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勝手にフォロワーの #2023年自選十句を呟く から十句。

表題の件について。

2023年もやります!▼2022年はこちら ▼2021年はこちら 
順不同、敬称略です。

==以下、毎回恒例の注意書き==

X(旧Twitter)の仕様で検索をかけても出てこなかった方、鍵アカウント(非公開ツイート)の方、「自選五句」など別のタグを使用されている方(表記揺れ含む)、このnoteを書き始めた時点で未投稿だった方は入っていません。つまり、運です!
勝手に書くので勝手です。ご了承下さい。
(本当に勝手に書くので、執筆時点で相互フォローの方限定です。)

また、以前「無許可で句を載せられるのが嫌」とツイートしていたのを私が見た方(で、私が覚えている方)&X(旧Twitter)で俳号を隠されている方は念の為除きました。
載ってるけど嫌だよ!という方は削除しますのでご一報下さい。

なお、今回も句をクリックすると自選十句ツイートに飛べるようになっています。


【重要】はじめに

今回「#2023年自選十句をつぶやく」でX(旧Twitter)内検索、フィルターを「フォローしているアカウント」に設定し「最新」欄の1番古い投稿から遡りつつ書きました。
が、検索結果に全てのフォロワーが出てきませんでした!イーロン!!
明らかに全員出ていません。出ていない人の方が多いのでは?

全員分一気に読んで選ぶのが個人的に醍醐味だったので心が折れました。(例年より遅い公開となったのも頓挫しかけたからです。)「下半期自選十句」タグも混ぜる気満々で始めたのですが、検索しても全員出て来ないのにやる意味あるのか…?と思ってしまい結局含めませんでした。

自分が検索結果に含まれていたか気になる方は【まとめ】から確認してください!(2023年12月31日14時半頃に表示された全投稿がこれです。)

この通り、心がだいぶ頓挫寸前のため次回も同じようにやれるかは未定です…。次回どうするかは年末になってから考えます…。

文句は全て、イーロンマスクまでお願いいたします。→ リンク




【本編】2023年十人十句


★日脚伸ぶS字フックも伸びたがる 充子

「日脚伸ぶ」は晩冬の季語。冬至を過ぎ年も明け、日が長くなったなあという感慨を覚える季語です。
ベランダの物干し竿に吊るされているS字フックかなと想像しました。S字フックが本当に伸びる事は無いけれど「伸びたがる」という、作者の勝手な想像。この想像の自由さも相まって「日脚伸ぶ」のゆったりと時間の伸びていく印象、冬から春へ移り変わる心情の変化なども見えてきます。


★忘却を金木犀が許さない 川越羽流

私が作りたかった、と思わされた句でした。(褒め言葉)
記憶と嗅覚は密接な関係にあり、特定の匂いはそれに関連する記憶や感情を呼び起こすとされ「プルースト効果」という名前まであります。
金木犀の、金木犀にしか許されないあの香り。あの香りで何を思い出すのでしょう。「忘却を」「許さない」なので、本当は忘れたいと思っている記憶かもしれない。忘れたい恋の思い出かもしれない。けれど金木犀が香る度、記憶は繰り返してしまう。今までもこれからも許されないのでしょう。

(「金木犀」は秋の季語。)


★野兎の何も思っていない顔 たまのねこ

人間あるある。動物を見た時に「何を考えているんだろう」と想像する癖。
そこではっきり「何も思っていない顔」とずばり言い切る俳諧味を感じました。(俳諧味の使い方、合ってる??)
いやいや、もしかしたらとても深い事を考えているのかもしれない。と反論してみようかと一瞬過るのですが、言われてみればみるほど「何も思っていない顔」ですよね。

(「野兎」は冬の季語。)


★深淵を覗けば蛸が覗くのだ たーとるQ

「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」とはニーチェの言葉。この句が覗くのは蛸。
蛸は国によって神様とされたり悪魔だの怪物だのと言われがち。実はここ20〜30年の研究で蛸が極めて賢い動物である事が判明してきている、という記事もあります。
そんな蛸が、深淵を覗いてみるといたのです。蛸を覗く時、蛸もまた我々を覗いている。野兎は何も思っていないかもしれないけど、蛸は何かを思っているに違いない。

