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機能不全家族の当事者として、サバイバーの未来について書いております。「人間関係に悩んでいる」「自分って何者なんだろう」「自分の未来が見えない」そんな方、愛する方に甘えられなかった過去を持つ方に向けての言葉を書いております。

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魔女の森のおひめさま20 #物語

気になっていた小説、生と死の後の図書館。 他の選択肢でやり直せたら、それが本になっているというお話し。 フランスにいる友人からの推し。 セラビ。 その友人の口癖だが、あの美しく全てを持つ友人が、人生に後悔を持つなんて夢にも思わなかった。 ないものをリストアップしないで、フェイバリットサムシングをリストアップする。 遺言とは、あるものを数える世にも幸せなラブレターなのかもしれない。

    • 魔女の森のおひめさま19 #物語

      アンバーな正絹の帯揚げにそっと触れた。 古くからの親友が、高名な文学賞にノミネートされた時は、まさか受賞式に姫様も呼ばれる事になろうとは思っていなかった。 その文学のモデルになっているのが、おひめさまの事だと知った時、脂汗が滲み出るような感覚を覚えた。 とても賢く、無口な彼はおひめさまが巧妙に隠し続けたその影をそっと理解しているような気がしていた。 不幸であった、そんなちんけな言葉で片付けられたくなくて、つとめて明るくかっこよく生きてきた。 それなのに、今更になってそれを

      • 魔女の森のおひめさま18 #物語

        どどどどど。 熱さや柔らかさよりも先に鼓動が伝わる。 どどどどど。 いつもいつも私の事へ悪態をついていたその 唇にもうっすら染みができている。 ごぐ。 どどどど。 とと。 と。 とっ。 全身びっしりと濡れていた。 どれほど感覚が遠ざかっているのか不思議に 思っていた。 簡単に手に入るものは何も価値が無いと 昔この女に習った。 だからこんなもんでは済まされない気がした。 はっ、と我に帰ると渋谷の美しい街並みを見渡したガラス張りのオフィスで、沢山の胡蝶蘭に囲まれて受付

        • 魔女の森のおひめさま17 #物語

          打ち合わせのクライアントを待つ間。 おひめさまは、白昼夢を見ていた。 西の魔女が亡くなる瞬間を、遠い東京から 魂だけが抜け出たそんな状態で。 病院とおぼしき白い施設は、うめき声や取り押さえられるどさりとする音など、本当におそろしい音がしていた。 あゝ待ち侘びたこの日に、立ち会いたかった思いが、私から現実を鈍らせているんだとそんな事を考えながらも、おひめさまはしわがれた老婆の首にそっと手を置いた。 老婆の薄れたシミだらけの薄い首元へ、変形に体重をかけた。 すごい力で抵抗と

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          魔女の森のおひめさま16 #物語

          瘡蓋を剥がすときのあの薄皮が剥げるペリペリという、物悲しさやむず痒さをおひめさまは常に感じていた。 奇跡的な、病院からの離脱で、まともではない自信の心持ちを、瘡蓋に重ね合わせたのか、本当に心を痛めても瘡蓋ができるのかは知らない。 それでも自分の人生は人と時間軸がちがうのだころう事を感じていた。 一瞬が一生のように、時間軸が歪んで自身に降ってくる。 ある日目が覚めると、そこは東京の閑静な住宅街で、ひめは別の名前で呼ばれていた。

          魔女の森のおひめさま16 #物語

          魔女の森のおひめさま15 #物語

          いつだって素敵なものは、百貨店にあった。 キラキラしたお洋服も、外国からの質の高いチョコレートも、幸せそうな家族も。 だから、おひめさまははじめに家を後にしてからすぐに日本橋の古き良き風情を残す、百貨店に足を踏み入れた。 何か自分を強くしてくれる、新しいひめの人生にふさわしいものを購入したくて。 価格はお年玉から、1万8,000円だけ残していた。 大きなモニュメントのある、まるで天空か美術館かお寺の欄間のような空間から、一階の美容品を扱う戦場のような場に降り立った。

          魔女の森のおひめさま15 #物語

          魔女の森のおひめさま14 #物語

          西の魔女が死んだ。 おひめさまは、丸の内のオフィスのロッカールームで、小さな携帯電話のCメールから、まるで奇跡のようで嘘のような文章が光っていた。 それはそれは毎日願っていたのに。 本当にメッセージで見た時に、膝から崩れ落ちるように、えっと拍子抜けに声が出てしまった。 おもわず、ずるいと声になる。 あんなにあんなに苦しめてきたものが、急に遠くに行った。 それ自体は歓迎されるべきものなのに。 なぜかおひめさまには、そのよろこびはひょうしぬけで全く現実感は なかった。 西の

          魔女の森のおひめさま14 #物語

          魔女の森のおひめさま13 #物語

          おひめさまの逃避行は、涙うつ湊町でも、樹海の森でもなく、インターネットで予約した都会のシティホテルであった。 逃避行にみんなは大仰な鞄や、動きやすい格好を選ぶのかもしれない。 おひめさまは、ビルケンシュテインのサンダルとアディダスのハーフパンツ、トップスは当時ではじめのUNIQLOの紫の薄手のTシャツだけで、鞄は唯一のお気に入りのトウのバックだけを持ちとてもこのまま消えてしまうような出たちではなかった。

