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8月の音楽レク【夏を涼しくするアイテム】

施設に入居されている高齢者は、
今が季節はいつで、何月何日なのか、ということに
気づかないで暮らしている方も多くいらっしゃいます。
音楽レクは、季節感がとても重要です。
なるべく、今の季節に合ったプログラムを考え、
歌を選びましょう。

今回は、暑い夏にどんなものがあると、涼しく感じるか、
を思い出していただくプログラムです。

金魚の昼寝

鹿島鳴秋(めいしゅう)作詞 弘田龍太郎作曲 大正8年

1曲目の選曲は重要です。
季節感があって、誰もが歌えて、テーマの導入にふさわしい曲を
選びましょう。

歌詞を見て、「なつかしいわ~」「子どもの頃唄った」
と言われる方がいて、「大正時代にできた歌ですよ」
と教えると、びっくりされました。
大正時代は童謡が花開いた時代です。
たくさんの童謡が生まれました。
童謡は決して幼稚な歌ではなく、子どもたちのために
文学的でわかりやすい歌詞でできていて、
メロディーも歌詞に沿ったものになっています。
→当ブログ「歌唱曲の変遷 唱歌、童謡、国民歌謡、ラジオ歌謡」をお読みください。

歌い終わって、「金魚飼ったことありますか?」と尋ねてみましょう。
ほとんどの人が「ある」とニコニコ答えます。
「夜店で金魚すくいをすると、網が破けてしまっても1匹もらえましたよね」
「昔は金魚のエサはお麩を砕いて粉にしてあげてましたね」
などと話すと、みなさんニコニコ「うんうん」とうなずきます。

金魚も涼しげですが、他にも夏を涼しくするものってありますか?
と問いかけ、ホワイドボードに「夏を涼しくするもの」と書きましょう。
どんどん答えてくれる方もいれば、考えても出てこない方もいます。
少しヒントを出しながらホワイトボードに書き込みましょう。

シャボン玉

野口雨情作詞 中山晋平作曲 大正9年

夏を涼しくするものとして、団扇や扇子があがることでしょう。
風鈴と答える方もいらっしゃるでしょう。
50年くらい前は、エアコンは無くて、扇風機や団扇で涼をとりました。

ここからは「風」の出てくる歌を3曲歌っていきましょう。

『シャボン玉』には
「風 風 吹くな シャボン玉とばそ」
という歌詞がありますね。

一説には雨情のお子さんが、亡くなり、
そのことを悲しんで書いたとも言われています。

浜辺の歌

林古渓(こけい)作詞 成田為三作曲 大正5年

高齢者でなくてもこの歌を好きな人は多いことでしょう。
大正時代にできた曲とは思えないほど、素晴らしいメロディですね。
成田為三は、他に『かなりや』も作曲していますが、こちらも素晴らしい曲です。
交響曲やピアノ曲も作曲していますが、ほとんどが空襲で焼けてしまいました。
とても残念ですね。

『浜辺の歌』には
「風の音よ 雲のさまよ」
という歌詞が出てきます。

古城

高橋掬(きく)太郎作詞 細川潤一作曲 三橋美智也 昭和34年

冒頭に
「松風騒ぐ 丘の上」
という歌詞が出てきます。

高齢者の方はよく歌える歌です。
テーマ的には『荒城の月』に似ていますね。

すきま風

いではく作詞 遠藤実作曲 杉良太郎 昭和51年

杉良太郎といえば、「杉様」と呼ばれ、一世を風靡しました。
流し目にうっとりして、セレブなおばさま方が、
おひねりを着物や帯に差し込んでいました。

この歌は80歳代以上ですと、知らない方もいらっしゃいます。
でも「杉様」と言うと、にっこりされ、思い出します。
テレビの「遠山の金さん」(昭和50年~52年)の主題歌でした。

参考:風にまつわる歌
愛燦燦、逢いたいなァあの人に、母さんの歌、北国の春、故郷の廃家、
ここに幸あり、サン・トワ・マミー、サンタルチア、白いブランコ、
砂山、千の風になって、蘇州夜曲、たき火、たこの歌、旅の夜風、灯台守、
どこかで春が、涙の渡り鳥、花の街、風雪ながれ旅、冬の星座、ふるさと、
みだれ髪、緑のそよ風、リンゴ追分、別れのブルース

