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君からの手紙。

こんにちは☺️北海道とかち帯広で、児童養護施設出身などの社会的養護、少年院出身の若者、自立支援に取り組んでいます。NPO法人スマイルリングの日常をnoteします!


この一年あまり、
ずっと胸の中に居た青年がいる。

まだ直接会った事は無く、拘置所の中の彼とは
手紙のやり取りをしてきた。

少年院を出院後、せっかく決まった就職先を
半年もせずに飛び出してしまい、

自分は真面目に生きていくのは向いてない。
だから、俺に付いてこいと言ってくれた
『アニキ』のいる世界で生きていく、と決めた。

母が泣いて止めるも聞かず、
沢山の心配と、沢山の迷惑を掛けて、

愚かにも、
そのアニキやら親分とやらに言われるまま、
また罪を犯してしまった。

アニキも親分も彼が捕まった時、
『そんな奴うちのもんじゃない。関係無い』
と言った。

何にも助けてくれなかっただけでは無く、
彼の就職の為に買った、
未だに母がローンを払い続けている車も
取られたまま、何処かにいってしまった。

実家から遠く離れた留置所の中で、
その事実にやっと目が覚めたが、
後悔しても遅かった。

勾留されてからも、重ねた罪がめくれて
再逮捕、再再逮捕となり、
何ヶ月も時が過ぎていった。

そしてやっと公判の日が来て
でた判決は“実刑2年6ヶ月”だった。

母を泣かせ、利用されるだけされた結果が
こういう事なのだ。

彼の事はお母さんからの相談で
知っていたが、

彼とは留置所に入ってから、
手紙のやり取りが始まった。

彼の手紙を読み、
弁護士さんと何度もやり取りをし、
2回、裁判所に上申書を送って、

北海道に来て、本気で人生を
やり直したいと言う彼を
受け入れる気持ちでいた。

私も半分はそうなる事を予測していたが、
それでもやっぱり半分は、
もしかしたら執行猶予かもしれないし…と、

シェアハウスの部屋を片付け、
布団を用意して待っていた。

北海道まで一人で来るのは
心細いだろうな。

彼に向いている仕事は見つかるだろうか。

どんな背格好だろう。

好き嫌いはあるのかな。
何でも食べてくれるかなぁ…。

二十歳を過ぎたばかりだし。
羽織袴姿で成人式の写真も撮ってあげたい。

お母さんに見せてあげたら、
少しは喜んでくれるだろうか…。

まだ顔も知らない彼の事を
心の中であれこれ考え、
ソワソワした気持ちで
公判の日を迎えたのだが、

弁護士さんからの電話で結果を聞いて、
ぼうっとしてしまった。

大切な青春時代を、
2年6ヶ月も、刑務所で過ごすのだ。

スマイルリングの活動を始めてから
そんな事は普通に見聞きしている私も、
その現実には、全然慣れる事が無い。

テレビの報道などで、
10代や20代前半の、
まだ幼さも残るような顔をした青年が、

闇バイトなどで罪を犯しては
実名で顔を晒されて、
この現実を本当に分かってるんだか
分かって無いんだか分からないような、

ボンヤリした顔で連行される様子を見る度に、
心が重苦しくなるのだ。

悪い大人に利用されやすい若者というのが
確かに存在する。
とても難しい問題だと思う。

彼の2年半など、まだ軽い方だ。
青春時代、
楽しい経験が沢山出来る青年時代に、
5年、10年という歳月を
閉ざされた空間の中で生きる事になる。

そこから出て来てからの
娑婆(シャバ)の生活だって
本当に、楽なものでは無く、

社会の中で生きて行くスキルを身につけ、
その生活を整えていくのは本当に大変なものだ。

そんな彼からまた手紙が届いた。
判決後、直ぐに書いたのだろう。

残念な報告になって申し訳ありません。
でも、それだけ自分のしでかした事は
大きかったから、
自分は責任を取らなくてはならないと
思っています。

この懲役期間に、
更に自分の意思を固く強くし、
社会に再び帰ってこれたらと思います。

野々村さんの言う通り、
自分のした事は全部自分に返ってくる。
それは当たり前で、誰のせいでも無い。

避けては通れない、
逃げてはいけない、
今度こそ、
自分の人生を切り開く為の闘いを
決意しなくては、と思っています

そして、
こんな自分を応援してくれる人がまだ
居てくれる、と言うことに応えたい。

少しでもそういう人達に、
いい報告が出来るように、
全身全霊で行って来ます…。

彼が今、どんな心持ちでいるのかと
気になっていたのだが、

素直な、今の気持ちを綴られた
手紙を読んで、少しホッとした。

彼の為に開けておいた部屋に佇み、
服役中に彼の経験する事、成長する事
などに思いを馳せて、

彼と本当に会える日を
待とうと思っている。

他にも手紙のやり取りをしている、
少年院に在院中の子や、

娑婆で自分の人生を見つめながら
一日一日を頑張って生きる人。

一人一人を思いながら、

今日は手紙を書く日にしようと思います。

NPO法人スマイルリング
理事 ののむら ちあき💫

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