          魔女の森のおひめさま13 #物語

          魔女の森のおひめさま12 #物語

          ある朝、それは唐突に訪れた。 おひめさまが望んでいた、自由。 魔女が急に、いなくなかった。 それはあまりにもあっけなく、おひめさまは長い長い復讐劇を繰り広げようと、シナリオを何年もあたためてきたタイミングであった。 振り上げた拳をたたきつけるまえに、不意に敵はスカートの裾をひるがして、ターンをするかのように進んだ。 なんだったのか。 おひめさまは、憎むことでしか生きることを考えられない自分自身の身をどう扱えばいいのか途方にくれた。

          魔女の森のおひめさま12 #物語

          魔女の森のおひめさま11 #物語

          おひめさまは、本当に息もつけないくらい酷い日は決まって夢想する、夢がありました。 それは、図書館か、教科書のでみたあの青いモスクの中で息も絶え絶えに横たわる自分と、その私の頬に名も知らぬ無数の黒い肌の、美しい瞳の異国の方が、小さな白い花を手に、涙と愛の言葉を述べるそんな夢でした。 日差しは眩く、天国なのか葬儀なのか、はたまた何かの宗教的な儀式なのかは分かりませんが、体はあたたかく、軽く柔らかい永遠の悦楽を感じながらも同時に、みにく人間らしい感情が消えた静かな世界。 音は

          魔女の森のおひめさま11 #物語

          魔女の森のおひめさま10 #物語

          おひめさまは、海を目指した。 暖かい朝日に浴びた海の波は、なぜか悲しみがないような気がした。 ひととき自分の身に起こる不幸をやり過ごすには、要素分割がいいとおひめさまは感じた。 頭をなじられる痛みは音として、朝の海の流れと共鳴すると不思議な安心感になる。 自分の臀部に向けられる爪後の冷たさは、甘い朝の海の美しい波の雫に。 そして呪いの言葉たちは、恥ずかしがり屋のシャイな男の子が、発する粗暴な愛の言葉のように感じる事で事実をなくす事はできなくとも、響はうんと甘いものにな

          魔女の森のおひめさま10 #物語

          魔女の森のおひめさま9 #物語

          叩かれて、熱くなる頬は痛いというより、熱のお化けのようで、聞こえなくなった耳は深海の中に潜り込んでしまったような気さえする。 今まで人としてあった、視線や言葉はなく、ただザリザリとした大きな音だけが、頭に鳴り響き、自身がブラックホールに落ちていくような感覚を覚える。 なんで、生まれたのか。 なんで、今私の体は私のものではないのか。 そんな事をゆっくりと思考する。 身体の奥に吸い込まれるような瞬間に、見上げたレースのスカートは、ふわりとおひめさまの意識の最後を奪ってい

          魔女の森のおひめさま9 #物語

          魔女の森のおひめさま8 #物語

          おひめさまはいつも、ひどい事をされると、脳の中で変換をしました。 今は原始創生の時代。 この踏みつけられた頭と、ざりざりと音のする冷たい地面は、これから何かが生まれる前の、新しい試みなんだと。 これは現実ではあるが、今この瞬間は、学校の小林先生や、真理子の生きている現代日本ではないと。 これは宇宙の儀式で、地球人代表として、何かとてつもなく新しい試みの一部になれるんだと。 そう思うと、自分は、かわいそうでも、苦しくもなくなり、何か尊い犠牲者のような気持ちになり、生命を繋い

          魔女の森のおひめさま8 #物語

          魔女の森のおひめさま7 #物語

          くる日も、くる日も繰り返される執拗な折檻。 戯れに、私にかけられる優しい言葉も、裏を返せば私の伸びやかな期待を込めた視線を欲しがっているただそれだけの行為でしかない。 甘い言葉の後には、決まってきつい折檻の時間がある。 絨毯に歪に伏せさせられる。 顔を踏まれて息もつけずにいる。 恐怖と共に深い安堵も感じる。 所詮楽しいだけのそんな甘い世界ではない。 苦しみと喜びは同程度だけ、やってくる。 だから苦しみを感じれば感じるほど、不思議と安堵を感じてしまう。

          魔女の森のおひめさま7 #物語

          魔女の森のおひめさま6 #物語

          トレーニングをしている間は、誰からも私を否定される事がない、そう気がついたおひめさまは、涙が出るほど嬉しかったのです。 初めておひめさまはの人生に希望が見えた瞬間でした。 どんなに奪おうとしても奪えないもの、それはお姫様の可能性であり、無限の才能である事を心ではなく、伸び始めたそこかしこの成長痛に、視野がどんどん広くなる自分の身体に感じました。 おひめさまは、はじめて自分の事を少しだけ好きになりました。

          魔女の森のおひめさま6 #物語

          魔女の森のおひめさま5 #物語

          どしゃぶりの雨を抜けると、浮き上がりそうな美しい初夏がやってきた。 少しずつ、いじめられる夜への対処法も、こころのバリアーも学び始めた頃、おひめさまはある誓いをたてた。 この先どんな事があろうとも、今私が10代で1番すべき事は、身長を伸ばし、誰からも文句を言われない強くしなやかな肢体を手に入れる事。 ここから毎日それ以外の事は、どんな事を言われても適当な事を言ってやり過ごす。 そして、来るべき復讐の日に備えて、自らを美しく気高いリボンの騎士にする。 そのために毎日13時間

          魔女の森のおひめさま5 #物語