(「蛸」は夏の季語)


★前半を終へラグビーの無観客 藤田ゆきまち

2023年の振り返りとしてこの句について書きたい、と思い選びました。
コロナ収束と言われ始めて半年以上が過ぎました。約3年でしょうか。この間にコロナ禍について作られた俳句は沢山ありましたが、コロナ禍が過ぎてからもコロナ禍について連想・共感を生む句というのは数が限られるように思います。
この句は上五中七で順調にラグビー試合について語り、下五の「無観客」で裏切られ、はっとさせられる。非日常が日常であった頃のこと。

(「ラグビー」は冬の季語。)


★詩ってなに夕やけの始まりはどこ 里山子

今まで考えた事が無かった、という意味ではありませんが2023年は「俳句とは何か」「詩とは何か」について、俳句を始めてから1番考えた一年だったと思います。(きっと今年も考える量は増えていくでしょうが。)
そんな私の疑問を「詩ってなに」とストレートに投げかけたこちらの句。詩とは何だろうと考えた事のない俳人はいないと(たぶん)思うのですが「詩ってなに」という疑問をそのまま俳句にした人はいない事でしょう。
「夕やけの始まり」も私にはわからないけれど、そういう疑問の連続がおそらく「詩」となるのかもしれない、と感じました。

(「夕焼」は夏の季語。)


★どこも痛くないヒヤシンスが綺麗 朝月沙都子 

作者の背景が分からないので的外れな事を言っていたら申し訳ないと思いつつ、俳句とはたった十七音の短い詩なのでその余白を自由に旅するのも読者の特権。という免罪符を前書きします。
私は自分の母の癌治療を思い出しました。とは言っても癌自体の話ではなく抗がん剤治療の終了についてです。母は(私が娘だからだと思いますが)抗がん剤治療中も元気に逞しく過ごしていたのですが、抗がん剤の副作用は出ていました。詳細は割愛しますが…。
抗がん剤治療が終わり、また髪の毛が生えてきて、美味しくご飯を食べられるようになった母。
そんな母の姿が「ヒヤシンスが綺麗」という取り合わせから、連想されました。

(「ヒヤシンス」は春の季語。)


★妊娠中ですかにいいえ冬林檎 かむろ坂喜奈子

女性の肉体を持って生まれた人間あるある。
中学生の頃は「そんな訳ないだろw」と思いながら気楽にいいえへ丸をしていましたが、20代・30代と年を重ねていく内に、いいえへ丸をする度になんとも言い難いもやもやとした感情が一瞬後ろを通るような気がします。
林檎は秋に収穫されるので秋の季語。「冬林檎」は、秋に収穫した林檎を貯蔵して(出荷されて)冬に食べるもの。冬の季語です。
秋の「林檎」になれなかった「冬林檎」とは、私なのかも…なんて思いつつ、冬の林檎には冬の林檎の良さもあり美味しいですよね。
「いいえ」へ丸を付ける行為を孤独と読むか、強さと読むか。
どちらも女です。


★いうれいを干して畳んで仕舞いけり クラウド坂の上

「いうれい」は旧かな表記で、新かなでは「ゆうれい(幽霊)」となる事を記載しておきます。
「幽霊」を夏の季語とするか否かは歳時記の編者や先生によって考え方が分かれるところ。その問題は一旦放置してみるとして、それにしたって「幽霊」を季語に俳句を作る事はとても難しいなと考える度に思います。
たいてい怖いとか寂しいとか、和室とか夜だとか、そういう共通のイメージに囚われて終わってしまう印象があります。
が、この句はなんと「干して畳んで仕舞いけり」と!まさかそんな扱いを受けるなんて幽霊も思っていないでしょう。最後のダメ押しの「けり」も、最高。この面白さを上回る幽霊句は出て来るのでしょうか。今年も楽しみです。


★コーヒーもあの子も苦手室の花 ひなた和佳

「室の花」は冬の季語。春に咲く植物を温室で暖め早咲きさせたものです。私が室の花なら「春になったと思って咲いてみたけど、空間が暖かいだけでまだ冬だったわ。騙された。」とか言うでしょうね。
春に咲くはずがまだ冬だったなんて、花にとっては居心地の悪そうな事。
まるで苦手なコーヒーを飲まざるを得ない人間のような状態。
「あの子も苦手」の「あの子」は、一緒にいるのでしょうか。それとも、喫茶店か何処かでコーヒーを飲みながら「あの子苦手なんだよね」なんて話を誰かとしているのかも?
どちらにしても、何とも言えない居心地の悪さ。
それでも「室の花」は綺麗に咲いているのでしょう。



【まとめ】フォロワーの自選十句から一句


(明らかに2023年分より量が少ない!おのれイーロン!!)

