【ネタバレ感想】Syn : 身体感覚の新たな地平byRhizomatiks × ELEVENPLAY
今年、良質な映画やライブ、質よりレア度の高い(なかなかチケットの取れない)ライブ等、色々鑑賞することが出来た。
その中でもインパクトで群を抜いていたのがTOKYO NODEで開催された、Syn : 身体感覚の新たな地平by Rhizomatiks × ELEVENPLAYだった。
最初、回遊型のライブと聞いて正直「めんどくさい」と思った。
座って鑑賞したい。日常生活は送れるが、あまり体力がない私は正直そう思った。
ただ、ティザー映像があまりにも好みすぎてチケットを買った。何となくこれは観ておかないと後で後悔する、その直感に従ったが大正解だった。
その技術面・クオリティ面等々の凄さは多くの人が語ってるので、雑魚三下辺境の人間である私が語ったところで(しかも技術面は語れる素養もない)何、と言う感じである。
なので、主観バチバチで記録しようと思う。
以下、2点が印象に残った。
印象1【TENETのリアル体験】
クリストファー・ノーラン監督のTENETという映画がある。難解で有名だ。
(最低限理系でないと門前払い感半端ないが、これはまた別の話)
難解にさせている要因として時間の順行、逆行という概念がある。
正直、私もこれを観た時はポカーン、だった。ついて行けなかった。心ある理系の皆様の解説を動画や文章で拝見してやっと、という感じだった。
これを、有無を言わさず、誰にでも感覚で”体験”させたのが今回のSynだったと思っている。
回遊型には意味があった。
今来た道を物理的に戻りながら、そこへ来るまでの映像を見せられることで、時間の感覚が無くなる。一瞬単純な仕掛けのようにも思えるが、実際にあの未来幻想的な空間でやられるとインパクトが凄かった。
今まで順行していた時間が、急に同じ時間軸で逆行する感覚とでも言えばいいのか、とにかく体験してみないと分からない。これがめちゃくちゃ面白かった。ただ座って観ているだけではきっと分からなかっただろう。
おまけに誰でもこの不思議な感覚を共有できる。人が持っている錯覚の機能を体を動かすことによって”体験”にまで持っていかれた。うわ、これは素晴らしいと正直感動した。
印象2【性善説】
Synは性善説も上手く利用した演目だったとも思っている。
まず、演者がELEVENPLAYだったということだ。予め記すが、今から書くことは決して悪意や貶める意味ではない。反対である。
今回の演目は鼻先三寸で生身のダンサーさんが踊ってくれる。こちらから近寄っても問題ない(勿論スタッフはいるが)。
今、巷ではダンスグループ花盛りである。様々なプラットフォームや推し活ブームもあって、グループだけでなくメンバーにファンがいる。
Synは、メンバー個別にファンがつく、目立ってなんぼのグループでは成立し得なかったと思う。Perfumeやベビメタ好きの吉森保教授(オートファジーの権威の方)の言う「動的平衡」があっても問題ない(Perfumeらは動的平衡があったら大問題)、超プロフェッショナル集団だからこそ、観客もフラットに、純粋にあのハイレベルのダンスパフォーマンスを堪能出来たと思っている。
そして、そんな機会はそうそうない。これからもあるか分からない。
※ELEVENPLAYに個別のファンがいないと言っているのではなく、一般的に個別のファンが多いグループではないのでは、という前提で書いてます。違ったら本当に申し訳ない。
というわけで、本当に今回は貴重な体験をさせて貰えた。
最初のスペースでスクリーンに流れてた文字、あれを売って欲しい(マジで)。
とにかく叩き込まれたのは、Rhizomatiks × ELEVENPLAYの組み合わせは見逃しちゃいけないんだ、ということだった。モザイク以降、行ってなかった自分を殴りたい。猛省を込めて、感謝を残す。
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