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勝手にフォロワーの #2022年自選十句を呟く から十句。

表題の件について。

2022年版もやります!(2021年の記事はこちら
今回も感想を勝手に書くのは十人十句に絞っています。
順不同、敬称略です。

Twitterの仕様で検索をかけても出てこなかった方、鍵アカウント(非公開ツイート)の方、「自選五句」など別のタグを仕様されている方、このnoteを書き始めた時点で未投稿だった方は入っていません。
つまり、運です!

勝手に書くので勝手です。ご了承下さい。
(本当に勝手に書くので、執筆時点で相互フォローの方限定&感想十句は2021年版で書かなかった方を優先しました!)

また、以前「無許可で句を載せられるのが嫌」とツイートしていたのを私が見た方&Twitterで俳号を隠されている方は念の為除きました。
載ってるけど嫌だよ!という方は削除しますのでご一報下さい。
なお、今回も句をクリックすると自選十句ツイートに飛べるようになっています。



大節季紙は積まれて死んでゆく 平良嘉列乙
2021年の自選十句にギリギリ入らなかった、2021年12月の大節季の一句。
入っていたら絶対感想書きたい!と思っていたので今回書けます。嬉しい!
私も事務仕事をしていて、書類ごとに保管期間だのが設定されている為紙の山を保管しています。
会社だったり労基だったり?の決まり事なのでその間は捨てずに保管しているのですが…。ま〜一度積んだら一生読まないもの!保管はされているけど読まれる事の無い紙達。読まれる事の無いまま、捨てられずに増えていくだけの紙・紙・紙…。
道具として「使う・使わない」の意味での生死も勿論ですが、単純に紙というものは年月を重ねると老います。これは、敢えて私が言うまでも無いですが、本当に歳を取ります。
そうして積まれたまま、保管期間を達成した紙達を順番にシュレッダーへ。
もう二度と、読まれる事もない。読む事もない。そんな紙たち。
積まれたら、あとは死の順番を待つだけの、紙たち…。


いかなごのトラックたたた猫たたた 露草うづら
こちらは第3回猫俳句大賞で佳作に入られていた句ですね。おめでとうございます!
私は猫を飼った事が無いのですが(動物アレルギーも発覚したので今後も無い人生を歩むであろう…)猫の俳句は大好きです。今回も何句か猫句選んでいると思います…笑
その中でもこの句の好きな所は「たたた」のオノマトペ&リフレインです。
美味しそうな「いかなごのトラック」が「たたた」と行く…
トラックと同じリズムで「猫たたた」…
これが堪らないのですよ!
猫と魚・猫と海・猫と漁師などは相性が良すぎて逆に難しい取り合わせだと何となく私の中で思っているのですが、トラックと猫は…可愛すぎるじゃろがい。
可愛すぎる。本当に可愛すぎるの一言に尽きます。
「2022年忘れられなかった俳句オブ・ザ・イヤーらぴ部門」にノミネートされていた一句です。


神様は足し算が好き燕の子 片岡六子
六子さんは「そんな傷なんて蜜柑の汁で直せ」も好きなのですが、こちらは感想を送った事があるので今回はこちらの句。
初出を覚えておらず申し訳ないのですが(検索したら文芸選評でした!)、今回改めて自選十句へ目を通して惹かれた一句です。
「神様は足し算が好き」、、、この詩の言葉、好きです。
掛け算じゃないんです。足し算なんですね。そして引き算でも無いし、勿論割り算でもない。逆に言えばちょっと残酷…と考える事も出来るのですが(1+1=2以上になる事は好きではない、と言う事も出来るので)、その捉え方・受け取った人の考えの広がり方も含めて素敵な句だなと感じました。
そして、季語は「燕の子」。
この季語の落とし所も素晴らしいと思います。
季語が「燕の子」なので、先程書いた残酷な可能性が和らぐような気持ちがします。ほっこりと、ぷくぷくと、溢れんばかりの燕の子。
神様は足し算が好きだから、今日も燕の子はすくすくぴよぴよ生きているのでしょう。


猫の子の可愛いところ百個書く たまのねこ
先程うづらさんへの感想で「2022年忘れられなかった俳句オブ・ザ・イヤーらぴ部門」というのを勝手に名付けていましたが、この句もノミネートされていました!
私は猫の句を読むのも作るのも大好きなのですが、猫の句って本当、作るのも感想を伝えるのも難しくて本当困ったちゃんだと思っています。
だって、猫って、存在が可愛いじゃないですか!まず!!
そして俳句になって、俳句になった時もたいてい猫って可愛いんですよ。
特に作者が猫好きで、猫のこんな可愛さを読み手に伝えたいと思って作っていると、更に。こちら(読み手)も冷静に読んでいられないのです。
可愛い猫に、脳みそが支配される…!もう、可愛いしか言えない。
しかし「可愛い」という言葉はとても抽象的。可愛いだけで生きていけるのは猫の子とウサギくらいです(ウサギはただ私が好きなだけ)。
我々は残念ながら猫でもウサギでもなく、人間なので、しっかりと猫の子の可愛さを言語化してあげなければなりません。猫たちの為に。
そうした時にどう言語化すれば良いのか。
この句は、たまねのこさんの答えです。
説得力しかありません…!拍手!!!