・1月9日公開分

ラーメンに正しき作法初座敷 登りびと

★どこも痛くないヒヤシンスが綺麗 朝月沙都子 

トマトって浮くの恋って落っこちるの 染野まさこ

森ひとつしぼつたやうな新酒の香 平良嘉列乙

潜っても息しても青夏休 朝霧さら

★日脚伸ぶS字フックも伸びたがる 充子

雷や電車は「革命」のリズム 空豆子

大根の煮えて満月よりも丸 ぞんぬ

噴水の鉾先誰も傷付けず 水素

頬づえの部室とおくを卒業歌 池之端モルト

熱燗やあんた日本語しゃべれたの 着流きるを
(十一句目に選ぶならこの句。)

狼の眼の中の吾見る吾よ 迫久鯨

八月や浸水したる滑走路 星月彩也華

砂利道の音は虹いろ千歳飴 かつおぶし

★コーヒーもあの子も苦手室の花 ひなた和佳

ほうたると四音さよならより長し 高田祥聖

★妊娠中ですかにいいえ冬林檎 かむろ坂喜奈子

猫抱いて心臓重ねあう小春 うからうから

両乳を吸ひつくされてゐる水母 赤尾双葉

罵詈まぜて粥やはらかく煮る夜長 秋野しら露

美しき会話落葉に落葉降る 恵勇

町おこしあの逃げ水に賭けてみる 朱鷺9条

鳥雲に次に住むなら海の街 冬野とも

立春大吉鳩の蹴散らすポップコーン さるぼぼ

手を離れきらぬ文鳥後の月 ふにふにヤンマー

昭和史を縛る晦日の集積所 麦のパパ

私小説作家のやうに焼く秋刀魚 石上あまね

炎帝が影喰い尽くすロスタイム 北欧小町 

ゆきだゆきだこゑはひかりとなりゆたか 古瀬まさあき

新馬鈴薯の少し歪な未来形 岸来夢

★いうれいを干して畳んで仕舞いけり クラウド坂の上

半夏生ときに正しくない自分 有野安津

黄昏を時計仕掛けのコート達 月岡方円

賢治忌を胸ポケットのあるパジャマ 高尾里甫

★忘却を金木犀が許さない 川越羽流

薫風や味はふやうにフランス語 たま走哉

月獲てなほ蜘蛛の淋しき足余る 元野おぺら

★深淵を覗けば蛸が覗くのだ たーとるQ

あげた手にミサンガ俳句甲子園 クリスマスローズ

花守の鼓膜はみづうみの感度 広瀬 康

上座とは厠に遠き鰹かな 山本先生/たくみ

ここに生きるとまとかぶりつく人と とまや

水澄むや鏡は先に笑わない 時小町

★前半を終へラグビーの無観客 藤田ゆきまち

曼珠沙華こはし秘宝館こはし 小野更紗

タミフルはにがい布団はいじらしい 横縞

斑猫や踏切だけに在る地名 となりの天然水

つぴつぴと鳴けばつぴつぴ夏の山 香田ちり

カタカナの愛の告白愛の日の 歯科衛生子

側転は青芝を裁ちゆくやうに 古田秀

★詩ってなに夕やけの始まりはどこ 里山子

鳴神や母を呑み込む12号炉 千代之人

「佐藤け」と書いても二人いて桜 さとけん

クーピーでママの絵かいた星月夜 星空はぼたん(8歳)

憎しみも引力だろう青林檎 馬勝

あいうえお順に入場チューリップ 蒼空蒼子

ほうたるや肺はさびしいから萎む げばげば

★野兎の何も思っていない顔 たまのねこ

致死量の青空ゴールデンウイーク 沖原イオ

残業のマウスの手垢濃き秋思 北川 颯


・1月26日以降追記分 (二重の方がいたらラッキーという事で)

