五十嵐いづみさん
「華の宴」という「老舗そうめん屋」を舞台にした朝の連続ドラマで、僕はプロデューサーデビューした。主演は五十嵐いづみさん。
ある日、チーフ・プロデューサーの今岡大爾さんから突然、2名のヒロイン候補の写真を見せられた。
立花理佐さんと五十嵐いづみさんだ。
当時大好きで観ていた連続ドラマ「ニューヨーク恋物語」に彼女は出演しており、新人ながら独特のオーラを出していたのである。
今岡さんは言った。
「結構、事務所が大変かも知れないけど、ヒロインは五十嵐いづみで行ってみるか」
僕の意見が採用された。
脚本作りはもう一人、先輩プロデューサー富田求さんがいたので、現場の方を任された。
1週間位、奈良の橿原神宮前にロケに行った時、泊まったホテルの朝食が「洋食」しかなかった。
キャストやスタッフから白いご飯を食べたいという切実な声が上がり、ホテル側と交渉した。やっとの思いで、洋食+梅おにぎり100個を朝食として準備した。
しかし、おにぎりを食べる人は少なかった。ホテルの人に残ったおにぎりをどうやって返すか、明日の朝食をどうするか、僕は途方に暮れた。
プロデューサーが企画を考え、キャスト・スタッフみんなの力を借りて、ドラマを作っていくのだから、どんな球でも受けようと心に決めた。
決して、その場から逃げないと。