遊川和彦さんと片島謙二さん
サザンオールスターズが好きだ。大学時代、サザンの音楽をヘビロテで聴きながら、家庭教師のバイトに通ったものだった。
1983年、入社した年、山田太一の伝説のドラマ「ふぞろいの林檎たち」が始まる。このドラマで、BGMにサザンを使おうと提案したのが、プロデューサーのTBS片島謙二さん。三流大学の大学生と看護学校の生徒を主人公にしたドラマにサザンの音楽がピッタリはまった。ドラマがサザンのMV(ミュージックビデオ)になっていたという事は、片島謙二さんの勝利だろう。
僕は当時「11PM」をやっていたが、「ふぞろいの林檎たち」を観て、ドラマを一生に一回作りたいと思い、2年後、ドラマ班に異動する事になる。
朝の連続ドラマをやっていて、家に帰って、TBS「予備校ブギ」や「ADブギ」を観るのを楽しみにしていた。どちらも遊川和彦さんの脚本。観ていて、元気をもらえる遊川ワールドにズッポリはまってしまった。そして、東京でドラマを作ってみたいという思いがどんどん大きくなっていった。
後年、遊川さんとドラマで御一緒した時、いつまでも新しいカタチのドラマを求めて挑戦する姿に深い感銘を受けた。
今期の日本テレビ「35歳の少女」。遊川さんの日本社会を痛烈に切る台詞に、モヤモヤしていた心の中がスッキリする。
ドラマはこんなふうに、観ている人々の心に残り、影響を与えるものだと、つくづく思う。