石運び
この人生を通じて
ひとつひとつ積み重ねてきたものが
価値のあるものだといい
苦労を重ね努力して
重い石を運ぶ
遠くにではない、ただほんの先に
運ぶだのことなのだ
重くて重くてしかたがない
石を誠意を込めて
真実を込めて運ぶ
そのわたしが運んで来た石では
城塞は築けないし
わたしが居なくなれば
野ざらしになるだろう
だが石を運ぶことの充実感はある
手応えも
その石が何であったかは
最後までわからないだろう
ただひとつの畏れを抱きながら
石を持つ
堆積していく石の山が
罪の山で
ないことを願いながら
いつか
誰かのこころの一部になることを願いながら