チャールトン・ヘストン
ハリウッドはかつて、ハリウッドでしか撮れない大作映画を手がけてきた。
「十戒」(1956年)、「ベン・ハー」(1959年)、「猿の惑星」(1968年)、「大地震」(1974年)、「エアポート’75」(1974年)などなど。これらの映画に主演したのが、チャールトン・ヘストンである。
彼は「強いアメリカの象徴」でもあった。
実際、ヘストンは全米ライフル協会の会長も務めている。
「ベン・ハー」「十戒」「猿の惑星」あたりは、映画館ではなく、テレビの洋画劇場で観ている。吹き替えは、「ルパン三世の銭形警部」でお馴染みの納谷悟朗。
「ベン・ハー」、競技場で馬に引かれた二輪戦車に乗って、闘うシーンの迫力の凄い事。今の様にCGは無い時代なので、多額の予算と長期の撮影期間が必要だった事だろう。製作は、MGM。このシーンの撮影は、イタリア・チネチッタ撮影所で行われた。
「大地震」と「エアポート'75」は、同じ年、1974年に公開された。当時、「大地震」は、「センサラウンド方式」で上映。これは、映画の中で地震が起きると、観客のイスが同じ様に揺れるというものだった。
イスを揺らす振動が映画館の天井に伝わり、天井に溜まったホコリが落ちて来たのを憶えている。
当時の僕は中学生で、お小遣い制だった為に、どちらか一本を選ばざるを得なかった。
数週間後、父が「エアポート'75」に連れて行ってくれたので、僕は両方観る事ができた。
あの頃の僕は、チャールトン・ヘストンを真のヒーローだと思っていた。
しかし、日向で成長して来たアメリカ社会に翳りが見え始める。
それと共にハリウッドスター、チャールトン・ヘストンの存在は僕の中でみるみる小さくなっていった。
ハリウッドも大作からニューシネマへと変わっていくのである。