選びとったもの
きみが選びとった
人生のかちなんて他のひとには
わからない
まるでひとつの箱の中に
目隠しで手を突っ込んで
幾つかの硬貨を
探るようなものだからね
他のひとにはきみが掴んだ
金貨や銀貨は
硬貨が触れあう時に鳴る
涼やかな音にしか聴こえない
しかし
それでも掴んだきみにしかわからない
かちがその人生の中にはある
他のひとにはただ単に
硬貨の音しか聴こえなかったけど
きみは後で手を引っ込めて
誰もいないところで
目隠しを外し
その硬貨を見ればいいのさ
金貨がいいってわけじゃないし
銅貨だって銀貨を掴んでいたとしても
それでいいんだ
きみが掴んだものは
君にしか見えないのだからね