蝸牛と牛と略式結婚式
ああ夢か
夢の中でおれさまは
蝸牛になったかのようで
愚鈍な歩み
田を耕す牛のように
詩を書くにはいい
人間を深掘りしていくには
だが逃げるには
蝸牛はいけない
昨夜は悪夢だった
まるっきりぺけぺけの
悪夢
思考と詩が切り離され
思考は脱兎の如く危険を察知し
夢の住民登録をおき捨て
走るだが
詩は蝸牛のように
丹念にああ丹念に道を這うが如く歩く
一文字一文字を拾い詩を書き上げるようで
万年ホームランのおれさまは
捨て台詞を吐きながら
夢の中から逃れられない
ああスロットマシン回転
目まぐるしい
記憶
ここで詩を書けだって?
女もいる
その女のために宣誓文
いるわいるわ
略式結婚式あげたそうな
夢の中で詩を片手に
なんて蝸牛!