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コロナ禍の絶望からの脱出

昨年末に、「From deep sea to the sky 」というタイトルで、プレイリストを作ってみました。

(「キキョウ」についてもnoteを書く予定はあるのですが、もう少し自分の中で整理がついてから作ろうと思っているので、こちらを先に公開することにしました。)

1.今回のセトリ

まず、今回選んでみた曲は次のようになりました。

1 Dive~シーラカンス
  2 手紙
  3 スターゲイザー(SEKAI NO OWARI)
  4 白日(King Gnu) 
  5 シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜
  6 So Let’s Get Truth
  7 臨時ニュース
  8 マシンガンをぶっ放せ
  9 ゆりかごのある丘から
10 虜
11 深海

12 角を曲がる(欅坂46) 

13 アメノヒニキク(RADWIMPS)
14 Documentary film 
15 風〜The wind knows how I feel
16 one two three
17 Hey Ho(SEKAI NO OWARI)
18 Brand new planet
19 fanfare
20 ヨーイドン

収録アルバム
Mr.Children
   15 『Everything』
1,2,6〜11 『深海』
    5 『BOLERO』
   16 『IT’S A WONDERFUL WORLD』
   19 『SENSE』
  14,18 『SOUNDTRACKS』
   20 『四次元 Four Dimentions』

SEKAI NO OWARI
   3 『EYE』
    17 『LIP』

King Gnu
  4 『CEREMONY』

欅坂46
 12 『永遠より長い一瞬 〜あの頃、
    確かに存在した私たち〜』TYPE-B

RADWIMPS 
 13 『人間開花』

ここから、どのような経緯で今回の流れが出来上がったのかを書いてみようと思います。

2.Mr.Childrenの20作目のアルバム『SOUNDTRACKS』

今回のセトリを作る中で、まず第一にあったのは、Mr.Childrenが『SOUNDTRACKS』というニューアルバムを発売したことでした。

20作目のアルバムである今作は、タイアップ曲を多く含みながら、テーマ性の強いアルバムとなっていました。

誰もに「死」が訪れるということ。

当たり前ではあるけれど、いつくるかわからない死にどう向き合っていけばよいのかというのは簡単なことではありません。

でも、死について考えることで、今自分が生きているということを実感できる、という逆説的な考え方があるのだと桜井さんは言っていました。

なかなか日常って、毎日毎日続いていくものだから、そこにあるものは輝いては見えないんだけど、明日僕が命尽きるかもしれない、って思った時に、今日が輝くようなことがあって。そういう日常を慈しむような視点が、死をイメージすることでできるようになっているのが最近ですね。
                   —news zero(2020.11.30)


12年ぶりに出場した紅白では、「Documentary film」を歌う前に、次のようなメッセージを送っていました。

「今年はいつもとは違う異常な年だったと思います。でも、何の変化もない、いつも通りのことなんかこの世の中にないのではないかと考えたりもします。だからこそ、今まで当たり前にあった日常を、いつもすぐ近くにあったもの、人、今生きているということを切実に慈しみながら次の曲をお届けしたいと思います」

桜井さんは最近仏教にはまっていたということで、「悟りを開く」ことで死への恐怖も消えていったそうです。

自分はまだそんな境地には全然達していませんが、いつかそう感じることができたらいいなと思ったりもしています。

「多くの命が失われてしまうかもしれない」という不安が私たちの心を包み込んでしまっている社会。

「死」について少なからず考えさせられたりもしますが、仏教的な考え方が私も含め多くの人の心を軽くしてくれるのかもしれません。

そのようなことが、今回のテーマの1つになっていったのではないかなと思います。

(今回は入れることができませんでしたが、Mr.Childrenの曲にはALIVEやlosstimeなど仏教的な考え方を教えてくれる名曲があります)

3.『SOUNDTRACKS』と『深海』

Mr.Childrenの会報の話なので詳しくは書けませんが、「SOUNDTRACKS」が「深海」と似たような雰囲気を持つのではないかという話がありました。

二つのアルバムで、「死」に対する価値観、「命」に対する価値観には大きな違いがあったりもするのですが、どこか似たようなものを感じるなぁというのを、「SOUNDTRACKS」を何回か聞いて思いました。

この二つを、対比させてみると面白いんじゃないかな?と思い、大枠が決まったのでした。

4.コロナ禍と『深海』

『深海』のアルバムの中には、「生きる意味なんてない」といったメッセージや、生きた化石である「シーラカンス」が出てきます。

重苦しい世界観。

全体がまるで1つの物語となっているかのようなコンセプトアルバムであり、数多くの名曲を放ち続けているMr.Childrenの歴史の中でも異彩を放っています。

そんな『深海』が、刻々と状況が悪化し、「救いがなかなか見えない現在」にぴったりなんじゃないかと思うことがありました。

こんな時だからこそ、明るい曲や、暗闇の中に光を照らしてくれるようなものが求められているのかもしれません。

でも、この暗闇に、何も言わずただそっと寄り添うというのもありなのではないかとも思うようになりました。

(関ジャムの番組で、リモート収録をしていた時期に『深海』の話が名盤として何度も登場していたのも、何かつながりがあるのかもしれません)