氷雨

とまりれん作詞作曲 佳山明生 昭和57年

夏を涼しくするもの。
結構食べ物があがります。
かき氷、アイスキャンディー、アイスクリーム・・
変わり種ではところてん。

冷蔵庫が家になかったころは冷たいものは貴重品でした。
かき氷はシロップがいろいろありますが、何が好きですか?
と問いかけてみましょう。
いちご、メロン、宇治金時などなど、ニコニコ答えてくれるはず。

『氷雨』は冬の歌ですが、曲名に氷が出てくるので、と前置きし歌いましょう。
大ヒットし、その後カラオケの定番曲となりました。
とはいえ、初期のカラオケは、スナックで100円払って歌う、というスタイル。
その後、カラオケの人気が爆発し、カラオケボックスができました。

ああ上野駅

関口義明作詞 荒井英一作曲 井沢八郎 昭和39年

アイスキャンディーは懐かしがる高齢者は多いです。
自転車の後ろに木の箱をくくりつけて、売りに来たそうです。
鐘をカランカランと鳴らしながら来たのだそうです。

『ああ上野駅』は初めての東京オリンピックが開催された昭和39年に
大ヒット。
中学を卒業後、夜行列車に乗って集団就職で出てきた
当時金の卵と言われた子どもたちの歌です。
「上野は おいらの 心の駅だ
配達帰りの自転車を 停めて 聞いてる 国訛り」
という歌詞が泣かせます。
自転車が出てくるのでこの歌を選びました。

湯の町エレジー

野村俊夫作詞 古賀政男作曲 近江俊郎 昭和23年

夏をすずしくするものでところてんは出てくるでしょうか?
最近はあまり食べた記憶がないですし、お店でも見かけません。
ただ、食欲がないとき、さっぱりした味のところてんは確かに美味しいですね。
ところてんは寒天でできていますが、寒天の材料天草は、
伊豆が生産高の60%を占めているそうです。

三杯酢をかけて食べる

『湯の町エレジー』は高齢者は大好きな歌です。
古賀メロディーが歌詞の物語をより深くしてくれていますね。

ずいずいずっころばし

わらべ歌

夏を涼しくする食べ物が続きます。
縁側でスイカをほおばる・・田舎に行ったとき、祖母が切ってくれたスイカを思い出します。

冷蔵庫がなかったころは、スイカは井戸で冷やしました。
井戸水は夏でも冷たかったですね。

『ずいずいずっころばし』は子どもの頃、遊んだ方は多いのではないでしょうか?
高齢者も同様です。
歌詞を貼らなくても、スラスラ歌うことができます。
「井戸の周りで お茶碗欠いたの だあれ」
と締めくくります。

あの子はたあれ

細川雄太郎作詞 海沼実作曲 昭和16年

夏を涼しくするもの、次はすだれ、よしずです。
窓からの日差しを遮るのにすだれを下げたり、
お店などでは、よしずを立てかけていました。

よしず

すだれは竹、よしずは葦からできています。

『あの子はたあれ』は昭和にできた童謡です。
「竹馬ごっこで遊んでる 隣のけんちゃんじゃないでしょか」
2番に竹が出てくるので、この歌を選びました。 

炭坑節

福岡県民謡

夏を涼しくするもの、最後は浴衣です。
最近は浴衣を着ているのは、花火大会や夏祭りに出かける若い女性が主流ですが、
昭和30年代以前は、結構普段から浴衣を着る習慣はありました。
私の父も、夏は浴衣を着て、ビール片手にテレビの野球中継を見ていた記憶があります。

『炭坑節』踊れますか?
と問いかけてみましょう。
「掘って 掘って また掘って
担いで 担いで あと下がり
押して 押して 開いて チョチョイのチョイ」
私はこのように覚えました。
お陰で今でも踊れます。
一緒に振りをするのも楽しいですね。

しゃもじや鳴子、などを配って鳴らしながら歌いましょう。
歌いながら鳴らすのは、結構高度なことです。
どちらかしかできなかったり、持っていることに意識が向いていない方もいます。
でも、手を持って、一緒に鳴らすと、できるようになることがあります。
諦めたり、思い込みは禁物です。

東京音頭

西條八十作詞 中山晋平作曲 昭和8年

東京音頭は新民謡と言われます。
当時は流行歌でした。
最後にふさわしく元気に賑やかに歌いましょう。




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