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【音食同源】第20回:吉野家の牛丼とザ・ストライプス「Blue Collar Jane」

「王道」。こう書き出すと、ついつい全日本プロレスの話になってしまいそうですが、そういう話ではありません。王道といってもそうした音楽のことを書こうと思います。音楽記事的に気取って書くとオーセンティックというやつですが、そもそも王道とはなにか?

所謂、昔ながらの3コードのロックンロールなのか、それともブルースなのか、パンクなのか。もしかしたら、人によって王道たるイメージはさまざまかもしれませんが、どちらにせよ「あんまりややこしくない、過剰な装飾や変化球的仕掛けが施されていない感じ」なのではないでしょうか。いや、まてよ。「王道のプログレ」なんていかにもディスクユニオン 新宿プログレッシヴロック館に書いてありそうだし、「王道のオルタナティヴロック」なんてことも言いそうです。

そう考えだすと、やはり本当にシンプルにガツーンと生音のギターを鳴らしてドラムがドカドカ叩くような音楽こそがやっぱり「王道なロック」なのだろうな、と思います。2008年にデビュー以来、活躍を続けるアイルランド出身の4人組ロックバンド、ザ・ストライプス(The strypes)はその堂々たる王道ぶりで王道なロックが幅を利かせていた時代には生まれていなかったであろう、若いファンからも愛されています。余計なものはいらない、バンドが生み出す生のギターロックサウンドが今の時代にはあまりないものだからかもしれません。ギターに関して言うと、もちろん音楽性にもよりますが、やっぱり生音のデカい音が一番キモちE、のではないかと思います。ギタリストの方々、一度エフェクターを捨ててみてはどうでしょうか。まあストライプスも生音だけではないでしょうけども。

日本におけるロックな食べ物、といえば牛丼です。異論は認めますが指摘しないでください。とにかく牛丼をロックに見立てるとですよ、シンプルに牛肉と玉ねぎが乗った牛丼が王道です。その上に生卵を入れたとして、それはストライプスに鍵盤が加わったくらいのことですから許しましょう。牛丼界にも、「ネギたっぷり旨辛ネギたま牛めし」「おろしポン酢牛めし」「白髪ねぎ牛丼」「ねぎキムチ牛丼」「とろ〜り3種のチーズ牛丼」「わさび山かけ牛丼」等々、アンビエントだったりシューゲイザーだったり、ロバート・フリップだったりジョン・ゾーンだったり、なんだかわけワカメな感じのメニューが定着しているのもわかりますが、やはり王道の牛丼こそが、この情報過多な世の中に求められているのではないかと思います。でも、要は好みの問題なので気にしないでください。今回、僕が何を言いたかったのかというと、「下北に吉野家がほしい」それだけです。以上。


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