声にもスーツを着せる
【質問】
人前に立って話をするときに気を付けていることはありますか?
講師という仕事をしていると研修が終わった後に上記のようなご質問をいただくことが多くあります。「とても言葉が聞き取りやすい研修でした。何か意識されていることはありますか?」と言葉の聞き取りやすさについてお褒めをいただくこともあります。
今日は普段から「講師」として人の前に立つときに私が意識していることを二つお伝えしたいと思います。
1つ目:誰に向かって何を伝えるのか
まずは気持ち・意識面で意識していることは「誰に向かって何を伝えるのか」ということです。講師になってすぐの頃はこれがなかなかできませんでしたが、フリーになってからはますますこの点を強く意識するようになっています。
今日の研修は誰のためにあるのか、受講生の皆様に何をお伝えするのか、何を伝えて、何を伝えてこないのか、そんなことを事前に整理します。話すことを決めることも大切ですが、それ以上に話さないことを決めることが大切です。
そうやって「誰に向かって何を話すのか」が明確になると私が発する言葉の一つひとつを大切に届けることができるようになります。言葉の意味を大切にしながら、一番良い形でその言葉を受け取ってもらえるように意識していくようになります。これがとても大切な「意識」です。
言葉の意味、その言葉を選んだ背景、そのようなことが明確になっていると「言葉」の粒がハッキリとしてきて、結果的に皆さまが聞き取りやすいものになります。
2つ目:声にスーツを着せる
誰に向かって何を伝えてくるのか、が明確になったらその人が受け取りやすい音を意識します。具体的には、「高い声」で伝えるのか、「低い声」で伝えるのか、スピードは速いのか遅いのか、一般的に「抑揚を付ける」と言われることですが、喋るリズムを考えていきます。
私は、「電話の苦手を克服する」という個人レッスンも開講していますが、以前、そのレッスンに参加してくださった方が「中尾さんは普段からそんなに聞き取りやすい話し方なんですか?」と聞かれました。私の答えは「NO」」です。普段からセミナー中に出しているような「オシャレな声」は出していません(笑)普段の声はセミナー中よりも低い声を出していますし、もっともっと早口です。
言ってみれば、研修中の私の声は「よそ行き」の声です。仕事モードの時には「声にもスーツを着せて」います。ここが大切です。
講師としてデビューしたての方やこれからオンラインで講師デビューをしていかれる方は自分の声をあまり意識されていません。普段の話し方のままオンラインセミナーを開講されようとしています。しかし、ご自身の「素の声」が聴き心地の良いものでなければ、受講生は聞く気を失います。特にオンラインでは声が占める割合が高くなります。
研修受講生や会場に合わせて、声の色や話し方のスピードを変えます。力強くいくのか、柔らかくいくのか、そんなことを考えて声を選びます(研修会場に合わせてスーツを選ぶのと同じ感覚ですね)。そうすると受講生や会場にぴったりの声になり、聞きやすい研修を作ることができるようになります。
いかがでしょうか?
今日は「聞き取りやすい声」のために普段私が意識している2つのことをご紹介しました。これから講師としてデビューされる方だけではなく、プレゼンやスピーチで人前に立って話をすることを予定されている方はぜひ取り入れてみてください。
個人レッスンでは、これから講師としてデビューを希望されている方、人事として研修を準備されている方などのお手伝いもしています。お気軽にお問い合わせください。
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