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捨てたい、けど捨てられない―機能不全家族で育って

第27回


怒ると口癖のように「俺の稼いできた金を一切使うな!」と言っていた父ですが、酒を飲み機嫌が良い時には「うちはお金が無くてもいい家族だ」と言い、子どもの私たちに必ず同意を求めてきました。とても同意できる気持ちでなくても、合わせておかないと怒らせることになるので厄介でした。
さらに面倒だったのが、近所に住む父の兄一家と自分の家族を比べて「いい家族だ」と言うことでした。私は「そうかなぁ、あちらの家はお金があって羨ましいけどなぁ」と思っていました。決してそのようなことを口にすることはありませんでしたが。
うちは、父にとっては「いい家族」だったと思います。誰も逆らわなかったし、もし逆らった場合も「出て行け!」と怒鳴って「生活費を出さない」と言えるし、家の中では父の思うように振る舞うことができていましたから。
子どもである私たちが色々な感情を抑えていたことを、両親は今も知らないと思います。今思うと、家庭で抑えていた感情を、私は外で発散していたのだと思います。人の悪口を言ったり、誰かに嫌がらせをしたり。親は私のことを素直に育っていると言っていましたが、私は決してそのような子どもではありませんでした。(2023.7)

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