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放屁部

ブォンと盛大なオナラを一発放ち、
「あー!今の屁、とっときゃ良かったー!」
高校生の息子が何やら悔しそうにしている。

聞けば彼は「放屁部」という名のグループLINEに入っているとのこと。

同じクラスの男子数名で構成されているそのグループLINEは、各々が自分の放屁音を録音し音のみを送信するというコンセプトで、放屁音以外の送信はしないというルールが徹底されており、
「聞きごたえのある放屁」が評価される。

せっかくいい放屁だったのに、取り逃がした
というわけだ。

他メンバーの放屁音をいくつか聞かせてもらうと、大音量でキレのある放屁、スタッカートが効いている放屁、、皆、キマっている。どれもなかなかの作品だ。
うん、確かに先程の息子の放屁は送信するに値した、と納得する。

最上級のバカバカしさと若さである。

しかしアホ男子とはいえ、悩み多き日々であるに違いない彼ら。
価値ある放屁を録音することに専念し、アホを全うする放屁部は、彼らにとって「一旦色々忘れる部」でもあるかもしれない。

放屁部、ちょっとうらやましい。

子供の時に想像していたような大人には到底なれていない、悩み多きアホ中年である私も「一旦色々忘れる部」のようなものに所属したい。
そう思った。
しかし身の回りを見渡してみれば、

一日の終わりのビール
寝落ち必至の寝る前の読書
A I ロボットモフリン
誰もいないリビングで飲むコーヒー
あの人とあの人

自分だけの「一旦色々忘れる部」の活動で、毎日こまめに、ほんのひととき逃げていることに気づく。

あぁ、よかった。
これからも、よろしくお願いします。

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