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猫とわたしそれぞれの時間

今夜は家に入ると云う
身体を拭いてやり
えさを与える
猫の特等席はわたしの胸の上

猫には猫の時間
毛繕い
顔をなめたり
やすやかなごろごろという喉を鳴らしたり
寝たり

わたしにはわたしの時間
読書をしたり
詩を書いたりともだちとスマホで連絡をとったり

猫がわたしの首をなめる
ざらざらとした舌が首にさわる
この猫は母猫だった
かつてそうやってなめてこどもを育てた
首をなめてやる、なめてやる

やめなさい
くすぐったい

猫の時間とわたしの時間が重なる
そして猫はわたしの上で寝始める
わたしも瞼を閉じ重いおもりを抱いて寝る

今夜の夢は悪夢だろうか?
子を抱く夢だろうか?

夢の中で猫は母になり
夢の中で猫は子になる

なんて密接して猫と暮らしている
つい先日まで家に入るのを拒んでいたはずなのに

まるでここが永住の地のように安らかに眠る


真夜中寝返りをうつと
起こされて嫌なのか

うーんーー!!と唸る猫

姿勢を変えてまた眠りにつく
湯タンポを抱えて寝るように

猫は自分の時間を過ごしていく
わたしも自分の時間を過ごしていく

互いにあたたかいを感じながら