エコロジカル・トイレット
どこへ行っても、気になるのが
トイレ。
南米チリに行った時、外国人に一人混じって、氷河を見るツアーに参加した。
ツアー終わりで、トイレタイム。僕は尿意を感じず、トイレに行かないまま、バスに乗り込んだ。
ところが、徐々に尿意を催してきたのだ。
マイクロバスは道路の凸凹で振動しながら、走り続ける。
膀胱に尿が溜まった僕にはそれが耐え難い。振動が来る毎に漏らしそうになる。腰を浮かして、振動が伝わらない様にする。尿意を紛らわせる為、他の事を考えようとするが、それにも限界がある。
何度もチビった時の状況を想像して、ゾッとした。ああ、出てしまうと思った時、僕は自然に英語で「小便をしたい事」をガイドさんに伝えていた。
バスから出て、立ちションをする。バスに乗っている外国人観光客に見られていても、小便は元気に勢いよく出た。僕はホッとした。
バスに戻ると、乗客みんなが笑顔で、「ecological toilet(環境に優しいトイレだね)」と言ってくれた。僕はその笑顔を見てホッとした。
同じく、南米ペルーでの話。ナスカの地上絵へ行く途中、休憩で寄ったドライブイン。
トイレに行きたくなって、場所を訊いた。建物の裏手だと言う。
行ってみると、六畳位の広さの部屋に、ウンコがピラミッドの形に高さ2メートルくらい積み上がっていたのである。ピラミッドの中心には、洋式便器があったのだろう。そこから積りに積もって今の形になったのだろう。
乾燥地帯なので、臭いは全くしないが、さすがにウンコの山を登る気にはならず、ナスカのホテルまでトイレは我慢した。
新婚カップル4組と僕と添乗員さんの10名で、南国の楽園タヒチからイースター島に向かった。
30回近くイースター島を訪れている添乗員さんが見た事も無いほどの晴天に恵まれた我々。
モアイ像の観光が終わってお土産物屋さんへ。
お腹がキュルキュルいっていた僕。お土産屋さんにトイレは無かった。漏らしそうだ。
ホテルにたどり着くまで、持ちそうになかった。
僕は決心した。幸い、新婚カップル4組はお土産物を買うのに夢中になっている。
銀行のポケットティッシュを幾つか持ち、マイクロバスをそっと降りる。
お土産物屋と反対側、民家の大木の陰。周りを見渡し、人がいない事を確かめて、パンツを下ろす。
コトを終えて、ティッシュで拭き、立ち上がると添乗員さんと目が合ってしまった。これが「運」のつき。
日本でもした事の無かった「野糞」をイースター島でしてしまうとは・・・。
しかし、あのままにしていたら、新婚さん4組の乗っているバスの中で、悲惨な事になっていたのは間違いない。
どこへ行っても、生理現象は待ってくれない。イースター島の「僕のモノ」は雨で流されただろうか?