見出し画像

パントマイムアーティストがオススメする、映画の中のパントマイムシーン #24

今回は番外編
個人的に絶対に観てほしい、映画の中のパントマイムシーンを5つ程ご紹介します。

紹介しておいて直ぐに観れないのは残念に思ったので、You Tubeにアップされていて視聴可能なものからチョイスさせて頂きました。

ワンシーンだけでもインパクトは抜群!
もしこのシーンから映画自体に興味を持ちましたら、タイトルも載せておきますので、是非レンタルして全編ご視聴いただければと思います。

視聴して損することは絶対にない名作揃い!!

それでは紹介行ってみよー!

1.『雨に唄えば』より 人形と戯れるシーン

言うまでもない超有名作!
観てない方は人生損をしているので至急ご視聴下さい!!

こちらの映画は雨の中、傘を片手に街灯の下で踊るシーンが有名ですが
俳優ドンの親友コズモがアクロバティックに歌って踊るこちらのシーンを今回はチョイスさせて頂きました

その身体能力は勿論のこと、ソファでのやり取りや仮面の様に器用に顔を変えるところも絶品ですね!この曲と歌詞も含めて真のエンターテイメントとはこういうことだと心から感じる作中の名シーンです。

それにしても、この時代の俳優さんは楽器にダンスにアクロバットに演技にと、ジャンルに縛られることなくこなす多彩な方が多くて本当に凄い!

2.『キートンの探偵学入門』より ゴミの中から紙幣を探すシーン

三大喜劇王の一人!バスター・キートン!!
世界一の無表情と評される、どんな場面でも決して喜怒哀楽を表情に出さない、身体能力モンスター!!


サイレントムービーの時代ですから、全編もともと台詞はないのですが
名シーンだらけのキートンの作品の中から、今回はゴミの中から紙幣を探すこちらのワンシーンをピックアップさせて頂きました!

言葉が無くても思考の展開がこちらにはっきりと伝わるのは、体で雄弁に語っているから。最後のオチまで秀逸過ぎるこの流れと、変わらない無表情を見ていると可笑しくてしょうがない。まさに天下一品です。

アクション俳優のジャッキー・チェンにも多大な影響を与えた、アクロバティックなシーンも見どころ抜群で、どんなに危険なアクションをしていてもコミカルに見えるのは、とぼけたキートンのキャラクターとモノクロ画像の非現実性が相まってのものでしょう。

2分30秒頃より↓

3.『吾輩はカモである(Duck Soup)』より 鏡のシーン

ドリフのコントなどにも多数オマージュされている、超有名なアメリカのコメディ俳優グループ【マルクス兄弟】!!

1930年代〜40年代にかけて活躍し、後世に計り知れない影響を及ぼしたコメディアン。立川談志、いとうせいこう、村上春樹などなど、著名な方々も含め日本でも熱狂的なファンが多数いるという。

この鏡合わせの表現手法は、これまで様々な作品で使われておりますが、元祖はこの作品からでしょう。分かっているのに面白いという作品が、一番面白い作品なのだと思わされる名シーンです。

4.『天井桟敷の人々』より 泥棒の犯人を教えるシーン

言わずと知れたパントマイムの礎を彩った男!
名優、ジャン・ルイ・バロー!!

その代表的な名作『天井桟敷の人々』より

最初にこの映画と出会ったのは、自身もパントマイムを初めて数年経ったころ。先生から「パントマイムをやっているのに、この映画を観ていないのは勉強不足!」と言われ、その日にレンタルして観たのを覚えています。

2021年の現在も映画館にて再上映されるなど、世界中にパントマイム俳優の存在を知らしめた名作ですが、その中でもとても象徴的なシーンでしょう。
ジェスチャーマイムの要素を含みながらも、コミカルに複数役を演じ分ける。まさにパントマイムならではの表現であると感じる名シーンです。

映画自体はこの手のジャンルには珍しく、コメディではありません
愛の真実を見事に表現した、世界最高の恋愛映画と呼ばれています。

5.『独裁者』より 床屋での髭剃りシーン

最後は世界の喜劇王、チャールズ・チャップリン!!
映画『独裁者』はラストの演説があまりにも有名ですが、こちらのシーンも現代まで影響を与え続けている名シーンです!

チャップリン映画初の完全トーキー(全編に渡って台詞のある)作品として知られるこの作品ですが、この床屋のシーンは音楽に合わせた動きのみで台詞はありません

ブラームスの『ハンガリー舞曲 第5番』に合わせてコミカルに髭を剃る。ただそれだけなのになぜこんなにも面白いのか。
音楽に合わせて動きを当てる、ダンスではない目的を持った動きを用いるからこそ、パントマイム的であり物語性を生み出すのでしょう。

このシーンに衝撃を受けたパフォーマーは現代においても数多くおります。
こちらの映画も混乱の時代にこそ観ておくべき名作中の名作!まだ観ていない方は近日中に必ずチェックするように!!

映画の中で見られるパントマイム

いかがだったでしょうか。
後の様々なパフォーマー、エンターテイナーに絶大な影響を与えたとても有名な作品どころから5作品ご紹介させて頂きました。

現代ではこのような演出で撮られる映画は殆どありません。
台詞とコマ割りとCGで作られるので、人の身体能力やこのようなパントマイム的な要素で場面を構成することが無いのですね。

言葉を用いずに笑いや驚き、感動を生む
これはパントマイム作品に求められる要素ですが、サイレントムービー全盛の時代においては全ての映画俳優が求められていたことです。

この時代の映画からは、現代のパントマイムパフォーマーも学ぶことしかありません。探せばまだまだ掘り出し物があることでしょう。

また今後も、パントマイムアーティストの目線からみた、パントマイムシーンが秀逸な舞台、映画、シーンなども機会があれば取り上げていきたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!