水底の影まで朱き金魚かな 音羽凜
ラジオまどんなで紹介されていた一句です。
2022年の音羽凜さんといえば俳句生活「螽斯」で天を達成されていたので、皆さん私が天の句を凜さんから頂くと思っていましたか。チチチ、あの句も好きですが「好きな句を選んで家に飾って良いよ」と言われたら迷いなくこの句を選びます。
「影まで朱き」って、美しいじゃないですか。
この措辞だけで、金魚の泳いでいるところの水が清らかで、光も透き通っていて、朱い影がゆらゆらと輝いていて、美しい映像が見えてきます。
「水底」から私は青・水色を想像しました。金魚掬いで掬われるのを待っている金魚たちの水槽でしょうか。夜店の金魚。この一匹を掬おうと選んでじっと、観察しながら様子を見ていると影まで朱い事に気付く。
この色の対比と(夜店なので本当は賑やかかなとは思うけど集中した時間の)静かな空間、ハッとした気付き…。
こうやって「かな」は響くのですね〜〜!
(色彩美、映像美を魅せた句に私は弱いのだなと自覚しました。)


ぼくたちは言葉の奴隷室の花 広瀬康
青嵐俳壇での一句。青嵐俳壇は毎回すごい句が並んでいて凄いなあと眺めているのですが、この句も本当すんごいですね。
おそらく、というかきっとそうなのだろうけど「言葉」や言語って人間がまず作って使い始めたものだと思います(宗教的に言われている可能性は今回棚の上にあげますのでご了承を)。
大昔の人間が考えて、作って、始めた「言葉」というコミュニケーション。火や水などと同じように、人間にとってそれはまず「道具」だったのだろうと思います。
でも今、言葉について考えた時「ぼくたちの道具」というよりも「ぼくたちは言葉の奴隷」と言う方がとてもしっくりくる感じがします。何故なのでしょうかね。
言葉を使うのではなく、言葉に使われている感覚…。
それでも「ぼくたち」は、言葉を使っていくことでしか伝えられない。
言葉の奴隷として、伝え続けるしかない…。
この不思議な感覚が「室の花」と共鳴していて、、


食い逃げ犯あっという間に雪ん中 凪太
先程からチラチラと言っている「2022年忘れられなかった俳句オブ・ザ・イヤーらぴ部門」、最優秀賞は凪太さんのこの一句です。
1月にこの句がこの世に出てから、ず〜〜〜っと私の脳内に張り付いて離れない、大好きすぎる一句でした。
最高すぎるんですよね。
あしらの俳句甲子園は(出た事も観戦した事も無いですが)即吟でバトルする大会とのこと。つまり、これは即吟なのですよ。
「即吟だからすごい」なんて言う理由では、今回選びません。
しかし、即吟だからこその勢い、爆発力、凪太さんワールドが最大限に発揮されていると思います。
どの言葉にも無駄がない。一番すごいと思うのは中七に「あっという間に」を置いた事だと私は思います。あれこれと説明せずに、本当に「あっという間に」だったのだろうと。
今年のあし俳はどんな句が炸裂するのか…!
凪太さんの句も、勿論他の参加者の皆様の句も楽しみです!
(当日、私は労働がんばります涙)


みかんむく少しやさしくなれました 幸の実
めぐみの樹さんのTwitterより、幸の実ちゃんの一句。
この句、映像的には「みかんむく」しか情報が無いのです。
みかんをむきながら「少しやさしくなれました」と、思う…呟く…。
この、十七音の中にある大きな余白に想像が広がります。
「やさしくなれました」と言う事は、みかんをむく前はやさしくなかったのかもしれない。前後に何が起きたのかは言わない。ただ、みかんをむいている今は「やさしく」なれた事に、ホッとしているような感覚。
この感覚が読後やってきて、読んでいるこちらもあたたかい気持ちになりました。
特に言葉選びで凄いなあと感じたのは「少し」です。
頑張ってやさしくなったのではない。ほんのちょっとだけ「少し」だけ。このやさしさのサイズ感にリアリティと実感と「みかん」の優しさ。
こうして「少し」を積み重ねて、人は優しくなっていくのだろうと、
優しい幸の実ちゃんの一句にホッコリとした30代独身女性でした。


