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お薬の話 抗ヒスタミン薬変更で、一石三鳥

今日は、「お薬」についてのエピソードを書きます。人によって「合う、合わない」があること、変更したらよかったこと、花粉症の治療で使われる抗ヒスタミン薬についても、少し書きます。


1. 薬の処方状況

食物アレルギーの患者さんの中には、症状が落ち着けば、お薬は不要で除去だけで大丈夫な方も多いかと思います。私の場合は、喘息と慢性蕁麻疹(血管性浮腫)を併発し、いろいろな食物に反応が出てしまうため、お薬はずっと継続しています。現在は、喘息薬、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬の3つ。3か月毎のお薬代は3割負担で約1万円、結構高いです。参考までに処方履歴です。

  • 2023年3月 ルパフィン(抗ヒスタミン薬)、モンテルカスト(抗ロイコトリエン薬)、トラネキサム酸

  • 5月 ルパフィン倍量(症状悪化)

  • 7月 ゾレア1回目

  • 8月 ゾレア2回目(反応出て中止)

  • 9月 転院・診断後、テリルジー100 (喘息用吸入薬)、エピペン、ルパフィン倍量、モンテルカスト、トラネキサム酸、デサレックス(頓服)

  • 2024年3月 症状改善で減薬。ルパフィン通常量に、トラネキサム酸中止。テリルジー100、モンテルカスト継続。

  • 5月 ルパフィンをクラリチンに変更

2. あれ、飲んだっけ?

長期間、薬を使うのは初めて。吸ったり、飲んだり、時間帯が違ったりと、慣れるまで少し時間がかかりました。「しまった、朝に喘息薬を吸入するのを忘れて外出してしまった」とか、「寝る前にルパフィン飲まずに寝ちゃった。朝飲むと眠いから、夜まで待って飲もう」など、最初は失敗も。今はAlexaでリマインダーを設定して、「薬!」と毎日言ってもらって助かっています。
高齢者やご家族が、「たくさんの薬を飲んだり管理するのが大変」という気持ちが初めて分かりました。薬が少なくても「あれ、今日、飲んだっけ?」ということがよくあります。

3. 初めての吸入薬

私の使っている喘息薬はステロイドが入っているので、吸入後、口をよくゆすぐ必要があります。そして、長時間作用性β2刺激剤というのも入っていて、最初は吸入直後にかなり動悸がしました。1日1回の吸入を朝食後にして、「朝食ー>吸入ー>歯磨きー>ウォーキング」を朝のルーチンにしました。歯を磨く時に口をゆすぐし、ウォーキングすれば、動悸も感じにくくなる。3か月過ぎた頃から、吸入後の動悸も感じなくなりました。

4. ルパフィンの眠気

ルパフィンは第二世代の抗ヒスタミン薬なのですが、眠気の副作用が出る場合は結構あるようです(添付文書には9.3%と記載)。私も眠気・だるさが強く出る体質だったようで、特に倍量を飲んでいた頃はすごかったです。
最初は夕食後に飲んでいたのですが、「眠くてお風呂に入れない、もう寝る」とか、スマホを見ながら寝落ち(普段はうたた寝しないタイプです)。「睡眠薬飲んだことはないけど、睡眠薬みたい」と思っていました。朝はすっきり起きるタイプなのですが、いつも寝起きも悪く、午前中、頭がぼーっとだるい感じでした。「小学生の頃に花粉症がひどくて飲んでいた、第一世代の抗ヒスタミン薬みたい」と思っていました。

5. グレープフルーツNG問題

循環器・血圧のお薬で、グレープフルーツがNGなお薬はたまにありますよね。抗ヒスタミン薬では珍しいのですが、私の服用していたルパフィンはグレープフルーツはNGだったのです。
そして、私が一番好きな食べ物は苦みのある柑橘類なのです。5月のフロリダ産のグレープフルーツや、梅雨から初夏にかけての瑞々しい愛媛産の河内晩柑など、気持ちもさっぱりさせてくれる、大好きな食べ物です。ピンクのグレープフルーツジュースもかわいい色で、よく飲んでいました。
「魚介・鶏・豚全部食べられなくても、苦い柑橘が食べられるならいい」と思っていたのですが、お薬の飲み合わせでNGに。「また食べられない物が増えた・・・」と残念でした。
アニサキスアレルギーの方には「魚介愛」が強い方が多いのですが、私はそこまでの「魚介愛」はなく、「柑橘愛」の方が強かったようです。

6. ルパフィンが花粉症に効かなかった

私の処方されていたルパフィンは、ヒスタミンだけでなく、血小板活性化因子(PAF)を抑える効果があるとされ、日本では2017年に発売された比較的新しいお薬です。私は腫れてしまう症状があるので、ダブル効果を期待できるルパフィンを処方して頂いたのかな?と思います。目の症状が強い花粉症にもよく処方されるようです。
発症前は、花粉症の時期に20年近くアレグラ(フェキソフェナジン)かクラリチンを飲んでいて、ぴたっと効いていました。
発症後の花粉症の時期、ルパフィンを飲んでいるのに、夜中にくしゃみ・鼻水で寝られないほど花粉症がひどい。試しにルパフィンをやめて、以前飲んでいたフェキソフェナジンを飲んだ所、ぴたーっと効いて症状は出なくなった。そんなこともあり、ルパフィンから他の抗ヒスタミン薬に変えて頂けないか、医師に相談することにしました。

