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冬の夜の軍勢

せっかくだから
夜に

雲を
見に行こう

月を見るついでに
君の手を取り風吹く丘へ

切符一枚で二度観れる
映画のようなものだと思って

冬の雲は月明かりに照らされ
夜空を
立体的な絹のように滑らかに流れ
藍色の空の上に刷毛をかけながら棚引いている

さながら
闇に立ち向かう天使の軍勢のように

驚くほど光り、白く、冷たく輝く広がる軍旗

天使の絹ごろも
なびく

きっと上空では強い風に吹かれているに違いない

雲の挙げている凱歌がここまで聴こえて来そうだ

遠ざかり
あるいは近づき
耳を冷やす風の歓声

君と二人
夜に天使の群れを見る

この切符ただなんだ

君が重い腰をあげてくれれば