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捨てたい、けど捨てられない―機能不全家族で育って

第40回

高校生活の最後の最後に、また「お金がないってこんなに惨めなんだな」と実感することがありました。
冬休みあたりから、私の周りは卒業旅行の話題で持ちきりで、クラスメイト達は卒業旅行へ行くと浮かれていました。普段から行動を共にしていた友人も、一緒に行かないかと私を誘ってくれました。でも「安く行けるよ」と言われても、自分のお小遣いもお年玉もありません。「友達に誘われたから私も行きたいんだけど…」と親に相談することもできず、泣く泣く断りました。年明けから卒業前の自由登校期間までは、誰と話してもその話題で、悔しいというか苦しいというか、いろんな思いがあって辛かったです。
部活動の仲間からも、安く行けるからと卒業旅行のお誘いがありました。こちらも断らざるを得ませんでしたが何度も誘われて、今度誘われたら「お金がない」と言うしかないと思っていたところ、もう一人断り続けていた子がいたために部の卒業旅行はなくなり、おかげで私も理由を言わずに済みました。
そしてその仲間たちは後日、「カラオケだったら行けるか」と改めて誘ってくれました。旅行へ行くはずがカラオケになってしまって申し訳ないと思いながら参加しましたが、あの時の仲間の気遣いは、今でもありがたいことだったと思っています。
(2024.8)

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