「オンリーユー愛されて」と「スマイル」

ドラマには「音楽」が必要だ。何度も御一緒したことのある男女音楽監督のKコンビ。

最初に仕事をしたのは、僕がAPだった、鈴木京香、大沢たかお主演のドラマ「オンリーユー 愛されて」。青山・骨董通りにある制作会社「イースト」の会議室。彼等がプロデューサーの前でかけたのがチャールズ・チャップリン作曲の「スマイル」だった。映画「モダン・タイムス」に使われている名曲だ。脚本を読んでのプレゼン。ドラマが動いた気がした。

このドラマは、ORIGINAL LOVEが主題歌「プライマル」を歌った。

劇中使われた「スマイル」と「プライマル」のインストメンタルが鈴木京香と大沢たかお、危うい2人のラブストーリーをどんどん盛り上げていった。最終回の、2人が海深く沈んで行き、結びつくシーンの音楽は最高だった。

今発売されているDVDでは、「スマイル」が権利の関係で、曲が差し替えられているのが残念でならない。

彼らとは、ドラマ「心療内科医涼子」でも御一緒した。企画を説明すると、程なく2人はスウェーデンに飛び立った。スウェーデンの音楽プロデューサー、トーレ・ヨハンソンに主題歌とサントラを作ってもらうためだ。こうして出来た主題歌がル・クプルの歌った「sofa」である。そして、サントラ。北欧の癒しの音楽が「劇中で出て来る患者の心」を癒してくれた。それはまた、視聴者の心を癒す事でもあった。

家庭内暴力、虐待がテーマのドラマ「凍りつく夏」。長い間、戦争で戦い続け、絶望しそうになっても、何度でも立ち上がるケルト民族の音楽を録音する為に、彼らはアイルランドのダブリンまで行った。

求める音楽の為には、彼らに国境は無かった。

毎回、2人とMA(音楽を付ける作業)をするのが楽しみだった。脚本作りから始めたドラマの、完成形を見るのが待ち遠しかった。音楽に純粋な彼らと出会えて本当に嬉しかった。

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