一緒にいること。
こんにちは!北海道の十勝で、児童養護施設出身、少年院出身の青年たちの自立をサポートする団体、NPO法人スマイルリングの理事をしています。青年達との賑やかな日常をnoteします☺️
『母さ〜ん!!』
“おお〜!息子!!今日は寒かったねぇ。
そっちも天気悪い⁈”
少年院出身の、まだまだヤンチャな青年。
母さん母さんと電話やLINEをくれるのだが、
まぁまぁ本当に心配も掛けさせてくれる。
そのお陰で(?)
私も多少の事では動じなくなり
彼にはいろんな意味で随分と鍛えられた。
私は彼と、“ゆっくり一緒に居よう”と思っている。
失敗なんか、今のうちに幾らでもすれば良いのだ。
だって私は“母さん”なんだもの。
何があっても大丈夫。
母さんなんて言ってくれる子が、
心を一生懸命に伝えてくれる子が、
“ダメな奴”だなんて
そんな事、絶対にあり得ない。
ただ、とにかく生きていることと、
人を傷つけないことを祈っている。
『ちあきさん!明日は会えますか?』
“ごめんよ〜!今週は忙しくて明日は無理だな。
土曜日、ランチでもするかい?”
児童養護施設出身の彼は
春には、この帯広に来て2年が経つ。
暴力的だった為に
高校卒業後の地元での受け入れ先が無く
私達の元へと“送られて”来た。
当時の彼は無表情で、
『早く◯◯市に帰りたい』
会うたびにそう言って、
パンパンの怒りが身体中から溢れているのが
伝わってきたものだ。
彼と初めて会った時、
出来るだけ一緒に過ごす事を決めた。
絶対に“孤独”にさせないぞと決意した。
全く会話の無い時もあったけれど、
側に居るだけで、彼の心から発せられる
心の動き、“微妙な振動”が、
空気を伝って、肌から感じられた。
どの青年にも言える事だが、
細かい事情や事実など、
分からなくてもいいと私は思っている。
そんな事は後で
“彼等のタイミングで”
幾らでも話してくれる時が必ず来る。
本当の信頼関係が出来なければ、
彼等のどんな過去の情報を手に入れようと
何の意味も無さないと思うから、
ここに来た時には、“好きな食べ物”と、
“嫌いな食べ物”しか聞かない。
それよりも、
静かに彼等の側にいること、
一緒にいる事の方がずーっと大事だ。
“問題児”として、小さな頃から
居場所を探し続けていた孤独な彼は
ここで沢山の人と出会い、
皆んなと“一緒に”過ごす事で、
見事に自分の居場所を作り上げた。
彼の素晴らしい笑顔は皆に愛されていて、
沢山の好きな人、友達、仲間が出来た。
彼等に足りなかったものは何だったのか。
それは、
小さな頃から『強制的に孤独』にさせられ、
彼等と一緒に居て、彼等をよく見、彼等の話しに
じっと耳を傾けてくれる大人がいなかった、
という事だと思う。
問題を起こす彼等を『どうするか』
という対象にしか見ず、
『彼等が本当に困っている問題』を本気で見つめ、
一緒に悩んだり、解決してくれる、そんな頼れる
大人がいなかった事こそが大問題なのだ。
訳もわからない小さな頃から、
ずっと大混乱の中で生きてきた彼等は
自分の事を『悪いヤツ』だと思っているが、
それこそ、大人が彼等に接しながら
刷り込んでしまった、大間違いなのだ。
抵抗する事も出来無かった彼等は、
『強制的に』
孤独の中で生きざるを得なかった。
そんな彼等とただ一緒にいると、
彼等の怒りや混乱、諦め…などという
ドロドロの塊が少しずつ崩れてきて、
本当に優しく、可愛いらしい素顔が覗き出す。
ただ一緒にいる事。
彼等の話しに耳を傾ける事。
何の力も持たない私に出来る事は、
本当にそれしか無い。
その、彼等とただ一緒にいる事が
私にとっても、どれほど幸せな時間か。
今年もどんな青年達に出会うのだろうか。
今からとても楽しみなのである。
NPO法人スマイル リング💫
理事 ののむら ちあき😁