海外、旅の仕方
海外の街に行った時、必ずと言って良いほど立ち寄る場所。
百貨店、本屋、文房具店、動物園、駅、市場、遊園地などである。
僕は「観光地」と呼ばれる場所にはほとんど興味が無い。
東京に住んでいて、東京タワーに行かなかったり、大阪に住んでいて、大阪城に行かなかったりするのと似た様なものである。
訪ねた国の人たちが、日常生活で足繁く通う場所に行き、その国特有の雰囲気を味わいたい。
百貨店。ベトナムの百貨店、当然、日本の百貨店とはディスプレイも違うし、各階で何を売っているのかも違う。
本屋。日本の漫画「ドラえもん」や「名探偵コナン」がどれくらい並んでいるのかも知りたい。「左綴じ」と「右綴じ」の違いも確認したい。
文房具店。
香港の文房具店ではお土産に、中国語で「謝謝」(有難う)と押せるシャチハタを買って来て、会社の同僚に配った。1個、130円位。
ニューヨークの文房具店では、日本のとは形が異なる「ステイプラ(日本では『ホッチキス社製』という事で、『ホッチキス』と呼ばれている)」を買った。
アウシュビッツ捕虜収容所に行った時は、ポーランドの首都・ワルシャワまで足を伸ばして、凄い雪の降る日、ワルシャワ動物園へ。
この動物園の売りは、「真っ白なライオン」。
深い積雪で、僕以外、ほとんどお客もいない中、暑いアフリカのサバンナから来た「百獣の王」白いライオンは寒さに震えて、情けなくなって涙を流している様に僕には見えた。
雪が激しく降っていて、ワルシャワの街のど真ん中にある動物園。全く喧騒が聞こえない。深い静寂。
誰にも邪魔されず、ゆっくりライオンを見て、想像を膨らませたり、アウシュビッツの事を考えたり。
僕にとっては貴重な時間が流れていた。
駅。その街の人々の熱気が凝縮される場所。
鉄道マニアの僕は胸躍らせる。
各国の駅に行って、隣の駅までの切符を買うのが常だった。
つまり、新宿駅に行って、隣の新大久保駅までの切符を買う様なもの。
いろんな都市の切符を蒐集していた。安上がりな趣味。しかも、駅はその街の人々を人間観察出来る素敵な場所だ。
市場。
フランス統治領タヒチ、首都(?)パペーテ。
亜熱帯に位置するこの街の市場は魚で溢れていた。但し、気温が高い為、魚がすぐ腐るのか、すごく腐臭がした。でも、陳列を見ているだけで楽しい。
台湾の市場、というか、野外飲食店街。どこの店で食べていても、他の店の食べ物を持って来てもらえ、自由に飲み食いが出来る。このシステムはとても便利だった。
以前も書いたが、アマゾン川中流の街マナウス。魚市場の中にある漁師の為の食堂で食べた「アマゾン川の魚の粗を煮込んだトマトスープ」の味は絶品。世界一美味しい食べ物だと僕は思った。
南米ボリビアの首都ラパスでは遊園地に行き、ジェットコースターに一人で乗った。そんなに高くまで上らないジェットコースターだったが、そこから見えるラパスの街の風景はひとしおで、記憶に残るものになった。
そして、忘れてはならないのが、世界各地にある「日本料理店」である。
店には「サッポロビール」など、日本のビールも置かれているが、日本からはるばる運ばれて来たせいか、味が微妙に違う。この味の違いを楽しむのも一興だろう。
ニュージーランドの南に位置する街、クィーンズタウン。
日本料理店「南十字星」。
ここで、「水炊き」を頼んだら、「レタスの水炊き」が出て来た。これはなかなか不思議な味の食べ物だったが、やっぱり「白菜」の方がいいと思った。
次に「握り寿司」を頼んだ。
ニュージーランド人の板前が体に付けていたオーデコロンの香りがする「握り寿司」で嫁は強く拒否っていた。
そんなこんなもありながら、海外の「日本料理店」でお酒を飲み、アテに「茄子の田楽」とかを食べて、流れる北島三郎や石川さゆりの演歌を聴いていると、日本人に生まれて本当に良かったぁーとつくづく思う。
海外に行って見えてきたのは「日本」という国の姿だ。