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pingdun
嘉兵衛の独り言
わたしって奴はこんなもんでして
しあわせを前にしたって
そのしあわせを疑ってかかって
ちぃともしあわせを甘受したことがございません
そのかわり
絶望を前にしたってその疑い癖は直らず
常に訪れる絶望を疑いの眼差しで見つめています
するってぇと
絶望って奴がばかばかしく思えて来て
真の絶望なんてこの世にないんじゃないかって疑います
しあわせを甘受できないのは不幸かもしれませんが
落ちても落ちても
いくら奈落に落っこちても
絶望を認めることができないっていうのも
ひとつの不幸の表れかと…
いや、ねぇ旦那
それでもやってこれたんだから
これがあっしにとって
しあわせって奴に違いねぇんでしょうけどね
どう思いますか?