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8年前と8年後


小学校6年生の夏、わたしはとある決意を持って実家の庭にタイムカプセルを埋めた。

「このタイムカプセルは、私が19歳最後の日に掘り返すんだよ!」

と父親に豪語した覚えがある。

さて、ついに19歳最後の日が来た。当時の私は覚えているか否かを心配していたが、バッチリと覚えている。8年くらいで記憶は薄れていないようだと言いたいところだが、当時の記憶は少しずつ薄れてきている。

ところで本日の天気、雨である。


今年の梅雨明けがゆっくりなのか、それとも当時の私の夏の定義が早い時期からだったのか、今年は梅雨前線が停滞した影響でまだ梅雨が明けておらず、良好な天気とは言えない。
そしてもう一つ、明確な場所を既に覚えていないのだ。先ほど記憶力が〜と宣ったのにも関わらず、大体の場所しか覚えていないのだ。しかも、数年前実家の庭には砂利が追加され、私がタイムカプセルを埋めた地層までは二段階も地層を掘り進めなければならない。

小学校6年生だった自分よ、今日掘り返すのは極めて困難だ。私は諦めた。
後日、梅雨が明けたら掘り返すかもしれないが、恐らく見つけることは難しいだろう。

ところで、8年前といえば自分は小学生だった訳で、今思えばすぐに終わるドリルの宿題を溜め、親や先生に学期末に怒られていた記憶が強い。誰かから聞いた地震や地球滅亡の予言に怯えつつも、友達と遊ぶことが私の世界の全てだった。なんとなく大人というものが遠いもので、小学校の世界線が漠然と続いていくように感じていた。
8年が経ち、遠いものだと思っていた大人はもう目の前になった。当時の私が想像していた未来と合っていることも有れば、全然合っていないこともある。大切な友人にも出会え、熱中できる趣味も見つけた。今大学で専攻している科目は、当時の私が抱いていた夢への道とはかけ離れていて、未来は無限大に広がっていたんだなと今改めて感じる。
さて、それでは8年後はどうだろうか。
未来は無限大だと改めて感じた今、子供心に帰って予想してみたいと思う。28歳の自分、考えてみても想像できない。
今大学で学んでいる学問分野を生かして会社で勤務しているかもしれないし、この先転機が訪れて想像もしていない職業かもしれない。もしかしたら文字を書きたいという漠然とした思いを優先してそのような職についているかもしれない。
8年後には人生のパートナーを見つけてお付き合いを重ねているかもしれないし、もしかしたら結婚して子供が生まれ、家庭を築いているかもしれない。逆に、そうした出会いがなく飲み屋でスルメを貪りながら「あーー30までには彼氏がほしいよおおお」と友人に嘆いているかもしれない。
奇想天外な行動で周りを驚かせてきた20年間を思えば、これから先も予想を超えた人生を歩んでいくのかもしれないし、挫折してナイーブな気持ちになっているかもしれない。

一つの未来を予想できないということは、つまり私のこれから先の長い長い人生も無限大に可能性があるのだろう。

果たして私の8年後の予想は一体どれくらい当たるのだろうか。
8年後の未来が今から楽しみである。

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