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「11PM」時間を間違えた‼️

その日は何かと慌しかった。

「火曜イレブン」の本番当日。
カメラリハーサルは押しに押した。(スケジュールが遅れる事)

終いには、番組の最後の一つ前のコーナーで流す「秘湯の旅」のVTRも「流したテイ」(VTRを流さずに)でカメリハは進められた。

23:33からの生放送なのに、カメリハが終わったのは、23:15。

スーパーテロップの直しも数枚。

当時はディレクターやタイムキーパーがいて、スタジオに指示を出すサブ(副調整室)で、テロップは直せなかった。

紙のテロップを四階のサブから地下一階の「テロップ室」まで持って行き、直して貰い、再びサブに戻るという作業が必要だった。

直してもらったテロップを持ってサブに戻って来たのが生本番5分前。

サブ(副調整室)



この日、タイムキーパー(スタジオに向かって、残り時間を伝えるスタッフ)だった僕は生放送までの時間を読み始めた。

タイトルが終わり、一つ目のCMに入る。

今週のギャル
今週のギャル



CM明けは「バーを持って踊る水着姿のキャンペーンギャルのVTR」から始まる。

「火曜イレブン」は「TIME GANG TUESDAY」と呼ばれていた。

僕の想像だが、「いろんな情報が詰まっていて、視聴者の時間を奪う(GANG)程、魅力的な1時間」といった意味だったのか?

藤本義一さんと松居一代さん
藤本義一さん
松居一代さん



藤本義一さんとホステス松居一代さんの掛け合いの中に、羽川英樹アナウンサーやタージンたちが割り込んで来て、次々とテンポ良く番組を進めて行く。

面高正義さん(左)



「特集のコーナー」が二つ有り、その後、面高昌義さんがアメリカからリポートする「USA最新情報」。

秘湯の旅
秘湯の旅



そして、「火曜イレブン」の名物コーナー、トップレスの女の子がウサギちゃんに扮して、全国の温泉を紹介する「秘湯の旅」。

最後のコーナーは、藤本義一さんが今日の番組の感想を言い、ホステスが
「明日は東京・日本テレビからお送りします」
と締める。

エンディングのハモンドオルガンの演奏がスタート。

今週のギャルの映像に変わり、ダバダバダバダバが流れ始め、番組は終了。となるはずだったが・・

この日の生放送はカメリハでバタバタしたのが嘘の様に、スタジオも盛り上がって、順調に進んでいた。

ちょうど、新人研修の一環として、十数人の新入社員が「11PM」の見学にサブの後ろで生放送を見守っている。

一年前、僕が見学した時、「カッコいい仕事を先輩たちはしているな」と思っていたので、僕もそう思われているのかな?と内心誇らしげな気持ちも多々あった。

ラス前、「秘湯の旅」のコーナーに入る。CM明け、VTRをスタートさせる。

1分毎にスタジオにVTRの残り時間を伝えていく。7分ほどのVTRだ。

2つのストップウォッチで
時間を測る
2つのストップウォッチで
時間を測る



「まもなくスタジオに降ります!」と僕は言った。

岡島英次ディレクター(左)



しかし、
「まだ、スタジオには降りないよ!」と岡島英次ディレクター。

「えっ!!!」と僕は絶句して、岡島さんの方を見た。

本番終了、岡島さんにに聞いた話。

「11PM」の台本


台本を作っていて、時間を書き込む時、番組全体の尺がオーバーしてしまった為、「秘湯の旅」のVTRの長さを実際とは違う7分と書いたのだと言う。

実際のVTRは8分近くあった。

それでは「スタジオに降りるタイミング」が食い違って来るのも当たり前だ。

「秘湯の旅」の後は、最後のCMを挟んで「エンディング」しか残っていない。

岡島さんの判断で、「秘湯の旅」のVTRの途中で仕方なくスタジオに降りた。

その日、「ウサギちゃんが温泉の効能」を言うところは流れず、サブには本当に気まずい雰囲気が流れた。

僕には居所が無かった。

岡島さんの判断は正解だった。

ラストのCMを消化して、エンディングのコーナーがなんとかキチキチで入った。

この出来事、起こらない様にする為には、僕がカメリハ前に、各VTRの尺を確認しておく必要があった。

タイムキーパーとして失格だった。

生放送が終わって、僕はしばらく「サブ」のイスから立てなかった。

自分のミスで起こった事を猛烈に反省していた。

サブの後ろに並ぶ一年後輩の新入社員の方も恥ずかしくて全く見られない。

生放送は怖い。何度やっても怖い。だから逆にやめられないのかも知れない。

生放送に臨む時には、何が起こっても大丈夫な万全の整えをする事をこの日誓った僕だった。

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