7. クラリチンに変更、合ってた

結果的にルパフィンからクラリチンに変更して頂き、大変好調です。眠気もなくなり、朝もすっきり。薬の影響が他の要因か不明ですが、薬の変更後24日目から、ピークフローが突然100%近くまでドンっと上昇、息苦しさもなくなりました。そして、苦い柑橘やグレープフルーツも食べられる。1年半我慢しないで、早く変えて頂けばよかった~。

8. 振り返っての感想

a. 抗ヒスタミン薬もいろいろ

抗ヒスタミン薬も様々で、その人に合う、合わないがあるんだな、と思いました。花粉症で抗ヒスタミン薬を使われている一般の方でも、今飲んでいる薬の効き目が今一つとか、眠気や自動車運転の問題がある場合、薬剤師・医師に相談されるといいと思います。服用回数やタイミングも薬によって様々です。 例えば、食事の影響で薬の吸収が下がるお薬は、空腹時に服用する必要があります(例 ビラノア、でも即効性はある)。食後・空腹時、どちらでもOKのお薬もあります。
また、妊娠の可能性有・妊娠中・授乳中でも比較的安心して服用できる抗ヒスタミン薬もあるので、女性で心配な方は相談されるといいと思います。私の飲んでいたルパフィンは、妊娠・授乳中の方には向かないお薬です。また、添付文書に次のような記載があり、女性の患者さんの長期服用に影響ないのだろうか、と少し心配に思いました。
「非臨床試験に基づく情報。幼若雌性ラットにルパタジンを4週間反復経口投与した実験で、本薬の薬理作用に起因すると考えられる卵巣重量減少、性周期延長(発情間期延長)等が認められた」。ルパタジンは、特定の卵巣がんや肺がんなどにも効くかどうか、今研究が進められているようです。

b. 「慢性蕁麻疹は原因不明が70%」、ホント?

当初、特発性血管性浮腫(慢性蕁麻疹の一種)と言われていた時、原因不明のまま、対処的に抗ヒスタミン薬を倍量処方されていました。抗ヒスタミン薬によって、症状が緩和されるというメリットと、何にどう反応が出ているか分かりにくくなるというデメリットの両方あったのでは?と、素人的には思います。
アニサキスや食物でアレルギー反応が出ても、薬で抑えられ、重度のアナフィラキシーにはならずに済んだ。でも、結果的に中途半端な軽度のアナフィラキシーが継続、原因究明や治療を遅らせた可能性もあるかもしれない。
慢性蕁麻疹では、最初に抗ヒスタミン薬を処方されることが多いようです。原因究明がしっかり行われた後で原因不明であれば、対処療法しかない。でも、特発性ありきで原因究明が不十分な場合、対処療法によって、更に根本原因を見つけにくくなり、症状を慢性化させてしまう可能性もあるのでは?と思いました。
「慢性蕁麻疹の70%は原因不明」と言われていますが、本当かな?と思います。70%はあまりにも高すぎるというのが、私の素人的印象で、自分で食物日誌や体調のデータを記録し始めたきっかけの一つでした。
医療とビジネスでは違う部分も多いと思いますが、仕事で問題が起こって、「70%が原因不明なので根本的な改善策は打てません!」と言ったら、「もう一度データを見直して、バイアスなく原因を調べて、いろいろな人からアドバイスしてもらって、改善策を考えなさい!」と上司に怒られると思います。
診断精度が問題で、原因不明の慢性蕁麻疹と診断されている場合、原因を特定して除去すれば、症状は改善し、患者さんは長期間苦しまずに済む。その場合、診断精度を上げるためには何が必要なのか、今の医療で何がボトルネックなのか、素人的には興味が沸きました。
例えば、医師の診察時間の制限が問題ならば、患者さんに事前にスマホ経由でAIや診断プログラムに必要な情報を入力してもらって、疑わしい原因を事前に探知させた上で、診察中に、効率的に原因究明できる仕組みで補助するとか・・・そういう仕組みがあれば、アレルギー専門医でない医師がアレルギーを診察する場合や、医師が少ない地域での遠隔診断などにも、役立ちそうですよね。そもそも、もう紙の問診票とか、紙の診断書を持参する時代ではない、20年以上の電子化の遅れを取り戻さないと・・・

c. フロリダプチ情報

とにかく、抗ヒスタミン薬を変えて頂き、一石三鳥。眠気なし、グレープフルーツもOK、呼吸も改善、大変ハッピーです。

お薬を継続的に使われている方で、気になる点がある方は、我慢せずに医師や薬剤師の方に相談されてみて下さいね。

そして、ゴールデンウィークにフロリダのディズニーワールド等にお出かけされる方、ぜひ現地で取れたての旬のグレープフルーツを味わってみて下さい。農園の前やガソリンスタンドなどで売られていて、とてもジューシーです。でも、ワニにはお気をつけ下さい。水辺に近い公園を散歩中、人や犬がワニに食べられたりします(がぶっ、本当です)。

いつも、長文を読んで頂き有難うございます。

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