卒業証書わたしわたしのなまえ好き 古瀬まさあき

DJの優しき声や星流る 花星壱和

入江より崖のぼりくる大雷雨 風早杏

6Bを円錐に削ぐ麦の秋 庭野環石

楽器箱担ぎ朝顔市に入る 伊藤映雪

湯むきして素直な赤となるトマト コンフィ

桜蘂降るや嘔吐に血のかすか 立川猫丸

蝶あざやかしょっかくがとれてるけど 樹海ソース

ピカチュウの撃たれまくつてゐる夜店 石井一草
(この句とても天才なので最初の検索で出てたら鑑賞文書いてたと思う)

こびり付くものみな削ぎて春の雨 北村崇雄

アルパカの小屋を抜け出す聖夜かな 福原あさひ

家族皆しましまを着る文化の日 三倉十月
(俳句鑑賞、いつも楽しみにしています。)

ゆびきりの指のぬくもり冬隣 葉月庵郁斗

水母の拍動こころをひらく音かしら あなぐまはる

春の夜のふたり食洗機に刃物 幸田梓弓

久女忌の鏡が晴れきつて割れる 内野義悠

土にまみれて生きる兎のように兎のように 飯田イサク

合コンは気怠し満月は遠し 鈴白菜実

花冷の肉球お手もおかわりも 光峯霏々

珊瑚から浮かぶたまごのやうに飛花 雨野理多

翡翠に問ふほんたうのみづの色 陽光樹

地ビールといふ故郷の水を呑む 音羽凜

猫の子がいま気付きたる後ろ足 西川由野

吠えすぎの犬よ卒業証書くらえ 岬ぷるうと

お呼ばれに土地神忙し今年酒 いさな歌鈴

酒に毒煙草に毒と書きて春 暖井むゆき

人呼んで新じゃが掘り尽くし太郎 凪太

ともしびならいいそれぞれの夜の桃が ツナ好

指先のででむしの殻ひとまき半 井納蒼求

長き夜やカプセル剤の丸きかど 山城道霞

蜘蛛に影蜘蛛の囲に影なかりけり 常幸龍BCAD

俯けば拾ふ不安も団栗も 碧西里

夜廻りのまた喧嘩して過ぎゆきぬ 露草うづら
(鍵アカウントはリンクが貼れない仕様だと知ったいま)

駐禁の紙にも霜の降りにけり 白猫のあくび

草笛を栞にすることもできる 疼木快維

コスモスが好きで生前葬は此処 じゃすみん

大根へ隠し包丁辞表書く 小川さゆみ

枝豆を指まで吸うて愚痴の夜 きつネつき

後ろから「あ」と声がして後の月 たいらんど風人

紅葉かつ散るドネルケバブの削がれゆく 京野さち

白玉の窪みに甘き影ありぬ 菅井香永

シーソーに支点力点こどもの日 めぐみの樹

肉体の春が標本箱に澄む 三枝ぐ

団扇作る卯の花色の糊を刷毛 中岡秀次

春の潮たばこ吸ったら戻る道 五味海秀魚

新暦母になる日に二重丸 大久保加州
(鍵アカウントはリンクが以下略)

級友の嚔を聞き分ける特技 幸の実
(受験という季語体験に向けて!息抜きしつつ頑張れるよう応援しています♪)

コスモスや反旗のように干すシーツ 桃園ユキチ

夏来る明朝体の縦書きで ぱんだ社長

少年の肩に湯気立つ相撲かな 木村弩凡

秋空がコバルトブルーだし死ぬか だんがらり

うどんしか点かぬ夜学の券売機 青居舞

助詞一字決めかね長き夜の煙草 多喰身・デラックス



以上、2023年も素敵な俳句をありがとうございました!
2024年も楽しみにしています!

よろしくお願いいたします!!


↓2022年のまとめはこちら↓


↓ついでに私の投句備忘録↓


(誤字脱字・俳号間違いありましたら修正致しますので旧Twitterへご連絡下さい。間違えてしまった方々、大変申し訳ありませんでした。)

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