寒紅をこんな夜中につけてゐる 月岡方円
「2022年忘れられなかった俳句オブ・ザ・イヤーらぴ部門」優秀賞はこの一句!NHK俳句での一句ですね。最優秀は逃しましたが、この句もかなり印象的で、1月発表から一年、ずっと忘れられなかった句でした。
櫂未知子先生も言っていましたが「こんな夜中に」って、すごいですよね。
寒紅をつけてゐる本人がそう思っているのか、それともつけてゐる人を見て作中主体が「こんな夜中に…どこへ行くんだ…」などと思っているのか。
どちらにしてもこの句は、寒紅の艶っぽさが更に艶っぽく輝いているような気がします。
「こんな夜中」の暗い中で、ひっそりと寒紅の「紅」が妖しく光りだすような…。
冬になって、自分も寒紅の句を作ろうと思うたびにこの句が頭に浮かびます。


をとことは火星人なりおでん食ふ 青井えのこ
なんですか、この句は。
「をとことは火星人なり」と、言い切っている所に妙に説得力があります。
そしてそう、たしかにね。女性と男性は別の生き物だなと感じる事は多々あります。(もちろん男性も、女性の事を火星人と思っている可能性は高いですが!)
そして「なり」と言い切った後、唐突に食う「おでん」…。
なんだ!酔っぱらいの女か!おい!と、思わず突っ込んで笑いました。
たぶんですがこの句、季語を「おでん酒」で落としたくなる人が多い気がするのですが、おでん酒とせずに「おでん食ふ」で、おでんを食べている動作・映像へ落とした事で「酔っ払いの女か!おい!」と私が突っ込めたのだろうと思います。この季語の選び方と映像の作り方が絶妙なバランスです。
何だかんだ言っても、文句も愚痴も全部酒のつまみ。おでんの具。
火星人との出会いも人生のスパイス。
今日も酒がうまい。世界平和。ラブ&ピース。
この、あっけらか〜んと力抜いた空気感がたまりませんね。



以上、十句でした!

以下、2021年同様検索に出てきたフォロワーさんの十句から感想無しですが好き句を一句選んだリストです。(順不同・敬称略)
有り難い事に一年でフォロワーさんが増えたので、2023年は全員一句選べないかもしれません…。よろしくお願いします。

割り算の余りのような落椿 登りびと

熱燗や猫は理系といふ話 うからうから

浪人の決まった夜の蜆汁 コンフィ

東大に行けばなんとかなる朧 鳥田政宗

いわし雲主治医も外を歩きけり 青川紅藤子

いますよとここにいますと蝉の声 染野まさこ

健診や紅下黒の血は暑し 濃厚エッグタルト

小雪やスナック純のキーホルダー 木野桂樹

ワイシャツは一途なかたち濃紫陽花 真井とうか

生きてゐる春を喜ぶ人として 多喰身・デラックス

御歳暮の油だ鍋よたんと飲め たーとるQ

炎天にドッヂボールの球掲ぐ 齋藤ちの

面倒な姪を預かる遅日かな 西村棗

鷹乃学習*のほこり舞ふ 迫久鯨

じゃかじゃかと出囃子あたたかはいどうも〜 里山子

不機嫌なヴィトン冬日の課長席 幸田梓弓

ペンギンの一足ごとに夏きざす 冬野とも(Tomo)

幾人の学費で光る聖樹かな たま走哉

よくしゃべるコンビニのレジ春暑し 空豆魚

スイートピー迷子の椅子が高すぎる 充子

水筒の底に我の眼原爆忌 碧西里

草の花楔となりし褒め言葉 有野安津

指定校推薦重しかたつむり 鈴白菜実

クロールの息継ぎ横倒しの空 中岡秀次

網膜より放つ一億の蝶よ 西田月旦

並ばない子もいて我らチューリップ 沖原イヲ

たんぽぽはたんぽぽが好き黄檗色 ぽっぽ(水須ゆき子)

にんげんに体温の膜ヒロシマ忌 さるぼぼ

鯛焼を家まで抱いてゐる係 暖井むゆき

良い子から夏の子になる夏休み 亀田かつおぶし

蟇どうせ世界はうつくしい 比良田トルコ石(さぬいち)

