『マツコの知らない世界』より【パントマイムの世界】 #26
先日地上波にて放送されておりました
2021年9月28日放送分
『マツコの知らない世界』
こちらでなんと、パントマイムの特集が組まれました!
語って下さったのは、この業界において知名度も実力も抜群の
が〜まるちょばのHIRO-PONさん
今年のオリンピックでも【ピクトグラム】で演出をなさっていた方ですね!
取り上げられた内容としては
・どこまでがパントマイム?
・パントマイムは歴史も凄い
・ほとんどの人が誤解していること
・実はここもパントマイム?
・実演(4分くらい)
と、しっかり時間を使ってパントマイムの世界を紐解いて下さいました!
今回はこの放送の内容を文章としてまとめてみたいと思います
パントマイムは歴史も凄い
・起源は古代ギリシャ語源、全て”パントス” 真似る人”ミモス”
・発展は中世イタリア 各地を巡る コメディア・デラルテ
・進化はフランス 道化芝居や身体アートとして発展
先ずは歴史敵は背景から
しっかり【パントマイムの世界】をしてくれていますね!
自分がやっていることとして、文献などで学んでいることではありますが、一般的に知られていないことなのは間違いない。
・パントマイムの神様 マルセル・マルソー
・喜劇にアートな表現がミックス
自身の認識では、パントマイムを作品として世に拡めたのがマルソー
技術として体系化し、型を作ったのが エティエンヌ ドゥクルー
日本でパントマイムの礎を気づいた ヨネヤマ・ママコ 先生
と思っているが、自分より上の世代の意見を聞きたいところです。
パントマイムが究極のアートだと思う理由
①フェイクをリアルに感じさせる、超々繊細さ!
ジェスチャーとパントマイムの違いに関しては、以前自分もまとめたことがあったが、マツコさんの言っていることはまさにここで記したことをそのまま言って下さっている。
マツコ「うまいに越したことはないんだけど、壁があったからこの人がどう思うかが大切」
まさにその通り!
エスカレーターはパントマイムか?
という、作中の疑問も面白い
確かに、中世ギリシャより随分と後に生まれた技術ですよね
パントマイムは人の想像力に委ねる側面が凄く大きい。
ならば、その時代ごとに表現していく人や道具や環境は変わっていくものなのです。
エスカレーターを知っているから、エスカレーターというテクニックが成立する。スマホを皆がもっているから、ポケットから何かを取り出して片手で操作していれば、それがスマホだと理解できる。
しかし、見えない物体が何かを当てるゲームではない
それが何かを伝えることに終始してしまっては、それはパントマイムではなく、ただのジェスチャーになってしまう。
マツコ「テクニックはパントマイムの一環だけど
表現としてのパントマイムとはちょっと違う」
おっしゃる通り!テクニックはあくまで一つの側面であり、それを用いて何を表現するのかが最も軸にあるもの。
HIRO-PONさんも本編でおっしゃっているように、ロープがあるということではなく、その先を想像させる、時間的、そして空間的な広がりを見せることがとても重要なのですね。
マツコさん、流石です!!
が~まるちょば的point
・テクニックだけを見せるのではなく、心情などを表現することが大切
・周囲の空間(舞台の外)まで想像させる
・日常の動作を細かく観察し、リアルに見える動作を追求
・お手玉を想像させるためには目で追う
・日常ではありえないことも表現できる
演じている背景まで想像さえることができると、どんどん物語の世界に引き込むことができる。
その人物の目線とその後の表情から、目線の先にあるものを想像する
テクニックで表現する事象から、その出来事との心のやり取りを見せる
日常の動作をリアルに表現すること、そしてデフォルメし現実を越える表現をすること
追求すると見ているお客さんにも、その空間にあるもの全てが感じ取れるようになっていく
それがパントマイムの凄いところだと思います。
マツコ「でも、テクニックをみちゃうよね」
それはごもっとも!!実際テクニックを魅せる作品もありますからね。
ただ、それだけしか出来ないともう広がりはそこまでしかないのです。
ロープのテクニックで解説があったように、テクニックは型です
基本的な理屈と身体操作を学び、その先に表現を載せなければならない
緻密なテクニックで、見るものに情景を”想像”させること
TVやCMなどの尺で演じる際は、どうしてもテクニック的な側面でアプローチする必要が出てきますが、本質は物語であるかどうかなのだと思います
それはテクニック作品にも如実に違いが現れるところであって
例えばロープをやっていたとしても、ロープそのものを表現しようとしているのと、ロープを引いている時の違和感やロープの先、急に引っ張られるなどの出来事に対するリアクション。
そして、その中でその物語がどう帰結するのか
この辺りの表現が予定調和やこれ見よがしじゃないかどうかが修練度の差になってくるのですね。
あえてありえない動きでよりリアルに!?
