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Vtuberのパントマイム #32

今年はテレビ番組において、パントマイムのレクチャーやパフォーマンスにチャレンジ!というような企画やコーナーが多い年のように感じる

たまたまアンテナを張っていて入ってくる情報なのかもしれないが、実際に今年は多いのではないだろうか

自身も今年『トレスギJO1』という番組にて、メンバーに振り付けと指導をさせて頂いたし、それ以外の番組でも同様のスタンスの番組を多く目にした

要因として今年は東京オリンピックの【ピクトグラム】の演目の評判
コロナ禍におけるソーシャルディスタンス、感染症対策に配慮した飛沫無しでも表現できるジャンルなど。時世と収録環境に適していたことなどがあるのかもしれない。

Vtuberがパントマイムにチャレンジ

つい先日、丁度この投稿の二日前の話だが
深夜にが~まるちょばのHIRO−PONさんがパントマイムの講師として、とある番組に出演されていた

『超人女子戦士 ガリベンガーV』という番組だ

そこでレクチャーするお相手はなんとVtuberだった

【電脳少女シロ/花畑チャイカ】という二人のVtuberに、パントマイムを教える。たまたま目にした番組だったが、最近はこのようなバーチャルキャラクターが番組出演することは増えているので珍しいことでは無い

しかし、パントマイムにチャレンジという企画は初めての試みだったのではないだろうか。

内容はスタンダードな綱引きのテクニックにチャレンジというようなものだったが、体は3Dモデルでも、しっかりと教えてもらう内容にそってリアルに反応し、教わった動作に楽しく取り組んでいた。

自身もモーションキャプチャーの仕事をしたことがあるので分かるが、バーチャルモデルも指先一つ一つまで演じる人物同様の動きをキャラクターは再現することが可能だ。

しかし、細かいところはやはり難しい
例えば番組内で語ってくださっていたように、体の質感を演じているものと同様に表現する”同化”というテクニックは、全身の筋肉やスピード感を非常に細かくコントロールする

質感の表現に関しては以前こちらの記事にて”代償表現”という項目として語っているので参考にして欲しい↓

要は全身が演じているものの代わりになるので、関節だけをトレースしても質感は表現できないということだ。

また、目線も超絶重要なポイントになるので黒目の動きも連動しないと表現の質は下がるし、かなり細かいところまで再現出来ないと、あくまでもパントマイムの入り口を形にするというところまでになるのだと思う。

その他のバーチャルパントマイム

バーチャルモデルもどれくらい作り込めるかで質感は大きく変わるだろう。潤沢な予算を持ったハリウッドでは既にバーチャルモデルのキャラクターも、本当の人が演じているのと同様のクオリティでパントマイム表現を実現させている

『名探偵ピカチュウ』という映画にて
バリヤードというパントマイムポケモンのシーンがバーチャルモデルにて演じられている

こちらは実際に海外のパントマイムアーティスト
”トリグビー・ウェイクンショウ” という方がキャラクターのモーションを担当されたそうだ

実際の動きをあてているのだから、息遣いやコミカルさは非常に高かった。
それでいて、テクニックも質感高く表現されていたように思う

また【FF14】というゲームにて
パントマイムモーションが追加され話題になっていた。

これはパントマイムの壁の要素を形にしている。
この他にも、その場で歩くマイムウォーク的なものや、コップなどを持つ動作などが無対象で表現できるようになっていたと思う

有るように見せるのがパントマイム

これらのバーチャルモデルの演技は、例えば実際に透明な壁を画面内に配置すれば、モーションはリアルに見えるのかもしれない。

しかし、テクニックの"見せ方"で言うならば
現実の動作ある様に見せる、は違っている。

全て透明な空間で動いてしまえば、無対象動作における一つのパントマイムにはなるだろう。しかし

無いものを有るように見せているのか
有るものが見えないのか

これは実際別物だと思っていただきたい
現実と虚構は違うように、表現の仕方は異なってくる

デジタルの場で活かされる技術

デジタルの現場では以前からパントマイムの要素を取り入れる機会は多くあった。

キャラクターが重いものを持つという動作をプログラムする際に、人が重いものを持つときにどのように体が動いているのか、どのように関節が連動しているのか。それがわからないとキャラクターを動かすことはできない

同じ様に引っ張るや引っ張られる、押すや押されるなど、一つの方向から受けたエネルギーはどうやって表現すればそのように見えるのか。

これは一つ、パントマイムにおける力感を見せるテクニックで学ぶことなのだ。

3Dのモーションをつける際には、それらを体系的に説明できる理屈やロジックが明確になっている必要があるだろう。

なぜ壁が壁に見えるのか?
なぜ言葉がないのに感情が伝わるのか?
なぜ無いものがあるように見えるのか?


それらは全て理屈があるもので、説明できなくてはならない。

自身が継続してこのnoteに上げているのはパントマイムのレクチャーや、やり方の話ではない。

【パントマイムの教科書】というタイトルにあるように、体系的にパントマイムにおける理屈や概念を綴って行きたいと思っている

デジタル環境においても必要な知識。
パントマイムに従事するものの知識や表現を活用する場は、パフォーマンスの現場以外にも広がっている。

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