姉はいつだって私の憧れだった。 家に帰るのが年々遅くなる姉が、高校に入り髪を黄金色にすれば、中学生の私は室内ではバレない程度の栗色に染め、姉が美大に入り上京してからは、私も過保護な母から離れられる、東京の私大を第一志望にした。私は姉の背中を、自分のできる範囲で追いかけていた。それなのに、姉と私の差は近づけば近づくほど、時間が経てば経つほど、大きく開いていくように感じられてやるせない。 母は私に何かを期待しているようで、姉に対しての感情は放任しているというより、得体の
採算が取れないことばかり起こっているようで、私の頭の中は空っぽだった。空っぽで、こうして人気のない公園で煙草を吸っているのだが、それにしてもからだが震え上がるほどの怒りを落ち着けさせるのに、もうこれで何本目だろう。 彼のためなら何だってできた。彼が私のことを愛していないと言っても、これまで一緒に過ごした数年間の愛は無くならない。儚い愛に価値があると、自分、もしくは他人の恋愛を俯瞰している愚か者がこの世には一定数いるようだが、私には儚さと愛が同時に存在するとは思えないのだ