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【音食同源】  第11回:うな丼とジェームス・ブラウン「Get Up Offa That Thing」


超久しぶりに、うな丼を食べました。

僕が住んでいる世田谷代田駅の近く、環七通り沿いを井の頭通り、甲州街道へと向かう途中、信号の手前に「宮川」といううなぎ料理のお店があります。お恥ずかしいことに、この年齢になってよほどのことがない限り、うなぎなど進んで口にしようと思いません。その日暮らしののライター稼業、日々の食費をいかにきりつめつつ生きていくか。そんなことを書いていながら、じつは結構食費で日々散財しているのですが、とにかくうなぎを食べてしまいました。

本来、同じく環七沿いにあるラーメン屋に行って安く済ませようと思っていたところ、毎回通りかかる「宮川」のガラスケースに入ったランチメニューがすでにしっかりと記憶にインプットされていたこと、さらに店内から漂ううなぎの香しい匂いに誘われ、いったん通り過ぎたものの踵を返して暖簾をくぐり、引き戸を引いている自分がいました。


うなぎ、それは精力の象徴です。そして、精力を感じさせる音楽といえば、ソウル・ミュージック。そして、ソウル・ミュージックのキングといえば、JBことジェームス・ブラウンです。ライヴでの、オープニングのコールから始まり、しつこいくらい、クドいくらいのプレイを延々と繰り返すさま、クライマックスのマントショーで何度も倒れては立ち上がり踊り出すくだりは、4回目くらいから「もういいよ!」と言いたくなるくらいですが、そのしつこさこそソウル。そしてそのライヴからは溢れんばかりの精力がビンビンに伝わってきます。

JBの曲の中で、僕が特段絶倫ぶりを感じてしまう曲は「Get Up Offa That Thing」です。数多いJBのヒット曲、ライヴの定番曲の中でもとりわけテンションが高いこの曲。オリジナル音源のBPMは割とまったり遅めですが、ライヴだとひたすら走りまくりで文句なしにカッコイイです。とてつもなくブッとくファンキーな歌声とステップ、The J.B.'sによる過剰なまでに煽り立てる演奏は、まさに精力絶倫のド迫力。こんなライヴを目の前で見てしまった女性はその夜眠れなかったのではないでしょうか。こんなライヴをうな丼なしでやってしまうJB。ランチライムのうな丼1250円(肝吸い付き)で満足している自分とは人間のスケールが東京ドーム15個分ほど違うのだな、と思い知らされました。漢ならJBのように脂汗を流しながらぶっ倒れるまでハッスルしたいものです。

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