『深海』に入っている「マシンガンをぶっ放せ」という曲にある、

愛せよ目の前の疫病を
憎めよ無能なる組織を

という歌詞は、今の社会にもぴったり当てはまるんじゃないかなと思います。

というわけで、深海の世界にどっぷりとつかってから、地上へと浮上し、空へと飛び立つまでの過程を作ってみようと思いました。

5.欅坂46と平手友梨奈

去年、欅坂46に少しずつ興味がわいてきて、ラストライブやドキュメンタリー映画を見たりしました。

欅坂46の楽曲にでてくる「僕」は、「背負い僕」で、
日常の中の孤独や悲しみ、葛藤などを受け止めてくれる。

そのような話をどこかで聞いたような気がします。

暗い部屋の隅で、泣きそうになりながらうずくまる私たちの横に、一緒に座ってくれる。そんな楽曲が多いと思います。
(中には、世の中の不条理に対抗して、声を上げようと鼓舞してくれるような楽曲もあります)

欅坂46のグループ全体としてもそうだったと思うのですが、特にセンターを務める平手友梨奈さんがその色を強く出していたのだと思います。

今までは欅坂46の曲をそこまで真剣に聞くということはなかったのですが、
自分自身がいろんなことに希望を見出せず、絶望をさまよっていた去年の私に、欅坂46の曲が印象深く感じられたのでした。

数多くある欅坂46の楽曲の中から、「深海」と「空」の間にある無の空間として「角を曲がる」というピースをはめてみることにしました。

この曲は、自分らしさや自分の進むべき道が中々見つからずに「角を曲がり続ける」僕の物語を表しています。

この曲の「僕」はこの曲を歌っている平手友梨奈さん自身のことを表しているようにも感じ取ることができて、よりリアリティーを持って私たちの心に伝わってきます。

(ちなみに、セカオワの「スターゲイザー」のMVには平手友梨奈さんが出演しています)

欅坂46は絶対的センターといわれた平手友梨奈さんが脱退し、グループが大きく変わるのと同時に櫻坂46へとグループ名を改名して新たなスタートを切りました。

今の平手さんと櫻坂46の姿を見ていると、分裂していったのは正しいことだったんじゃないかなと思っています。どちらも(平手さん以外の卒業していった方々も含めて)これからますます飛躍していくことを願っています。

6.歌詞 ピックアップ

全体的な流れとしては

「深海」→「角を曲がる」→「葛藤しながらも空に向かって進んでいく」

という感じになったかなと思います。

Instagramの方にも載せたのですが、今回のセトリの中から特に心をひかれた歌詞を紹介したいと思います。

特に、「葛藤しながらも空に向かって進んでいく」までの流れについては5.までで触れられなかったので、歌詞の紹介をもって説明としたいと思います。

シーラカンス
君はまだ深い海の底で静かに生きてるの?
シーラカンス
君はまだ七色に光る海を渡る夢見るの?

ある人は言う 君は滅びたのだと
ある人は言う 根拠もなく生きてると
とは言え君が この現代に渦巻く
メガやビットの海を泳いでいたとしてもだ
それがなんだって言うのか
何の意味も 何の価値もないさ
           (シーラカンス)


過ぎ去りしあなたへ 想い出のあなたへ
かけがえのないものに気付きゆく Mm… この頃です              (手紙)


それは
死体が腐敗していくように
学校へ毎日通うように
夫婦が一生添い遂げるように
花は摘めば枯れていくように
叩けば物は壊れるように
罪人が法で裁かれるように
多数派がいつも勝っていくように
怒鳴れば君が泣くように
時々頭がおかしくなる普通の日常

stargazer(星を見上げる人)
                 (スターゲイザー)


やがて来る“死の存在"に目を背け過ごすけど
残念ですが僕が生きている事に意味はない

見えない敵にマシンガンをぶっ放せ 
Sister and Brother
正義も悪もないこの時代を行進していく兵士です

愛せよ目の前の疫病を
憎めよ無能なる組織を (マシンガンをぶっ放せ)


僕が戦場に行っているその間
君はもう違う誰かの腕の中
そして僕は一人
  (ゆりかごのある丘から)


take me to Heaven
give me your love
      (虜)