こんなこともできるパントマイムのテク① お手玉
こんなこともできるパントマイムのテク② 重いカバン
カバンのテクニックで
「僕らが発明したものではなくて、昔からあるもの」とおっしゃられる。
その一言を言ってのけるのが素晴らしいとおもいます。我々は先人の生み出された技術や型を使わせて頂いている。
その謙虚さを忘れてはいけないと自分も思う。
マツコ「やっぱり、テクニックに目がいっちゃう‥」
が「でもテクニックだけだと5分しかもたない」
が「舞台では2時間演じる」
そうなんです。テクニックを楽しむことも一つのマイムの在り方で良いと思う。それを求められていることも多いのは事実。
ただ、それだけだと奥行きが生み出せない、5分以上観ていられないし、その人が観たいともならないのではないかと思います
が「お客さんを惹き付けるためにはテクニックだけではダメ」
この後の一言が全てです!!
【本当のテクニックを身につけないと】
おっしゃるとおり!!!
技術も表現も、なんなら創作も演出も全て含めて
テクニックと呼ぶ!!
が~まるちょばさんの舞台は2時間飽きない。
それは一貫してきちんとストーリーがあり、技術としてのテクニックなんて気にならないほどに物語の世界に連れて行ってくれるからです。
それらを総じて”本当のテクニック”と呼ぼう!!
これは物凄く良い言葉をいただきました!!
今後使わせて頂きたいとおもいますm(_ _)m
追うもの、追われるもの
最後はショート作品を一本
タイトルは「追うもの、追われるもの」
物語はシンプル
一人の男が背後の存在に気づき、逃げ出す
そして、もうひとりはその男を追いかける
逃げ切ったと思ったら、追いつかれており、銃で打たれる
倒れる男
暗転
一人で二人の役を演じる、というのもパントマイムならではですね
一つも道具を用いずに、歩く、走るという動作のみで状況を想像させる
そして、時間軸も想像できるというのが素晴らしい!
なぜ追われているのか、なぜ追いかけるのか
想像の余白こそパントマイムの面白さです
どちらが悪なのか、彼は死んだのか、打った男はこの後どうするのか
全て本編で描かれている訳ではありません
しかし、リアルにその場面を表現されているからこそ、見た人は不意に想像してしまうのですね。
全て正解と不正解、答えを必要とし、説明しすぎる時代において、このどうなんだろう?と想像を巡らせるって物凄く大事なことだとおもいます。
【パントマイムの世界】
20分くらいの番組時間でしたが、なかなかTVでパントマイムをこれだけ紐解いてくれる機会はありません。
世界的にも国内でも抜群の知名度と説得力を持った、が~まるちょばさんがこの話をしてくれたのを嬉しく思います。
そして、語ってくれた全ての話に自分は首がもげるくらい首肯したい。
きっとご本人達も、これまで見せたいパントマイムをTVではみせることが出来ていなかったジレンマは抱えていらっしゃったことと思います。
TVという媒体、そして時間的制約がある場合
どうしても求められることと、こちらが届けたいものの剥離はありますからね
なかなかパントマイムというものが何なのかを、明確に記すものが見つけられない方へ
この放送回も一つ【パントマイムの教科書】として、記憶にとどめていただければと、この文章を書いてる筆者自身は感じております。