助監督の仕事

実在する住所、実在する電話番号、実在する新聞、実在する写真週刊誌を使わない。ドラマの鉄則。だから、ロケに行っても電柱に美術さんが作った架空の住所看板を巻き付ける。視聴者にロケ地を知られたくない事もあるし、そのままの住所表記を使った場合、たくさんの人がそこに集まり、住民の皆さんに御迷惑をかける事があるからだ。

スマホは通常、美術さんが用意してくれる。仮に、このスマホの電話番号を映してしまった場合、画面に映った電話番号を見て、視聴者がそのスマホに電話しないとは限らない。見も知らぬ人から電話が殺到したら困り果てる。

会社や病院、警察なども基本、架空の名前だ。ドラマはフィクションであるから、どんなストーリーも作れる。実名であると、脚本も作りにくいし、できた脚本を読んで、その組織からNGが出る可能性もある。こんな型破りな会社員はいない、こんな上層部に反抗する刑事はいない等々。あの「西部警察」が成り立たない。

新聞や雑誌の記事は、助監督がドラマの脚本に合わせて作る。良い記事ばかりではないし、既存の新聞や雑誌には載せられないのは言うまでも無いだろう。

今はパソコンの画面、スマホの画面を作らなければいけないので、助監督の仕事は相当増えているはずだ。もちろん、そういった画面そのものを作るエキスパートはいる。しかし、元の原稿と画面のレイアウトは助監督が作る事に変わりはない。LINEとかはどうしているのだろう。LINE風やり取りをドラマでしばしば見かける。LINEはあの画面にも著作権を持っていると思うので、LINEそのものを使わないのかもしれない。

助監督は原稿を考え、それを美術部かコンピューターやスマホを扱う業者に出して、緊迫した画面を作り出していくのである。

時代に合わせて、助監督の仕事も変わっていく。

いいなと思ったら応援しよう!