しさも取り出し
わたしにこう言う
「向き合え」と
わたしは
狭い家で病と向き合いざるを得なくなり
奇妙な共同生活が始まる
しかしあれだけ醜かった
病も
連れ添う内に愛嬌があるように思え
時に
苦しみから抜け出す日をわたしに与え
そんな時
世界を輝く朝に変えてくれる
病よ
病よ
なぜそうまでして
わたしから離れないのか?
病は追い出すことが出来ないかわりに
苦しみや羞恥、悲しみ痛みに
耐えるという
才能をわたしに与えてくれた
ただの病にここまでしてもらっては
申し訳ない
病もわたしにこう言う
ヤマイダッテオヤクニタチマスヨ
あなたのお側に…
わたしは今日久しぶりに家の掃除をした