遊川和彦さん
ずっと考えていた。
昔からの親友(と僕は勝手に思っている)遊川和彦さんが脚本を書かれた「アイのない恋人たち」。
今年1月、山田太一さん脚本の「想い出づくり。」を観た後だから、より一層そう感じたのかも知れない。
全くドラマに感情移入出来ないのである。
ネットでの評判を見ていると、なかなか好評。
このドラマ、僕は「出て来る登場人物全員が遊川さんの操り人形」に見えた。
一つ目。
「今の世の中でこのドラマを作る理由」。
テレビドラマにとってはとても大切な事である。それが見えない。
二つ目。
「今の世の中、特にインターネット関係の描写があまりにも現実とかけ離れすぎている」。
宮藤官九郎は「不適切にもほどがある」で「インターネットの人間に与える悪影響」を的確に表現している。
三つ目。
「人が今、生きている意味への問いかけ」。
僕は毎日、ドラマ「白線流し」をずっと観ていて、強く感じているのだが、「何故僕たちは生きているのだろう?」「どこへ向かって生きているのだろう?」。
脚本家の信本敬子さんは視聴者に強くそれを問いかけている。
「アイのない恋人たち」は「今の世の中への問題提起」「インターネットと社会」「弱者からの視点」「生きる意味合い」、この四つの点で、かなり描き切れていない様に、僕には思える。
それと根本的な事だが、7人の主要登場人物の間で、ぶつかり合いが有るべきなのに、岡崎紗絵の「引きこもりの兄」に福士蒼汰が切れて、岡崎紗絵が心変わりをするなんていうのは視聴者をバカにしているとしか思えないシーンだ。
山田太一さんの次に「ドラマの神様」と僕が思っていた遊川和彦さん。
だから、この文章、正直に書きました。