お腹空いたね。
こんにちは😃児童養護施設出身・少年院出身の若者達をサポートする団体 NPO法人スマイルリングでの、若者たちとの日常をnoteしています☺️✨
先月また一人
スマイルリングホームに住む青年が増えた。
『16日、2時の飛行機で来ま〜す🎶✨』
圧倒的に情報量が足りない。
代表の堀田からの、いつもの調子の連絡。
あのさぁ…その子の名前は⁈…歳は⁈………。
聞いたことだけ、単語で返ってくる。
“全く…。
雀の子拾うったって
もう少し考えるし、悩むよねぇ……。”
呆れながらも、
どんな子が来るのかと、
ヤキモキしながら、
その日が来るのを待っていた。
関西から、たった一人で
生まれて初めての北海道へ来る青年は
一体どんな心持ちなのだろう。
玄関から入ってきた彼は
目が合った瞬間、
人懐っこい顔で『ニコッ』と笑った。
大きな身体に
とても可愛いらしい笑顔の青年だった。
空港に迎えに行った堀田は
そのまま彼を連れて
仕事の打ち合わせに行ったという。
その間、ご飯はおろか、
飲み物さえ、与えるのを忘れていたと言うのだ。
私が一番、
彼ら青年達の事で気にかけるのは、
『お腹が空いて居ないか』どうかなのだ。
“まったく!!信じられない!!
ほんっとに気の効かない!!可哀想に!!
ねぇっ!!”
そんな事をぶつぶつ言っていると、
ホームに住む青年がニヤニヤと笑って頷く。
慌ててカレーを作りながら、
『お腹空いたね💦お腹空いたね💦』
と気が気では無い。
私はいつも
新しい青年がホームに現れると、
リビングの椅子を台所に持ってこさせて
そこに座らせ、
食事を作りながら話しをする。
時間が勿体ないのと、
初対面でも
これだとお互い、
何となく緊張しないのだ。
その時私が聞くのは
『食べられ無い物ある⁈
好きな食べ物はなあに⁈
誕生日は何月⁈』
大体そんなところだ。
好き嫌いが無いと聞くとホッとし、
好きな食べ物が『カレーです🍛』だと、
良かった〜と安心する(楽だから)。
後はゆっくりゆっくり、
お互いを知っていけば良い。
北海道に一人で来るの、怖くなかった?
と聞くと、
『怖かったです』と答えた。
素直な子なのだなぁと思った。
『君に言いたい事はね、
ここはもう、君の家だからさ。
好きに過ごしなさい。
冷蔵庫の中の物も食べたかったら食べなさい。
好きなだけ居てもいいし、
何処かへ行きたいなら行ってもいいし。
でも、もう君の家なんだから、
また帰ってきていいんだ。
ここはゆっくり休んでもいい家なのよ。
だから遠慮なんか要らないよ。
ただ、人の嫌がる事はしないこと。
それだけお願い。』
何となくホッとした顔をして、
コックリと頷き
“遠慮せず”カレーを食べた。
“今日はこれぐらいにしときますー”
と言って、新しい青年が来た時には
必ず買ってくるケーキを
“2つ”食べた。
一緒に彼の部屋へ行き、
彼と堀田とでニトリまで買いに行った
新しい布団を出して敷いた。
北海道は朝晩寒いからね。
これだけで大丈夫かなぁ。
心配する私に
『僕、暑がりで
16度でも裸で寝れるんで、大丈夫です』
とても体格のいい、
おっとり話す彼の言葉にホッとした。
無一文と言っていいぐらいの
身軽な状態で現れた彼は、
(ここに来る青年は、大体みんな文無しで、同じようなものだ)
今は堀田の会社で朝早くから働き、
もうあっという間に、真っ黒に日焼けして
Tシャツの境目を見ると、
“パンダ”みたいなツートンカラーになっている。
『北海道でこんなに日焼けするとは思って無かったなぁ』
とニコニコと笑い、
スマイルリングの食糧事情を
震え上がらせるぐらいによく食べる。
そんな彼の写っている
ここに来てからの写真は、
全部、何か食べている写真ばかりだ。
何処でどんな風に生まれたのかも
『よう分からん』
と言う彼は、
乳児院で育ち、
16歳まで児童養護施設に居たという。
彼とは時々、
2人でスーパーへ買い物に行く。
彼は音楽が好きで、
いつも車の中でBGMを掛けて聴かせてくれる。
私でも分かるような、
彼が生まれるずーっと前の曲を
『これなら知ってますか』
と掛けてくれる。
18歳になったばかりのこの子は、
“いろんな人に会いたい”のだと言う。
彼が安心して居られる居場所。
お腹いっぱい
美味しくご飯が食べられる場所。
優しく楽しいキャラクターを
心から受け入れ、愛してくれる人々に、
もっともっと出会える事を願って、
今日も大盛りご飯をモリモリ食べる、
そんな彼の姿を見つめている。
NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき😁🍛✨✨