【音食同源】 第18回:クリスマスディナーと中森明菜「ミ・アモーレ」
中森明菜「AKINA NAKAMORI DINNER SHOW 2017 CLUB NIGHT」最終日に行ってきました。「中森明菜、観に行きたいけどディナーショーじゃあ手が出ないなあ~でもそもそもチケットって取れないんだろうなあ~」と思いつつ、一般発売開始と同時に申し込んでみると意外にもあっさり取れてしまい、「あわわわわ…」と思わず狼狽してしまったのが9月のこと。チケット代はなんと5万円。さすがに誰かの分を取っておいて誘うとかプレゼントするとかそんな余裕はありません。それどころか1枚の分の5万円をどこから工面するのか悩んでしまいましたが、今回観れなかったら今後いつ観るチャンスが来るかわからない、と言い聞かせ、5万円をあちこちの小銭と借金でかき集め、おひとりさまで会場となる「グランドニッコー東京台場」にやってきました。
会場は思った以上に広く、テーブルは全部で81卓設置され、そこに10人が着席していました。同じテーブルに自分と隣の女性だけでしたが、おひとりさまで参加の方は結構いる様子でした。なにしろ中森明菜を観たい、そんなパッションを「1人で行くのはヤダ」なんて抑え込んでしまう人はそもそも明菜様の存在価値をわかっていないと言っていいでしょう(強がり)。席はステージの真正面あたりですが、会場の真ん中よりちょい後ろくらいでステージまでは距離が結構ありました。これは表情まではわかりそうもない。ムムム。
着席してアルコールを飲みつつくつろいでいると19時からのディナータイムになりと次々と食事が運ばれてきます。野菜のなんとかやスープやら魚のやつとか肉そしてデザート。50文字くらいある長い名前のメニューが次々に。美味しかったのは「すずきのヴァプールとホタテ貝のポワレ キャベツとクスクス 仔牛の凝縮旨みジュースを加えた白ワインソース」。長い。雑誌なら校正でバッサリいかれる長さです。とにかく緊張しつつぎこちなくナイフとフォークを使っていたので肩が凝りました。「やっぱり俺はチキンライスがいいや~♪」と脳内再生。それにしてもビールやら白ワイン、赤ワインをどんどんグラスに注ぎに来てくれるのでグイグイ飲んで多少酔っぱらってしまいました。
20:30になるといよいよ開演。暗転するとスクリーンにモノクロのゴスっぽい映像が流れだし、ナインインチネイルズばりのインダストリアルなサウンドで煽りまくったあと、明菜姫登場!白いもふもふドレスに身を包み右手にはもふもふな輪っかみたいなやつを持ってました。雪の妖精みたいな感じなのかな?そういえば開演前、なんだか会場が寒くなってきたのですが、周りを見てもみんな「寒い~」と震えています。隣の女性がウェイターさんに訊いたところ、「演出で8℃まで下がります」と言われたとのこと。演出で寒くしてるっていったい何!?と思いましたが、その謎は1曲目にあったのかもしれません。いや、本当は距離がありすぎてよくわかりません。ていうか音もボワボワなので中森明菜なのかすら今のところ不明!たぶんそうなはず、というか絶対そうなんだけど実感が今のところありません。とにかくステージにいる本人の扮装はめちゃくちゃ暖かそうじゃないですか。遠目には細部までわからないので、なんとなくネバーエンディングストーリーのデカくて白いやつを連想してしまいました。で、ニューアルバムからの2曲を歌い終えると第一声。「〇■△こんばんは!MerryXmas!」たぶん、みなさんこんばんは、と言ったのだと思いますが、出だしの明菜ボイスのボリュームが小さいためちゃんとは聞き取れませんでした。しかしながらあれは間違いなく中森明菜。やった!生で見れてる!
中盤はカバーアルバムからの曲を披露。衣装替えのためか袖に下がると、ノンストップユーロミックスみたいなトラックが延々流れて煽られるものの、明菜様なかなか出てこね~。ようやく姿を現わすと金ピカのトレンチコートみたいな衣装にハットを被ったド派手ないでたちでした。何曲か歌った中で印象的だったのは、ブロンディの「CALL ME」です。デボラ・ハリーに負けず劣らずの迫力のヴォーカルで、サビに行く前の伸ばすところでは「ゥアアアァァァ~~」っていう感じの明菜ヴィブラートが感じられて、思わず「うぉっ!」っと身を乗り出してしまいました。また、曲間の随所で、腕を広げながら腰を使って旋回するような独特のくねらせ方、と言いますか、昔からよく見る動きを見ることができ、「うぉっ!」っとさらに身を乗り出してしまいました。カバーコーナーはショッキングブルー「ヴィーナス」で両手をブンブン振って会場一体となる最高潮の盛り上がりで明菜様もノリノリでした。
MC中も、客席からやたらとフレンドリーに声がかかるのですが、「〇〇歌って!」との声に応えて、「SAND BEIGE」「スローモーション」などをアカペラで一節披露するサービスぶり。「スローモーション」を歌った後に、歌詞にかけて「出会いなんかないわよ」と言ったり「メイク落としたらただのババア、私に旦那さんか彼氏がいたらきっと驚く」等、やたらと自虐的なMCを連発するので、後半にはだんだん「んあ~」となってしまいました。このあたりもきっと変わってないのでしょう。そんな自虐ネタを織り交ぜつつの長~いトークタイム(タイミングは忘れましたが35周年にかけてブルゾンちえみ真似も披露)を経て、「ひらり -SAKURA-」から後半のヒット曲メドレーがスタート。徐々に衣装を脱いで行き、ハットも脱ぎ、サラ~っと髪をほどくと、遠目からでもわかる「ザ・中森明菜」感!一気にテンションがあがっちゃいました。フルコーラスじゃないものの、次々に大好きな曲たちが飛び出してきます。
「飾りじゃないのよ涙は」「TATTOO」「ミ・アモーレ」「1/2の神話」うわぁ~~後半につれてどんどん声も出てくるしアクションもビシッとキマッてます。とくに「TATTOO」「ミ・アモーレ」「1/2の神話」と続いた流れは身悶えるほどの表現力と迫力ある歌唱で思わず立ち上がりそうになってしまうほどでした。明菜様の衣装は最終的にノースリーブになっていました。そして最後に歌ったのは「DESIRE」。サビの歌詞「♪なんてね」の後に「は~どっこい!」と合いの手を入れるのが昔からのファンの定番らしいのでドキドキして聴いていたのですが、会場全体が「は~どっこい!」とものすごい声で一体となって思わず笑ってしまいました。歌い終わると最後のMCで「忘年会とかあると思いますけど、酔っぱらってそのへんのベンチで寝ちゃだめですよ♡」とかわいらしく言っていたのがなんだかとてもよかったです。
ショーは時間にして1時間ちょっとでしょうか。後半のヒット曲の猛チャージがすごくて満足しましたが、欲を言えば大好きなミ・アモーレだけでもフルコーラスで聴きたかった…。きっと会場にいた誰もが「あの曲聴きたかったなあ」という思いはあったことでしょう。調子は良さそうだったので2018年はライヴハウスやホールコンサートで歌ってくれることを期待したいと思います。
ちなみに開演前に物販で買ったグッズのアクリルキーホルダー。抽選箱みたいなところから取るランダム商品ですが2つ買って後で開けてみたら同じでした…