魚拓
光と闇の王国
森閑の調べある地
われは木々を縫うように
歩く
森の闇深し
神の生け贄になるか
魔の餌食になるか
わからないまま
光の元に出る
一閃
われの影は背後に伸び
振り返る
もしこれをわれだと
われの本来の姿だというのなら
神よ悪魔よ
相伴あれ
一枚の大きな紙を用意せよ
われを黒く塗りたくった
闇の
魚拓を取れ
眼前の闇を前にした影を
われの魚拓として記念品にとるか
ひかりを背後にした
大地に伸びゆく影を魚拓にとるか
任せる
だが闇の中を通ってもわれは
黒く穢れなかった
おお、神よその写し取った紙に残された
ひとがたの
魚拓ならぬ
人拓こそがわれ本来の姿なのだ
どうだまるで天国まで続く巻絵に
残されたかのような
われの姿
照らせ、輝かせ、われを釣りあげし者
その成果をとくと見よ!!