電波ジャック
連続ドラマのスタートする日に「電波ジャック」というイベントがある。
ドラマの「番組宣伝」の為に、ドラマの主演始め、出演者が「生放送のワイドショー」に次々と出演していく。
日本テレビ系列で言えば、「ZIP」に始まり、「Day Day」「ヒルナンデス」「情報ライブミヤネ屋」「every.」と「ドラマの宣伝」をする。
もちろん、様々な条件に寄ってこの全ての番組に出られない事もある。
「制作」のプロデューサー、「宣伝」の担当者及びデスクは「ZIP」から始まった場合、早ければ午前4時台に「日テレのタレントクローク」に集合。
「宣伝」は朝のお弁当と飲み物、空き時間につまめるお菓子等を準備し、俳優さんの控室に予め入れておく。
この俳優さんの控室や車の駐車場の手配も「宣伝」が担当する。
「電波ジャック」の時、「役衣裳(ドラマ本編の中で着る衣裳)」か「スタイリストの用意した衣裳」、どちらでいくか決めるのも「宣伝」担当者と俳優さんの事務所の話し合い。プロデューサーの意向も尊重しながら。
「医者の役」なら、ドラマを想起しやすい「白衣」の方がいいだろうし。
宣伝担当者は、各ワイドショーのプロデューサーと連絡を取り、「打ち合わせの時間と場所」を聞いておく。
「電波ジャック」は「宣伝」の為、2〜3分だけ番組ラストで出演する事や「ヒルナンデス」の様にゲストとして、全編出演する事もある。ケースバイケース。
いずれにしても、「電波ジャック」に出演する合間に2〜3時間、俳優さんのスケジュールが空く事が多い。
その場合はそこに「雑誌や新聞、テレビ番組の取材」を入れるのである。
ドラマの撮影が立て込んでいて、「取材日」がなかなか取れない場合、「ドラマの撮影が無い電波ジャックの日」に詰め込めるだけ、取材を入れる。
木曜スタートのドラマの場合、ドラマスタート当日の「秘密のケンミンSHOW極」「ダウンタウンDX」にもドラマ出演者にゲストとして事前に出てもらう。
これで、早朝の「ZIP」から「ダウンタウンDX」まで「ドラマの宣伝」が繋がる。
新ドラマの場合、「ドラマの認知度」を上げるのがとても大切で、この放送当日の「電波ジャック」の宣伝効果はとても大きい。
20年以上前の話になるが、室井滋さん主演のドラマをやった時、「電波ジャック」で「ズームイン!!朝!(「ZIP」の前の番組)」に出てもらった。
総合司会はあの「アメリカ横断ウルトラクイズ」のMC・福留功男アナウンサー。プロデューサー的役割も担っていた福留さんは、CMに入ると「押し巻き」をスタッフに聞いて、予定された系列局の中継の有無を瞬時に決めていく。
室井滋さんがあのキャラクターで「電波ジャック」に出たら、福留さんが室井さんの事をことの他、気に入ってくれた。
生放送内で、「番組終わりまで居て下さいね」と福留さんは優しく室井さんに言う。室井さんは番組エンドまで30分以上も福留さんと画面に出突っ張りだった。
室井滋さんの魅力を再確認した次第。
「制作」のプロデューサーも「宣伝」の担当者も「電波ジャック」が終われば、「まな板の鯉」。
後は「ドラマ本体がどれだけの視聴者を惹き寄せてくれるか」を祈るのみ。
家に帰って、ドラマをオンタイムで観て、就寝。
翌朝、早めに出社して、9:08頃ビデオリサーチ社から送られて来る視聴率のFAXを待つのみ。
僕は「制作」「宣伝」で何度、「電波ジャック」に立ち会った事か。
「電波ジャック」。
何度やっても、1日緊張感が続き、夜、俳優さんたちをお見送りした時の開放感に浸れるイベントは人生においてもなかなか無い。
今日もいろんなドラマの「電波ジャック」が行われている。
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