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【音食同源】  第33回:からあげクン レッドとONEPIXCEL「LAGRIMA」

私は、からあげクンが好きです。しかも、からあげクン レッドの1点買いです。あの絶妙な辛さと人工的な肉の感じ。昔、ローソンでアルバイトしている頃から好きでした。

全国津々浦々、どこに行ってもローソンで食べることができるからあげクン レッドですが、どこでも食べられる、という気軽さがときに悲劇を生み出すこともあります。

家の近所にあるローソンは店員さんの感じといい、品ぞろえといいハイクオリティで大満足なのですが、先日別の土地でローソンに入り、からあげクン レッドを食べたところ、「おい!おまえは何歳なんだ!?」というくらいに誕生から時間が経ってカチカチ山な状態でした。たまにありますよね、そういうこと。もしかして、廃棄時間に下げるのを忘れちゃったのかな?というくらいの。からあげクン レッドへの愛情が深い分、かなり切なさを感じてしまいました。

切なさ、という無理やりなくくりで今回は語りたいのですが、今最も私が切なさを感じる音楽は、3人組ガールズグループONEPIXCELです。

3月にメジャー1stシングル「LAGRIMA」をリリースした彼女たちですが、ソリッドなダンストラックに乗せた歌がとても良いです。ところが、なにしろ曲の内容が切ない。「LAGRIMA」の歌詞には

マブタから流星が 雨のように溢れ落ちて
たしかな想いがキューンと 目を覚ました

とあります。簡単に言えば「泣いている」状態を歌っていると思うのですが、この詩的な表現こそが“作詞”と言うことだと思いますし、「マブタ」をカタカナに、「たしかな」をひらがなにしているあたりにも、作詞者のこだわりを感じます。そして、そんな歌詞を歌う彼女たちのボーカルはどこか儚さを感じさせて、その声が3つに重なりあうフックのあるサビは思いっきり胸を締め付けられてしまいます。

彼女たちの曲で「TONDEKE」という曲もあるのですが、こちらはもっと切ないです。一聴すると“トンデケトンデケ シェケナベイベー”と、一瞬「なめとんのか」と思ってしまいがちな曲ですが、じつはよく聞くと切ないんです。

届きそうな気がして 泣きたくなる夜に
君の声がするよ また勇気が出るよ

サビでそう歌っているのですが、これだけ聴くとありきたりな気もします。しかし、〈届きそうな気がして〉と何度も歌いながら、結局最後まで届いていないのです。エンディングに向かうにつれ、〈君の声がするよ 笑顔生まれるよ〉と、どこまでもポジティブになって行きながらもまったく届いている様子のないところが、悲痛などころか怖いくらいに切なく、聴くたびにものすごく悲しくなります。ちなみにこのあたりのことはOTOTOYで行った、「TONDEKE George(MOP of HEAD)Remix」、「be with you Masayoshi Iimori Remix 」のリミックスを手がけたGeorge(Mop of HEAD)×Masayoshi Iimoriの対談取材でも話していますので是非
https://ototoy.jp/feature/20180218

よく考えたら、「TONDEKE」という言葉もそうですし、「LAGRIMA」での〈たしかな想いがキューンと〉や〈あの日の願いがビューンと 駆け抜けた〉という表現といい、どこへ向かうかはわからないけど、とにかく今ここじゃないどこかに想いを届かせたい、手を伸ばしたい、という思春期ならではの感情を上手くサウンドとリンクされているのが、ONEPIXCELの魅力なのだと思います。

私も、からあげクン レッドをもっとジューシーに作ってもらいたい。そんな想いがお店にビューンとキューンとTONDEKEばいいな、という気持ちです。そして、からあげクン レッドがカピカピだったくらいで、誰に頼まれたわけでもなく、こんなコラムを書いてしまう自分に呆れつつも、そんな自分が決して嫌いではない、そう思っています。終わり。


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