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余部鉄橋から列車が落ちた‼️


大阪駅(当時)

その日、僕は大学の友だちの今玉琢郎と大阪駅で待ち合わせしていた。2人とも鉄道ファンで、合流してから行き先を決める手筈だった。

僕はワクワクしていた。

行き先は、島根県・玉造温泉に決定。


国鉄型ディーゼル急行

大阪駅発福知山線・山陰線経由の急行に乗り込んだ。駅弁をかっこみながらの鉄道トーク。

気動車ディーゼル急行は、独特の音と振動を出しながら、精一杯走っていた。「一生懸命走っている感」のあるこの音と振動が僕は大好きなのだ。

城崎温泉駅を通り過ぎて、雪が激しくなり、外は薄暗い曇天。

餘部駅


急行は、「餘部(あまるべ)駅」で停車する。強風で重い気動車の車体が大きく揺れている。その揺れは僕たち乗客も感じる程だ。列車は走り出す様子も無く、何故か静かに止まっていた。

「この先にある余部橋梁は高さ41.5メートルで、日本一高い鉄橋です」と車内アナウンスが流れた。続いて、「その余部橋梁から列車が転落しました。復旧の目処は立っておりません」

余部鉄橋列車転落事故
余部鉄橋列車転落事故

車掌の口調は動転している様だった。

ほぼ満員の列車から急いで、友だちと僕は駆け降り、駅前に一台だけ停まっていたタクシーに乗って、事故現場を迂回して、浜坂駅まで到達した。

浜坂駅
181系ディーゼル特急
181系ディーゼル特急



浜坂駅には、僕らの乗っていた急行が接続する予定だった特急「はまかぜ」が待っていて、その出発に間に合った。

玉造温泉駅


特急で玉造温泉駅まで行き、タクシーで玉造温泉に到着。

旅館にチェックインして、部屋のテレビをつけると、余部橋梁の事故のニュースを大々的にやっていた。

ディーゼル機関車が客車を引っ張った回送列車の一部が強風で橋梁から落ちた。転落現場からテレビ各局が生中継で伝えていた。車掌さんと橋梁の下にある蟹工場で働く方々が犠牲になったという。

テレビ画面には橋梁から蟹工場の上に突き刺さる様に落ちた巨大な客車の映像が映し出されていた。目が点になった。

僕らが乗っていた急行も強風で大きく揺れていたのを思い出し、ぞっとした。

その後、余部橋梁を通る時には、この日の事を思い出す。

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