失くす物など何もない
とは言え我が身は可愛くて
空虚な樹海を彷徨うから
今じゃ死にゆくことにさえ憧れるのさ

シーラカンス
これから君は何処へ進化むんだい
            
連れてってくれないか
連れ戻してくれないか
僕を 僕も
        (深海)


らしさって一体何?
あなたらしく生きればいいなんて
人生がわかったかのように
上から何を教えてくれるの?
周りの人間に決めつけられた
思い通りのイメージになりたくない
そんなこと 考えてたら眠れなくなった
だからまたそこの角を曲がる
        (角を曲がる)


今日は灰色

今日は灰色

僕は水色の中に

今日は灰色
        (アメノヒニキク)


誰の目にも触れないドキュメンタリーフィルムを
今日も独り回し続ける
そこにある光のまま   

ある時は悲しみが
多くのものを奪い去っても
次のシーンを笑って迎えるための
演出だって思えばいい

枯れた花びらがテーブルを汚して
あらゆるものに「終わり」があることを
リアルに切り取ってしまうけれど
そこに紛れもない命が宿ってるから
君と見ていた
愛おしい命が
         (Documentary film)


風は知ってるんだ 本当の事
The wind knows how I feel 
(風〜The wind knows how I feel)


客寄せ用の無数の風船が
気圧に逆らって散っていった
破裂寸前の自分の心境を それとダブらせてみたりして

その場しのぎで振り回す両手もやがて上昇気流を生むんだ
別の未来へと向くベクトル 寂しくたって
一歩 一歩 踏み出してかなくちゃ
胸の奥で繰り返す秒読み
今 前人未到の未来へ 1.2.3!           (one two three)


例えば君がテレビから流れてくる悲しいニュースを見ても心が動かなくても
それは普通なことなんだと思う
誰かを助けることは義務じゃないと僕は思うんだ
笑顔を見れる権利なんだ 自分のためなんだ

Hey Ho Stormy Seas
誰かからのScream Of Silence
この嵐の中、船を出す勇気なんて僕にあるのかい
                 (Hey Ho)


ねぇ 見えるかな?
点滅してる灯りは離陸する飛行機
いろんな人の命を乗せて
夢を乗せて 明日を乗せて

静かに葬ろうとした
憧れを解放したい
消えかけの可能星を見つけに行こう
何処かでまた迷うだろう
でも今なら遅くはない
新しい「欲しい」まで もうすぐ
                                (Brand new planet)


悔やんだって後の祭り
もう昨日に手を振ろう
さぁ 旅立ちのときは今
重たく沈んだ碇を上げ

やがて風船が割れ
独り悲しい目覚め
そんな日でも
懲りずに「ヨウソロ」を。。。

ちょっと待ってと言われたって
どっち行くんだと問われたって
「答えはいつも風の中」にあるんですって
いつの間にか大人になって
うっかりして真面(まとも)になって
失った宝物探しに行こう!

「僕はボクさ」と主張をしたって
僕もボクをよく知らなくて
ぐるぐる自分のしっぽを追いかけ回して
ひょっとしたらあなたの瞳に
いつか出会った本当の僕が
迷い込んでやしないかなぁ?
って探してみる       (fanfare)


偉い教授も専門家も分かってないよなぁ
数字やデータで未来はつくれない

ヨーイドンの合図 待たずして僕ら大人になっていくよ
どこに向かっているのかなんて分かんない
でも飛び出していくよ 転がりだしていくよ
               (ヨーイドン)


以上が、今回のプレイリストが完成するまでの経緯や、曲を通して感じたこと・考えたことになります。

今回はかなり長くなってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

(追記)
Mr.Childrenの桜井さんは、自分たちの曲がリスナーにとってのサウンドトラックとなって、リスナーの心に寄り添い、支えてくれる存在であればいいというようなことを言っていました。

自分がセトリを作り、自分の解釈のもとに新たな物語を作ることは、曲の一つ一つが今の自分にどのように響いているかを確認するということであり、

音楽が自分の生活を豊かにしてくれていることを認識していくことなのかな、と思ったりもしています。

音楽が、お腹を満たしたり生活に有益な「モノ」を提供してくれる訳ではないけれど、

時にはそれ以上の価値があるものを私たちの「こころ」に与えてくれる。

私たちが嬉しい時も、絶望に打ちひしがれている時も、その一つ一つの感情に訴えかけてくれる、何かを感じさせてくれる音楽があるのだと思います。

こんな時代だからこそ、響く曲があり、励まされる瞬間がある。

雨がいつしか止んでくれることを願って。

私たちが希望を完全に諦めてしまうことのないように。

音楽はいつでも心に寄り添ってくれる。

7.プレイリスト(Spotify)


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