「大人」とは?

1983年、入社した頃、40代の部長・プロデューサー達は、「落ち着いた大人」に見えた。

今、僕は彼らより10歳以上歳上の年齢になっても、自分が「大人」になったとは思えない。どうやったら「大人」になれるかも分からない。

あるプロデューサーは、ジーパンを履き、お尻のポケットに文庫本一冊入れて、カバン無しで会社に来ていた。とってもカッコよかった。

あるプロデューサーは、定期券代で会社の近くに駐車場を借り、颯爽とBMWを運転して会社に来ていた。

何故か、制作部長は必要なものを風呂敷に入れ、持って来ていた。

プロデューサー達は、それぞれの個性の集まり、「野武士」の様に見えた。「制作部」はそういう人たちの集まりだった。「制作部」はタバコの煙が常に流れる空間だったのである。

周りの人より、どれだけ面白い番組が作れるか、純粋にそれだけが評価の尺度。

仕事が終わって、若手で行く麻雀と、生放送が終わって行く反省会という名の飲み会。そこで、直々に先輩プロデューサー・ディレクターにテレビ番組の作り方を教わった。今考えても、なんてラッキーだったんだろうと思う。

毎週やって来る、週2本の生放送、それを取り仕切るプロデューサー。どれだけ大人に見えた事か。

PCもスマホも携帯電話も無い時代。大人たちは「振り回されるもの」が無かった。だから、毅然として、行動出来たのではないか?

会社もプロデューサー個々人の責任に「委ねる事」が多かった様に思う。

情報過多の今、番組企画や番組はすぐにPCのシステムによって分析されてしまう。SNSの影響も大きい。

今の社会、大人が大人であり続ける事は非常に難しいのではないだろうか?

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