福引並ぶおとんの次の次おかん 藤田ゆきまち

この枝は勇者の剣秋の風 麦のパパ

教科書の清き断面啄木忌 あさひ

革靴に伸ばす靴墨年の暮 星月さやか

鯛焼を割るや家族の解散日 げばげば

炎帝に打たるる杭のごとビル群 いさな歌鈴

残菊や老犬の眼の白濁す クリスマスローズ

針供養小指短き優男 北村崇雄

氷点下二十一度の新聞紙 よしざね弓

右つけば左もしぼむ蝸牛 イサク

ガリ版の指の汚れをかたつぶり 石上あまね

ふぼふぼと喜雨に駝鳥の駆け回る 藤雪陽

スイートピー本音言ふ時揺らす脚 かむろ坂喜奈子

薪二本焚べ本題へ星月夜 山本たか祥

ママチャリが敢えて落葉を轢いていた ぞんぬ

夏果のパフェや夕日の底掬ふ ぐ

霜柱戸籍謄本取りに行く 村先ときの介

カトレアや退勤のピを響かせて 山本先生

秋夕焼障害物の多き街 ぱんだ社長

羅や最後は何も言はぬ嘘 菅井香永

くだり吹く進路希望の文字薄し 北欧小町

折り紙の痛みの永し原爆忌 磐田小

初売の魚の目玉おもたさう 世良日守

ギヤマンの淋しき気泡数えをり めぐみの樹

立夏なり犬がつがつと海喰らふ 長谷川水素

立ち読みで済ます黴雨の啓発本 ふるてい
(わかる〜〜)

嚔とはわたしの破裂ではないか 銀紙

ででむしの透けて明日は未完成 川越羽流

ディスポーザーのレモン最後の香を放つ あなうさぎ

鳩いるし遠回りしよ春日傘 あらせもんじ

うらうらと永久機関めくひかり けーい◯

魔導書をはたけばミモザ匂ひけり 染井つぐみ

草の花今日も仕事に行けました 石井一草
(えらい!と、自分に言い聞かせるようにこの句を復唱しました。)

理科室の秋思を雲にする実験 高尾里甫

地球儀のソビエト小さし冬灯 池之端モルト

原爆忌水平線が遠すぎる 北川楓

詠嘆を螺旋にもみ消して滝よ 加座みつほ

枯茨嫌われてると思ってた だんがらり

取り壊す家のにおいや秋夕焼 秋野しら露

モンブラン突きくづす間の憂ひかな 横縞

白鳥を受理せよ月へ湖開けよ 元野おぺら
(一句目も好きで迷いました)

水差しの影にも水位昼寝覚 古田秀

おひさまがおちてさいたの福寿草 秋白ネリネ

原爆忌こゑには影がないと知る 常幸龍BCAD
(アイコンいつまで蝸牛なのでしょうか…)

話すこと絶えて胡桃のよく馴染む 髙田祥聖

薬味なき夜の春愁を刻みをり 田中木江

そこに雪あるかに歩く狸かな さとけん

影までが私の領土草の花 ひでやん

ねだりたる夜店の烏賊の噛みきれず ふにふにヤンマー

如何にせん薔薇散る時のオノマトペ 多木紫蝶

爽やかやきりんのまつ毛の長きこと 小川さゆみ

睡眠は死の微塵切り夏の果 乙華散

セーターの裾をはなさぬ小さき手 大督寺

全身で鳴らすチェリスト今朝の秋 颯萬

精神を病む母のもじ花の雨 夏風かをる

野へ放つこいつは光らない蛍 西野誓光

ふらここや転校生になる明日 岸来夢

枝豆やひとつ残らずいい話 香田ちり

趾にジュラ紀の記憶巣立鳥 井納蒼求

もつ煮みたいにどろどろ年を惜しむかな いかちゃん

六歳と生理のはなし柿の花 安

たましひの上澄み濾して冷奴 藤白月

春キャベツ秘密主義者を自称せり 五月ふみ


2021年同様タグの表記ブレ&「下半期の〜」タグを使っていた方も纏めようと思ったのですが、人数が増えたので断念させて下さいm(_ _)m
申し訳ないです。(と言いつつ気が向いたら追記していきます。)


以上、2022年も素敵な俳句をありがとうございました!
2023年も楽しみにしています!
よろしくお願いいたします!!



↓2021年のまとめはこちら↓


↓鑑賞まとめはこちら(書くと言ってあまり書けていない)↓


↓ついでに私の投句備忘録↓


(誤字脱字・俳号間違いありましたら修正致しますのでTwitterへご連絡下さい。間違えてしまった方々、大変申し訳ありませんでした。)

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